芹沢亀吉
2024-09-07 01:06:07
257331文字
Public キングギドラ
 

巨神聖戦記

2020年6月11日にTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算11話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。キングギドラが主人公を担いゴジラ、モスラ、ラドンも大活躍。残忍描写濃い目なので閲覧注意。菊タブー?何それ?


 エルサレムへの大使館移転強行はタネン政権下のアメリカ政府が先にやっていて、これは武力によりパレスチナ人をエルサレムから駆逐というイスラエルの暴挙を追認する姿勢に他ならない。当然パレスチナはアメリカ政府に猛抗議し、いつもはアメリカへの追従が目立つ日本も大使館をテルアビブから動かすことは無かった。この頃の日本はまだ超えてはいけない一線を理解していたのだ。

 そんな日本がとうとう大使館をエルサレムに移したのはANOSAP傘下のAPEX社がイスラエルの実権を掌握、即ち日本が間接的にイスラエルを支配下に置く事態に至りパレスチナへの配慮など最早不要と判断したから。日本に猛抗議したパレスチナではあるものの、サイバーテロにより政府中枢が麻痺し経済破綻していたのもあり結局泣き寝入りを余儀なくされた。

 そして何者かの動画配信により日本政府の瓦解が世界中に知れ渡り、早速爆破されたエルサレムの日本大使館を見ればこれまで報復を恐れ日本への非難を避けていた各国の態度が一変したのは容易に想像出来る。

「ゴジラと未知の龍の激闘により東京が壊滅、これで日本もお終いだな。だがこんなことでは私の腹の虫が収まらん。メルカバーが完成したら即日本に送り込み、残党共を片っ端から叩き潰してやる。ゴジラを倒した未知の龍も私のメルカバーで葬るまでだ。」

 配信されたばかりの動画を再生し二神が激闘を繰り広げる様子を眺めながらウォルターは微笑んだ。ホシェル達金星人がこの動画をインターネット上に配信し世界中が日本への怒りを表明するよう仕向けていることも、既にメルカバーとは別のメカゴジラがキングギドラ打倒のため動き始めようとしていることもこのCEOは知る由も無い。金星人が実在することさえ知らないのだから当然だが。

 APEX社が実権掌握後イスラエル国内には傭兵並びに母国の経済破綻により行き場を失った元軍人共が群れ集まり、パレスチナ人達は勿論イスラエル軍によるパレスチナ侵攻に反対していたイスラエル人達も身の危険を感じ皆国外に逃れた。日本大使館を爆破し浮かれるこのならず者共、果たしていつまで舞い上がっていられることやら。

 魏怒羅並びに白眼巨獣を葬り去り、キングギドラは東京に舞い戻るため太平洋上を飛翔中。

 キングギドラはX星を発った時から世界の国々を隷属させ調子に乗る清仁ら皇族は勿論門長ら政府与党の連中が発する濃厚な邪念を感じ取り、地球飛来時の着陸地点に東京を選んだ。その邪念の根源はゴジラとの激闘を経てほぼ全滅したものの、つい先程キングギドラの各首は東京に新たな邪念が出現する予感がした、脳内に電流が流れるような感覚を伴いながら。

 キングギドラの右の首は今まで感じたことの無い予感に困惑している。宇宙空間にてMOGERAと戦闘した際は左の首が磁場の乱れという予兆からニュートリノの衝撃波の発生を予知したものの、何の予兆も無いまま未来を予知する能力はキングギドラのどの首にも備わってはいないため戸惑うのも仕方無いが。

 キングギドラの左の首はその好奇心故予感が正しいのかを確かめるため東京に引き返すべきと考え、中央の首も左の首の申し出に賛同済み。一応中央の首の説得に応じたとはいえ、右の首は自分達を地球に招いた「気配」の正体を探るのが先ではないのかという疑念を捨てきれない中、中央の首の説得に応じとりあえず東京に引き返すことに。

 楠木が呆然と眺めている黒焦げの残骸は引力光線の直撃により消し飛んだ靖国神社本殿の成れの果て。そもそも靖国神社は日本軍の戦死者、即ち天皇のため戦い命を落とした人達を祀り上げ日本政府が起こした戦争を正当化する洗脳施設故、1945年の敗戦直後に解体しておくべきだった点は皇室と全く同じ。

「もうすぐ俺は陛下から叙勲されるんだ。そして赤坂さんの根回しで門長の世襲野郎に代わって総理になるんだ。」

 日本政府自体が瓦解し天皇清仁も赤坂も門長も既にこの世にいないため、楠木が清仁から叙勲されることも門長に代わって総理大臣になることも永遠に無い。轟天号の指揮を執っていた時はギラギラ輝いていた楠木の瞳が今では死んだ魚そのもの。

 楠木の右隣の靖国八千代食堂だった瓦礫の山に銅像が1体突き刺さっている。その像をよく見ると何とキングギドラとゴジラが激突した際吹っ飛んだ皇居外苑の楠木正成像だ。そして楠木の背後では倒壊した大村益次郎像が雨に打たれている。

 その大村益次郎像の陰から姿を現したホシェルが宇宙服姿なのは、関東全域を覆う高濃度の放射能に備えてのこと。ホシェルは今まで気前よく日本を支援し続けた自分達の真意を楠木に伝えるため、宇宙服のスピーカーの音量を上げた。