芹沢亀吉
2024-09-07 01:06:07
257331文字
Public キングギドラ
 

巨神聖戦記

2020年6月11日にTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算11話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。キングギドラが主人公を担いゴジラ、モスラ、ラドンも大活躍。残忍描写濃い目なので閲覧注意。菊タブー?何それ?


 YASUSHIは歓声を上げる人々に向け大きく手を振っている。寺内並びに自衛官共がアメリカ中で大量虐殺を繰り広げた件は伏せられているとはいえ、天皇を戴く自分達が世界で一番偉いと思い上がる今の日本国民ならたとえその事実を知っても反日国の捏造だとわめくか、日本に原爆落とした報いだと宣い正当化するだろう。

 YASUSHIは清仁の父、政仁まさひとの即位10周年を祝う式典に出席し奉祝曲を演奏した身。その式典に著名な芸能人やアスリートが顔を揃え即位10周年を祝う様子は全国放送されたあたり、天皇が日本の文化の頂点に君臨していると日本国民に印象付ける洗脳工作が露骨過ぎる。日本政府は報道機関と結託したこの洗脳工作に一体どれだけの額の税金を費やしたのやら。

 ボーカルSATORUの熱唱は夥しい歓声にかき消され全く聞こえない。歓声を上げる人達の中には近隣諸国への武力行使並びに在日外国人の殲滅を叫ぶ輩も数多く、邪悪な本性を恥もせずさらけ出す程集団で歓声を上げる一体感そして高揚感に酔っているのだろう。

 ZERO-NIPPONの武道館ライブは生中継され全国の地上波デジタル放送により観ることが出来る。ファンの一人、門長も首相公邸にてその生中継を観ていたものの、防衛省から緊急連絡が入り急遽公用車に乗り込んだ。外はすっかり夜の帳が下りているとはいえ街路灯やビルの窓の明かり、大通りを走行する数多くの自動車のライト等都心の夜を照らす光は多数ある。

「陛下、寺内防衛相がメキシコで消息を絶ちました。消息を絶つ直前にガルーダ機内から墜落するとの通信があり、救助に向かいたいのですがなにぶん怪鳥が暴れている状況ではそれも難しく、生存は絶望的です。」

 駆け足で参内した門長が狼狽しながら寺内が消息を絶った件を報告すると、清仁は軽く聞き流し夕食の手を止める素振りさえ見せない。

「今はお食事どころではありません、陛下!防衛相が、この国を守る要職にある者が消息を絶ち最早生存は絶望的なのですよ!」

 今日は特にお気に入りのメニューだったこともあり、門長の必死の訴えは天皇清仁を苛立たせる効果を発揮した。

「くどいぞ門長!朕は全閣僚を引き連れ靖国神社を参拝したかったのにあの男はニューヨークで遊んでいて来なかった!そんな男がどうなろうと知ったことではない!すぐに新たな防衛相を選任せよ!朕の代わりは一切いないが防衛相の代わりなんていくらでもいることくらい覚えておけ!そもそも朕は今食事中ぞ!折角の夕食が不味くなるからそういう話は後にしてくれ!わかったか!」

「で、では暫定措置として防衛相の臨時代理を立て、後任の防衛相が見つかり次第すぐ選任致します。」

 防衛相が消息を絶つ中食事を優先する清仁の冷酷な身勝手さに戦慄し、門長の顔がどんどん青ざめていく。無論この世襲政治屋に今上天皇の身勝手さを咎める気概など皆無だが。

「門長よ、知っての通り兄は公務や論文の執筆で毎日忙しい。そんな兄に夕食の時間を与えてやって欲しい。」

 兄清仁同様現在食事中の皇嗣義仁よしひとが門長をたしなめた。実のところ今上天皇の公務の大半は視察等多額の税金を費やした暇潰しに過ぎず、論文に至ってはその殆どが御用学者達に代筆させたもの。

「たっ、大変失礼致しました。そ、それでは私はこれにてし、失礼致します。」

 逃げるように宮中を退出した門長はすっかり震え上がった表情だ。秘書官達に対しては勿論、国会審議では野党議員、特に女性議員に対しても傲慢かつ横柄に振る舞う門長も清仁をはじめとする皇族の前ではこのように小物ぶりをさらけ出す。

「やれやれ、やっとうるさいのが帰ってくれた。これで朕は漸く食事に専念出来る。」

 清仁ら皇族共は美味そうにステーキ肉を口の中に放り込み、無論この豪華な食事も税金により全額賄われている。その税金を納めている人達の中には1日の食事も満足に出来ないワーキングプア、即ち貧困労働者が多数いるとはいえ、税金による贅沢暮らしが当たり前な皇族共にそうした人達の苦しみはわからない。

「それにしても兄上、正直最初は不安でしたが、金星人達を信用して正解でした。これで八紘一宇が実現すれば万々歳です。」