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芹沢亀吉
2024-09-07 01:06:07
257331文字
Public
キングギドラ
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巨神聖戦記
2020年6月11日にTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算11話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。キングギドラが主人公を担いゴジラ、モスラ、ラドンも大活躍。残忍描写濃い目なので閲覧注意。菊タブー?何それ?
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第一章 凶星
1980年代末期、ベルリンに押し寄せた大勢の市民達が街を東西に分断する壁にハンマー、鶴嘴等を次々打ち込んでいく。小学校教師になったばかりのマリア・ヴォルタースは自宅の窓から夜空を眺め、今にも泣き出しそうである。現在マリアの胸中では圧政から解放された安堵よりも自分はこれからどうなるのかという不安の方が強い。
「ママ、パパ、私はどうすれば良いのでしょうか?」
マリアの両親は幼い彼女を連れベルリンの壁を越え亡命を企てたところを秘密警察シュタージ(※国家保安省)に射殺され、彼女は事実上東ドイツを一党支配していたドイツ社会主義統一党幹部の養女として育った身。ところが最近になってその養父母が姿をくらませた。政争に巻き込まれシュタージに逮捕されたとも、西側に亡命を企て射殺されたともいう。
近くの森に落下する一筋の流星が視界に入り、思わずマリアは自宅から飛び出した。何かに突き動かされるかのように森の奥へと分け入るマリアが対面したのは直径1m以上ある銀色の金属光沢を放つ球体だ。無論この球体を追うかのように太陽系から約30光年の距離を秒速300000km即ち光速で移動する巨大隕石の存在など地球上の誰一人知る由も無い。
マリアが見守る中球体の扉がゆっくりと開き中にいた赤子が産声を上げた。元気な男の子である。マリアが両手で優しく抱き上げた途端に赤子は無邪気に笑い始め、彼女の心は安堵により満たされた。
「貴方の名前はパウル、そうパウル・ヴォルタース。」
空には明けの明星が光り輝き、この赤子を自分の手で育てようと決意したマリアを讃えているようにも見える。
アメリカと肩を並べる軍事超大国だったソ連がベルリンの壁崩壊からわずか2年後に崩壊したのは誰もがご存知であろう。工学博士としてソ連の宇宙開発に携わってきた「バイカルの魔女」ことイリーナ・マミーロワにとって当然これは死活問題だ。
「何故だ?ソビエトが、我が祖国が何故崩壊した?」
特撮映画好きなマミーロワは特にお気に入りの1作、1957年公開の『地球防衛軍』本編に登場するロボット兵器モゲラを自ら製造するのが長年の夢。普通なら夢のまま終わりそうな話だろう、普通なら。ところがマミーロワはアメリカとの宇宙開発競争を制する切り札だと軍そして共産党の幹部に訴えて党幹部らの支持を得、驚くべきことに本当にMOGERA製造を開始していた。
「まだだ、私は決して諦めない。元々ペレストロイカで軍事機密費が大幅に削減された中でここまで来た。私は他のどの地球人よりも優れた科学技術を手にした身だ。その私がMOGERAを完成させるのは天命なのだよ。」
マミーロワは自身を拉致した直後のUFOがバイカル湖近辺に墜落した際奇跡的に生還し、他の科学者達が悉く解析を断念したそのUFOの構造を残骸から容易く解析し共産党幹部並びに軍上層部の心を掴んだ。以来マミーロワは「バイカルの魔女」と称され、UFOの残骸を解析して得た技術を駆使すればMOGERA製造も別段難しいことではない。
「ですが博士、もうMOGERA製造開発に使える資金が底を尽いています。我々一同博士の科学技術力には何度も驚かされてきましたが、こればかりはもうどうしようもありません。」
エンジニア達の懸念通りソ連そのものが崩壊したため状況はペレストロイカの頃より圧倒的に厳しく、MOGERA製造開発を進めるための資金確保という課題が余りにも重い、重過ぎる。
「資金が無い?だったら自前で確保だ。私は軍上層部との繋がりがあり、国内の核兵器貯蔵施設の位置をほぼ把握している。その核兵器を他国に売ればいい。どうせ今の時代核を撃つ愚か者はまずいないのだからな。今はMOGERA完成こそ第一だ。」
思いもよらぬマミーロワの発言にエンジニア達は騒然とした。元々核兵器の野放図な拡散を世界規模の核戦争の前兆と危険視し続けていたマミーロワではあるものの、ソ連崩壊以来半ば自暴自棄になりMOGERA完成のためなら手段を選ばない。流石にやり過ぎと思ったエンジニアの一人が苦言を呈した。
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