芹沢亀吉
2024-09-07 01:06:07
257331文字
Public キングギドラ
 

巨神聖戦記

2020年6月11日にTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算11話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。キングギドラが主人公を担いゴジラ、モスラ、ラドンも大活躍。残忍描写濃い目なので閲覧注意。菊タブー?何それ?


「東京駅に繋がる線路や架線全てを無傷のまま残す詰めの甘いゴジラであって欲しいという希望的観測、爆弾積んだ新幹線を避けもせず東京駅構内で棒立ちし続ける間抜けなゴジラであって欲しいという希望的観測、お前本当に希望的観測頼みだな。標的が線路から少し離れるだけで頓挫するヤシオリ作戦など机上の空論に過ぎん!やはり確実に駆逐するには熱核攻撃が現実的だ!」

 赤坂は1年前楠木にゴジラへの核攻撃を勧め、愚かにも核攻撃によるゴジラ駆逐は可能と未だに信じている。そんな愚か者でも的確な突っ込みが可能なのだから、ヤシオリ作戦とやらはどこまで壊滅的なのだろうか。そもそも関東全域が停電状態かつ東京駅は全壊し周辺の線路は悉くズタズタな現状では新幹線の車輛に爆弾を搭載したところで全く使い物にならない。

 一応巨大不明生物は意味も無く下顎が割れ口、背中並びに尾の先端から紫色の光線を発射可能だ。とはいえ仮にその光線を東京駅付近で乱射しても東京駅に繋がる線路並びに架線が無傷、あるいは少し修理すればヤシオリ作戦とやらを実行出来る程度の損害しか与えられないなら破壊力はたかが知れている。無論その程度の破壊力では核爆発に耐え抜くゴジラの打倒などまず無理だ。

 そもそも世界各国の研究機関が半世紀研究しても弱点を解析出来なかった本物のゴジラと、無名の科学者一人に弱点を解析された巨大不明生物を同列に扱う発想自体が愚考そのもの。ゴジラ打倒のため官民一体で巨災対(※正式名称は巨大不明生物特設災害対策本部)を立ち上げたとはいえ、本物のゴジラと巨大不明生物を識別出来ていなかった矢口に勝機など無かった。

 何を隠そう数週間前九十九里浜にて大河が回収したのは巨大不明生物の背びれの欠片に他ならない。要するに大河も矢口同様巨大不明生物と本物のゴジラを全く識別出来ていなかったのだ。放射熱線が直撃し爆死した巨大不明生物の死骸は由比ヶ浜に漂着した頭部と九十九里浜に漂着した背びれの欠片以外に無く、どちらも細胞全てが壊死している。

「黙れ赤坂!ゴジラ打倒は無理でも赤坂貴様なら打倒出来る!俺の敵である貴様は必ずこの場で息の根を止める!たった今俺が踏み潰した貴様の眼鏡、これが数分後の赤坂貴様の姿だ!」

 昨晩いずみ修一しゅういち保守第一党政調副会長を衝動的に撲殺した矢口には最早殺人を思いとどまる自制心が無く、赤坂への殺意は本物だ。パタースンを裏切りホワイトハウスの機密情報を世界中に拡散した件は反省していない癖に、巨大不明生物をゴジラと誤認していた件を赤坂に密告という裏切り行為に逆上し当選同期の盟友泉を撲殺と、この世襲政治屋はどこまでも自分勝手。

 この泉は巨災対の人員集めのため財界や学界に働きかける等盟友矢口のため尽力していた。その一方「出世は男の本懐」と公言する出世欲の塊でもあり、赤坂への密告により盟友矢口を裏切ったのも勿論出世のための点数稼ぎ。なお矢口は夜陰に乗じて盟友泉の死体を立川広域防災基地に隣接する公園に運び、昨日の暴動の犠牲者に紛れ込ませていた。

 ところでゴジラ打倒は無理と言った矢口ではあるものの本当に諦めたのか、それとも単にその場の勢いに任せてそう言っただけでまだゴジラ打倒を諦めていないのかはわからない。どちらにせよ矢口はもう詰んでいる。

「俺の眼鏡を踏み潰したぐらいで調子に乗るな!矢口貴様は俺の駒に過ぎん!用済みの駒は捨てられる運命だ!運命に従え!」

 直後に空から降ってきたゴジラが衝突し立川広域防災基地が全壊した。ゴジラを成層圏まで運び地上へと叩き落としたキングギドラにより赤坂共々即死、これが昨年「戦いが終わったら結婚」発言をした矢口の末路。当然ながらキングギドラもゴジラも愚かな政治屋2人のおぞましい争いなど最初から眼中に無いが。

 よろよろと起き上がったゴジラが舞い降りてきたキングギドラを睨み咆哮したものの、体力が底を尽いていたため直後に再び倒れ込んだ。一方キングギドラは各首がゴジラにトドメを刺すため引力光線を吐こうとしたにも拘らず、何故か吐く直前に取り止めた。中央の首の指示を待たず単独で引力光線を吐くことも多い右の首が自発的に吐くのを止めるのはかなり異例だ。

 再び飛翔したキングギドラが10000m上空からゴジラを太平洋に叩き落とし、10000年ぶりの二神の激闘はキングギドラの勝利に終わった。この激闘により東京は首都機能を根こそぎ破壊され、一極集中国家日本は文字通り滅亡。今朝まで官邸だった瓦礫の山から突き出ているボロボロの布切れに日章旗だった頃の面影など無い。

「キングギドラの勝ちだ。これから金星人共がどう出るのか見物だな。」

 ぐったりとしたゴジラを抱え積乱雲の中に消えていくキングギドラを画面越しに眺め、ジョナは不敵に微笑む。


 東京の首都機能を壊滅させる程の激闘を制し、ゴジラを太平洋に叩き落としたキングギドラ。10000m上空に広がる晴れ空には地上に吹き荒れる暴風雨の片鱗も見られない。引力光線を撃ち込めば確実に命を奪うことが出来たにも拘らずゴジラにトドメを刺さなかった理由はキングギドラのみぞ知る。