芹沢亀吉
2024-09-07 01:06:07
257331文字
Public キングギドラ
 

巨神聖戦記

2020年6月11日にTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算11話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。キングギドラが主人公を担いゴジラ、モスラ、ラドンも大活躍。残忍描写濃い目なので閲覧注意。菊タブー?何それ?


 この突然死した身元不明の男性こそパタースンの刺客に他ならない。パタースンは40代で合衆国大統領就任という人生目標を機密情報漏洩により台無しにした矢口を消すため刺客を送り込んだばかりか、遅効性の毒を塗った針を封筒に仕込みその刺客の口を封じていた。前述の通り空自の爆撃に巻き込まれ死亡したため大統領就任は見果てぬ夢のまま終わったが。

「鑑定結果は先程受け取った。俺の命を狙う不届き者が死亡か、朗報だな。それでは今から官邸に向かう。失礼。」

 沢口には覚醒剤横流しの隠蔽を矢口玄堂げんどうに手伝って貰った過去がある。そして矢口は亡父の「恩義」を盾に取りこの官房長に様々な依頼をしてきた。弱みを握られていてその依頼を断れない立場ではあるものの、自宅の壁に貼ってある矢口の顔写真が画鋲、ダーツの穴だらけと沢口がこの内閣官房副長官を内心どう思っているかは明白であろう。

 アイリーンが取り調べ室から出てくると一ノ瀬が待っていた。

「お疲れ様。私よりアイちゃんの方が取り調べ時間長いって明らかに中国人への偏見だよ。本当に胸糞悪い。」

「でも私もこうやって釈放してもらえたし、由衣ちゃんが言うほど日本の警察腐ってないよ。」

「それなら良いけど、自衛官共が私達を射殺しようとした件が大々的に報じられたばかりだから、警察も今は迂闊な真似は出来ないと警戒しているだけって可能性も捨てきれないんだよね。」

 一ノ瀬並びにアイリーンが中国の工作員呼ばわりされるのは勿論門長内閣の意向、即ちゴジラ打倒という国策に反対する2人への迫害の一環であり、何でもかんでも外国の、主に中国や韓国朝鮮のせいにしたがる大多数の日本人の偏見に起因する悪影響も無視出来ない。外国を悪者扱いし被害者ぶる日本国民ほど悪人であり腐れ外道なのである。

「俺は夕刊富嶽のブン屋や。姉ちゃんら2人とも超べっぴんやし、色仕掛けであのテロリストに取り入ったんか?」

 曾根崎署から退出したばかりの一ノ瀬とアイリーンにスポーツ紙記者が絡んできた。執拗な取材に辟易している2人はノーコメントで突っぱねたにも拘らず、このセクハラ記者はとにかくしつこい。周囲の通行人達は知らん顔しながら通り過ぎていく。

「このオッサン、盗撮DVD売ってた会社庇う記事書いてた女性の敵やんか!」

「本当だ!お前全然反省してないな!また懲りずにセクハラ記事書く気かこの下衆野郎!」

 一ノ瀬とアイリーンの全裸姿を妄想し鼻息を荒げていたこのセクハラ記者は突然駆け付けた女子高生、鈴木すずきイオ並びに女子大生、工藤くどうありさの剣幕に圧倒され、冷や汗をかきながら目を泳がせている。

「これ何!?ペンの形した隠しカメラやんか!ウチこれでセーラー服のスカートの中撮られたことあるからよう知ってるねんで!」

 隠しカメラを鈴木に没収されたセクハラ記者は血相変えて逃げ出した。このセクハラ記者が逃走直後にポイ捨てされていた空き缶を踏んづけ顔面をアスファルトにぶつけても、周囲の人達は相変わらず知らん顔しながら通り過ぎていく。一ノ瀬は鈴木並びに工藤と面識があるらしく、アイリーンと共に2人に頭を下げ礼を言った。

「先程イオちゃんと偶然一緒になったのですが、遠くから一ノ瀬さんらしき人が絡まれているのが見えたのでいても立ってもいられず駆け付けました。貴方の提訴のお陰で私は泣き寝入りを止めることが出来て、大学にもまた通えるようになったんです。」

「色々辛くてトイレで吐いたウチの背中優しく撫でながら励ましてくれた一ノ瀬さんのことは一生忘れへん。その一ノ瀬さんに詰め寄るクズ男は絶対許さへん!お姉ちゃんは一ノ瀬さんの友達?この人はウチらの救世主やで。」

「アイリーン・チェンです。この人のお陰で私も色々救われています。私にとってかけがえのない親友なんです。」

「貴方もですか。一ノ瀬さんみたいな方がもっとたくさんいれば生きやすい世の中になるのにと思います。」

 3人の女性から尊敬のまなざしを向けられた途端に赤面し、恥ずかしそうにうつむく一ノ瀬、普段は気の強さが目立つとはいえ本当は繊細かつ純真、そして恥ずかしがり屋さんなのだ。