芹沢亀吉
2024-09-07 01:06:07
257331文字
Public キングギドラ
 

巨神聖戦記

2020年6月11日にTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算11話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。キングギドラが主人公を担いゴジラ、モスラ、ラドンも大活躍。残忍描写濃い目なので閲覧注意。菊タブー?何それ?


 実のところネオナチ全員が金星人を信用したわけではない。ヘルマン・レームら武闘派は金星人への警戒心を捨てきれず、ホシェル達が去ったのを見計らいスコルツェニーに再考を促した。金星人の支援に頼るようになればベルリン制圧並びに他の極右勢力討伐に尽力した自分達はお払い箱ではないのか、こうした不安がレーム達武闘派の胸中を支配していたのも大きい。

「レームめ!イェーガーの操縦さえ出来れば踏み潰してやったものを!一体どこに雲隠れしやがったんだ!?」

 焦土と化した故郷ミュンヘンの地に佇むスコルツェニーは怒りに任せて足元の石ころを蹴飛ばした。レーム達武闘派のアーリア民族党除名に端を発した騒乱を数日で鎮圧したとはいえ、肝心のレームを取り逃がしたため腹の虫が治まらない。この騒乱によりネオナチ共は兵力を大幅に減退させ、今はまだ操縦出来ず巨大な置物状態なイェーガーへの依存を強める形に。

 現在レームは支持者達と共にインドに潜伏中。かつてナチス党員の多くはインド人をアーリア民族と認識し、第二次世界大戦時には多くのインド人がナチスの兵士として連合国相手に戦っていた。レーム自身昨年のサイバーテロ以前からインドに何度も足を運び密かにネオナチ支持者を増やす活動をしていたりする。

「君達の手助けが無ければ俺は今頃銃殺されていただろう。同じアーリア民族だけあって君達は実に信頼出来る。俺はここインドの地に第三帝国を復活させ、得体の知れない金星人に丸め込まれた間抜け共を叩き潰しドイツを取り戻す。あのイェーガーとかいうフザけたロボットもそのうちぶっ壊してやるからな。では早速例の場所に案内してもらおうか。」

 かつてのナチス党員同様インド人をアーリア民族と認識しているレーム、この武闘派極右が支持者達に案内されたのはあのウパラの研究所だ。昨年BBが結晶化した紅塵により全身を貫かれ即死して以来シヴァ共同事業体代表ティルダ・ミラーがこの研究所の所長を兼任している。今ではミラーもレームに感化されすっかりネオナチ支持者だ。

「あのスティーブンは女性の私を持ち上げて混乱の対応を押し付けたのが見え見えで本当に忌々しい。海とか葦原とか変な日本人ばかり優遇しているのも本当に鬱陶しいよ。って、ごめん、今ここにいない人の悪口なんか言っちゃって。」

「肝心のスティーブンは怪しげな日本人2人と去年ここに来て椅子ぶつけて大画面を壊した直後に雲隠れか。真似以外に才能が無い劣等民族とつるんでいるようではあの下院議員サマも終わりだな。おっと、イギリス自体経済破綻で終わった国だったか。」

 2人の無駄話に水を差すかのように研究所内に警告音が鳴り響く。OD散布により活動を停止していたシャランガが全身に結晶化した紅塵が複数突き刺さったまま数ヶ月ぶりに動き出したのだ。以前は研究所が保有する「特異点」を執拗に狙っていたシャランガではあるものの、今回は何かに怯えている様子。

「ゴジラ出現!ゴジラ出現!真っ直ぐ研究所に向かっております!銃撃も砲撃も全く通用しません!」

 シャランガが動き出した上ゴジラ接近という状況にミラーもレームも焦りの色を隠せない。

「役立たず共め!これだから女が代表やっているような組織は駄目なんだよ、クソが!」

 この瞬間ミラーはレームがスティーブン同様女性を見下していることに気付いた。そもそもレームをはじめネオナチ共が理想とするナチスは女性の社会進出を敵視しフェミニストを迫害していたのだが。

「この男を今すぐ射殺せよ!これはシヴァ共同事業体代表の緊急指令だ!」

 シヴァ共同事業体が抱える代表直属の私兵部隊は現在その大半が外に出てゴジラ相手にドンパチしているとはいえ、レーム一人を蜂の巣にするだけなら研究所内に残った数人で事足りる。レームの射殺はミラーがシヴァ共同事業体の大口出資者スティーブンに対し表立っては何も言えなかった自分、そしてレームの甘言に乗せられていた自分と決別した瞬間と言えるだろうか。

 程なくしてゴジラが研究所に到着した。例によってゴジラには全く効いていないにも拘らず、私兵部隊は銃撃並びに砲撃を止めようとしない。背びれを青白く発生させたゴジラは天に向かって咆哮し、そのまま足元の地面に放射熱線を撃ち込んだ。


 地面に高威力の放射熱線を撃ち込むゴジラ。放射熱線の太さが巨大不明生物を瞬殺した時とまるで違うあたり、あの時のゴジラが全く本気を出していなかったのは明白だろう。何故ゴジラがウパラの研究所に来たのか、そして何故地面に放射熱線を撃ち込むのか、その理由は次頁に記す。