芹沢亀吉
2024-09-07 01:06:07
257331文字
Public キングギドラ
 

巨神聖戦記

2020年6月11日にTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算11話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。キングギドラが主人公を担いゴジラ、モスラ、ラドンも大活躍。残忍描写濃い目なので閲覧注意。菊タブー?何それ?


 それから数年が経過した1990年代末期、鹿島灘沖に突然姿を現したゴジラが放射熱線を吐き銀色の巨大UFOを撃墜した。機体内部に潜む地球外生命体ミレニアンが企てている地球征服を察知し即座に手を打ったのである。この機体を深海から引き揚げ資源利用を企てていた日本政府の計画が台無しとはいえ、地球最強の巨神はそんなことには一切構わず泳ぎ去っていった。

 再び鹿島灘沖に没した巨大UFOの残骸を日本政府に先駆けて回収したのはアメリカ政府だ。残骸は大手軍需産業APEX社に譲渡されゴジラ打倒用兵器の製造開発に流用されることに。

 ところで日本政府は巨大UFOを引き揚げた際機体を走査し内部に充満している謎の流体を確認していた。ミレニアンの肉体は流体状なのである。ところがアメリカ政府が引き揚げた残骸の内部は空洞であった。ミレニアンは一体何処に行ったのだろうか。

 更に時は流れ2010年代末期、日本では本来1945年の敗戦時に廃止しておくべきだった天皇制が今なお存続し、1990年代初頭のバブル崩壊以降政府与党と結託した経団連の意向もあり雇用の流動化と称した労働者の切り捨て、使い捨てが横行中。政財界は自分達の目先の利益ばかりを優先し、その他大勢の人々の生活を切り捨てにかかったのだ。

 首相官邸内の執務室にて椅子に座りふんぞり返る門長四郎首相、この世襲政治屋が保守第一党総裁に擁立されたのは皇室との姻戚関係に依るところが大きい。何をするにしてもイエスマン並びにイカサマ頼みな門長は日本国首相の器ではなく、門長内閣は大手報道陣の幹部達と会食し懐柔等恒常的な世論操作、即ち大規模なイカサマに多額の税金を投じ延命してきた。

「総理、自衛隊の皆様の勇ましさにはいつも胸躍る思いです。」

「私もだよ。矢口蘭堂君が言っていたように、自衛隊はこの国を守る力が与えられている最後の砦だからな。」

 秘書官と共に富士総合火力演習をTV画面越しに眺めながら門長は悦に入る。この陸上自衛隊の演習は静岡県御殿場市の東富士演習場畑岡地区にて毎年実施され、航空自衛隊の戦闘機も参加する大規模なものだ。ここ最近は日本版海兵隊と称される水陸機動団も島嶼奪回訓練なる名目で演習に参加するように。

「見たまえ、水陸機動団の勇猛果敢さを。何しろ自衛官の中でも選りすぐりの精鋭だけを集めた部隊だからな。日本は本気で戦争を始める気かとうるさいのがいて結成まで時間がかかったが、それだけの価値はある。」

「世論の反発を恐れず水陸機動団を結成、総理は本当に先見の明をお持ちです。」

「私が言うこととやることはいつだって正しいのだよ。何しろ私は総理なのからな。」

 この物騒極まりない演習を国内外に公開するのは近隣諸国への敵意そして憎悪を扇動という政府の邪悪な意図に基づく。自衛隊による近隣諸国への武力行使を渇望する邪悪な輩がSNS上にて歓喜の声を上げ、在日外国人を外国の工作員と決めつけ自衛隊に虐殺を懇願する書き込みも目立つ。日本政府自らこの邪悪な輩を扇動している時点で日本は平和国家などではない。

 突然官邸を包囲するように銀色の機体が出現した。両翼にローターを備えティラノサウルスを彷彿とさせる巨大生物の生首をぶら下げている巨大戦闘機ガルーダ、腕のような形状の砲台を持ちクローラーにより走行する戦車ガンダルヴァ、前部が爪先状になっていてペン先状の回転式砲台を搭載し多数の車輪により走行する水陸両用戦車ナーガの3機だ。

「一体これはどうしたことだ!?まさか宇宙人がこの星の侵略に来たとでもいうのか!?」

 怯える門長がコーヒーをこぼし、机の上の重要書類の大部分があっという間にコーヒー色に。もっともこれらの書類は元々黒塗りであり、不都合な情報を徹底的に隠蔽しなければこの内閣は組閣後1ヶ月もてば御の字といったところ。1945年の敗戦直後にGHQからの戦犯追及を逃れるため機密書類を焼き捨てる等文書主義を粗末にするのは日本政府のお家芸とはいえ、門長内閣は特に酷い。

「早く着替えを用意しろ!こんなコーヒーまみれのスーツじゃみっともないだろうが!」

「た、只今持って参ります!」