芹沢亀吉
2024-09-07 01:06:07
257331文字
Public キングギドラ
 

巨神聖戦記

2020年6月11日にTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算11話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。キングギドラが主人公を担いゴジラ、モスラ、ラドンも大活躍。残忍描写濃い目なので閲覧注意。菊タブー?何それ?


 ヨヴェルは通話を終えた途端にほくそ笑み、高慢かつ鼻持ちならない矢口に一泡吹かせる一計を案じた模様。

 官邸では門長が原子力空母ロナルド・レーガンの帰りを、厳密にはその空母に搭載した戦闘機、即ちアメリカ合衆国の首都ワシントンD.C.を短時間で陥落させたF-2の帰りを待ちわびている。

「遅い!遅い!遅い!遅過ぎる!ワシントン陥落からもう十分時間が経っているのに何故戻ったという連絡が来ない!?早く戻ってこい新世紀の零戦よ!陛下と俺の前にその雄姿を見せてくれ!」

 短気な門長はすっかり頭に血が上り、周囲に控える秘書官達は皆怯えた表情だ。門長の友人が経営する学校法人に異様に高額な助成金が支払われていた件を野党から追及されると秘書官の頭にワインをかける等、機嫌が悪いとすぐ秘書官に八つ当たりするのがこの日本国首相の悪癖。

 前述の通り国会審議中の門長は野党の女性議員に対する傲慢な振る舞いが目立ち、苛立って秘書官に八つ当たりする時もまず女性秘書官を狙い撃ちすることが多い。門長にワインを頭からかけられた秘書官も採用されて間もない女性であり、この件により強い精神的苦痛を受けた彼女は程なくして職を辞した。この世襲政治屋はカネに汚い上平然と女性差別を行う。

 そんな中秘書官の一人から防衛省に空母の件で連絡が来たと聞かされ、受話器を取った門長は空母ロナルド・レーガンが帰ってきたと思い満面の笑みを浮かべている。

「もう何やってるの?待ちくたびれちゃったよ。まあちゃんと帰ってきてくれたから許すよ、許してあげるよ。今日はもう遅いから明日閣僚連れて迎えに行くね。勿論陛下のご臨席もあるからな。」

 直後に門長は苛立った表情に戻った。

「え?沈没?空母ロナルド・レーガンが沈没だと!嘘をつくな!今日はエイプリルフールじゃないぞ!馬鹿も休み休み言え!貴様のような噓つきはクビだぁ!さっさと辞表を書けぇえええ!」

 自分は国会審議中に野党からの追及を逃れるため少なくとも118回は嘘をついておきながら、気に食わない報告をした防衛省職員を噓つき呼ばわりし退職強要とは悪質にも程がある。そして門長がいくら怒鳴っても、ヴァージニアビーチ沿岸に停泊していた空母ロナルド・レーガンが沈没し搭載していたF-2も全滅した事実は微動だにしない。

「総理、早くこの件を陛下にご報告致しましょう。想定外の事態の時こそ早急な報告と対応が求められますので。」

 門長は時間にいい加減な自分のことを棚に上げほんの少し報告が遅れた秘書官を怒鳴りつけるのが常態化しており、秘書官は日頃の意趣返しのためここぞとばかりに天皇清仁に言及し門長の更なる動揺を誘う。

「そっ、そっ、それぐらいわかってる!ひ、秘書官の分際で俺に指図するなぁ!早く公用車を用意しろ!急げ!急げ!急げぇ!」

 秘書官達が全身を震わせているのは門長の怒鳴り声に怯えているからではなく、痛いところを突かれ怒鳴り散らす日本国首相が滑稽過ぎて笑いを堪えるのに必死だからだ。

 数時間前、ヴァージニアビーチ沿岸に停泊するロナルド・レーガン艦内を万歳の声が覆い尽くしていた。F-2部隊の空爆によりワシントンD.C.が陥落する様子は艦内の大画面にも映され自衛官共の高揚を後押ししている。1機も失わず軍事超大国アメリカの首都を陥落させたF-2操縦士共は舞い上がり、着艦後に燃料弾薬を補給したF-2に再搭乗し上空を旋回する者も数多い。

「お前ら日本に帰ったら天皇陛下から勲章貰えるぞ。一生の宝に出来るな。」

「英霊の無念の声に見事応えたお前らは大和民族の英雄だよ。」

 空母に着艦したF-2から降りてきた操縦士共は溢れんばかり賛辞の声に酔いしれ、ワシントンD.C.空爆時に虐殺した大勢の民間人は眼中に無い様子。荒川あらかわ雅夫まさお2等空尉に至っては大勢の民間人を機銃で射殺したのを自慢げに語り、今すぐ地獄に落ちるべき外道と断じて構わないだろう。