2020年6月11日にTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算11話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。キングギドラが主人公を担いゴジラ、モスラ、ラドンも大活躍。残忍描写濃い目なので閲覧注意。菊タブー?何それ?
JR奈良駅を出た2人は三条通りを真っ直ぐ東方面に歩き、
興福寺に到着した。奈良県内有数の古寺、興福寺は大仏が有名な
東大寺よりも歴史が古い。その奈良県内有数の古寺も所謂王政復古の大号令が出された直後に発令された神仏分離令に端を発する廃仏毀釈により大打撃を受けた上、敷地の大半を政府に没収と存亡の危機に瀕したことも。その時政府に没収された興福寺の敷地こそ現在の奈良公園に他ならない。
「ここの亀、外来種のミシシッピアカミミガメが殆どなんだよね。でも悪いのは飼いきれなくなった亀を捨てた人間であって、亀達に罪は無い。軽い気持ちで亀を飼いすぐに捨てる無責任な飼い主が生態系破壊をお膳立てしている。」
猿沢池の亀達を眺める一ノ瀬は複雑な表情だ。アイリーンは生物学者として環境問題を真剣に考え文明人による環境破壊に危機感を持つ一ノ瀬のひたむきさを羨望している。猿沢池をぐるりと一周した2人は石段を登り
南円堂へと向かう。
西国三十三所観音巡礼の九番札所、南円堂は毎年10月17日に限り本尊の
不空羂索観音像が公開される。それ以外の日も西国三十三所巡礼者をはじめ参拝者が後を絶たず、皆手を合わせ扉の向こうの本尊をひたむきに拝む。
「観自在菩薩。行深般若波羅蜜多時。照見五蘊皆空度。一切苦厄舎利子。色不異空。空不異色。色即是空。空即是色。受想行識亦復如是。舎利子。是諸法空相。不生不滅。不垢不浄。不増不減。是故空中。無色。無受想行識。無眼耳鼻舌身意。無色声香味触法。無眼界。乃至無意識界。無無明亦。無無明尽。乃至無老死。亦無老死尽。無苦集滅道。無智亦無得。以無所得故。菩提薩埵。依般若波羅蜜多故。心無罣礙。」
南円堂の前に立つ2人が般若心経を唱えながら合掌していると、いきなりアイリーンが卒倒した。
「アイちゃん大丈夫!?你没事吗!?怎么样!?」
中国語を交えながらアイリーンに呼びかける一ノ瀬は必死な表情だ。程なくしてアイリーンがゆっくりと両目を開く。
「心配してくれてありがとう。たった今夢を見た。宇宙の果てから物凄い速さで彗星みたいなのが太陽系に向かってくる夢。その彗星が三つの首を持つ龍に変身した。あの壁画に記されている星と共に降りてきた王なるギドラそのもの。もしかしてこれ、予知夢?」
大抵の人は予知夢と聞けば一笑に付すだろう。しかしアイリーンの話に耳を傾ける一ノ瀬の姿勢は真剣そのもの。
「散々いないと言われてきたゴジラも結局いたわけだから私はアイちゃんを信じるよ。そういえば自衛隊がアメリカ侵攻に使ったあの兵器はどう見ても地球上の科学技術で製造出来る代物じゃないし、日本政府を陰で操る宇宙人の噂も案外本当かも。キングギドラが地球に来るのはその宇宙人と戦うためだったりして。」
自衛隊が独力によりアメリカを攻め落としたことにしたい日本政府は金星人の存在そのものを隠蔽し、日本政府を陰で操る宇宙人の噂を下らない陰謀論と退ける人が大多数ながら、『メガラニカ』の記事が端緒となり噂自体は着実に広まりつつある。
「だとしたらキングギドラは宇宙人の侵略を許さない存在ということになる。あ、もうすぐ14時だから五重塔前に行こうか。」
一ノ瀬とアイリーンが五重塔前に到着した途端に周囲の人達が「あいつは中国の女工作員だぞ!」と叫び、航空自衛官数人が駆け寄ってきた。意識の無いアイリーンに中国語を交えて呼びかけただけで一ノ瀬を工作員と決めつけたのだから完全な言いがかりだ。
「中国人の女工作員がいると聞いてやって来たが貴様らだな。奈良基地まで来てもらおうか。」
「丸腰の市民に銃口向けるってあんた最低!令状も無いし行く義務は無い。」
「治安出動を知らんのか?これは自衛隊法第78条に基づく正当な行為で総理も了承済みだ。我々自衛隊には国を守るため、国民を守るため数々の権限が与えられているのだよ。」
「そうやって権力者は法を曲解し市民に銃口を向ける。私は考古学を学び過去の人類の歴史を調べているけど、古来から権力者は国を守る、民を守ると言いながら自分の気に入らない人達を迫害してきた。今の貴方達と全く同じ。」
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