芹沢亀吉
2024-09-07 01:06:07
257331文字
Public キングギドラ
 

巨神聖戦記

2020年6月11日にTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算11話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。キングギドラが主人公を担いゴジラ、モスラ、ラドンも大活躍。残忍描写濃い目なので閲覧注意。菊タブー?何それ?


「全くどいつもこいつも!」

 門長は苛立ちが収まらず、苛立ちが収まらないのは楠木も同じ。

「ええい!轟天号完成はまだか!?急げ!急げ!怠けるなぁ!長年国防の現場で汗をかいてきたこの俺のように、貴様らも一刻も早い轟天号完成のため汗をかけぇ!貴様らも俺と同じ日本男児ならもっともっと大和魂を輝かせろ!金星人の力を借りずとも日本男児だけで轟天号を完成させられることを示してやれぇ!」

「恐れながら、そのように怒鳴られますと現場の方が皆委縮し結果的に完成の遅延につながると考えられるのですが。」

 この部下が呈した苦言は至って正論である。

「貴様!轟天号建造の遅延を俺のせいにする気か!よしわかった!貴様の腐った性根は楠木正成公の末裔で大和魂を備えたこの俺様が直々に叩き直す!」

 苦言に逆上した楠木は「軍人精神注入棒」と書かれた棒を握り部下の全身を滅多打ちに。性根が腐っているのは楠木に苦言を呈した部下ではなく楠木本人なのは言うまでもない。楠木が力任せに殴打し過ぎたせいで棒は折れてしまった。

「何だこの棒は!?粗悪品じゃないか!中国製か!」

 折れた棒を床に叩きつけ何度も何度も踏み付ける、楠木のやっていることは完全な八つ当たり。楠木に限らず粗悪品を中国製と決めつける日本人が今でも多いものの、それは中国に対する偏見でしかない。そして棒には「MADE IN JAPAN」としっかり表記されている。日本製であろうと中国製であろうと乱暴な使い方をすれば棒がすぐ折れるのは当たり前。

 楠木の暴虐ぶりを画面越しに眺め、ホシェルとヨヴェルは心底呆れ返っている。

「楠木武があんなに激昂しているのは心のどこかで轟天号建造の遅延は自分のせいと自覚しているからではないだろうか?痛いところを突かれて狼狽えたのを誤魔化すために逆上という構図だ。」

「あの楠木武は私や部下にも色々横槍入れてきて建造現場を混乱させています。我々金星人に轟天号建造を丸投げした張本人の癖にやっぱり日本人技術者を轟天号建造に使えと言ってきたりと支離滅裂過ぎますよ。」

「零戦を製造開発した人達も軍部の無茶過ぎる要求に頭を抱えたと聞いているが、その頃と何も変わらないな。」

「仰せの通りです。GHQにより一旦公職追放された旧日本軍幹部共が自衛隊の前身、警察予備隊に入隊しそのまま自衛隊幹部になったのを踏まえますと自衛隊の体質が旧日本軍のままなのは当然とはいえ、ここまで酷いと最早かける言葉もありません。」

 金星人2人が揃ってため息をついたのは、明日からまた楠木の怒鳴り声を聞かされると考えるだけで気が滅入るからだ。先程の矢口をはじめ、金星人を上手く利用した気になっている政府与党の面々のご機嫌を取るのもかなり神経をすり減らす。

「では私はそろそろ3機の修復作業に戻ります。日本政府に従順なフリをし続ける日々を1日も早く終わらせるためにも早急に3機の修復を、そして最終兵器の実装を完了させる必要がありますので。」

「ヨヴェル、暴力的な接し方は部下全員を委縮させ作業がかえって遅れることを肝に銘じておけ。」

 するとヨヴェルが苦笑しながらこう返答した。

「楠木武という反面教師のお陰で部下との関係は良好で修復作業は順調に進行中です。」

 途端に大笑いし思わず咳込んだホシェルは普段の愛想笑いとは違い心底本気で笑っている。