芹沢亀吉
2024-09-07 01:06:07
257331文字
Public キングギドラ
 

巨神聖戦記

2020年6月11日にTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算11話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。キングギドラが主人公を担いゴジラ、モスラ、ラドンも大活躍。残忍描写濃い目なので閲覧注意。菊タブー?何それ?


「大変です、大統領!サンフランシスコ、シカゴ、ロサンゼルス、シアトル、マイアミそしてニューヨークと我が国の主要都市が次々と何者かに攻撃されています!国内の軍事基地もほぼ全て制圧された模様です!」

「こんな時に何事だ!?真夜中に俺の国を攻撃する不届き千万な国は一体どこだ!?くそったれ!」

 報告を受けビル・タネンが激昂する中、ワシントンD.C.上空に多数の戦闘機が飛来し空爆を開始した。

「このワシントンD.C.が空爆されているだと!?ただちに全機撃墜しろ!世界最強である我が軍の実力を思い知らせてやれ!」

 途端にタネンが愕然としたのは現在ワシントンD.C.を空爆中の機が航空自衛隊の主力戦闘機F-2と判明したからだ。そしてF-2が搭載しているMk.82爆弾を開発したのは他ならぬアメリカ。アメリカが製造開発した空爆用爆弾がアメリカの首都に投下というのも皮肉な話だ。結局ワシントンD.C.は夜明けを待たずに陥落し、逃亡を企てたタネンに自衛官共が一斉に銃口を向ける。

「よく聞け!薄汚い黄色人種共!偉大なるアングロサクソン国家の大統領である俺様にこんな真似してタダで済むと思うなよ!」

 旧日本軍が奇襲攻撃したパールハーバーに保存されている記念艦ミズーリ、即ち1945年の敗戦時に日本が降伏文書に調印したあの戦艦ミズーリの艦内にタネンを連行し同じことをさせる、この日本政府の意地汚いやり方は第一次世界大戦終結時にドイツが降伏文書に調印した客車にフランス代表団を乗車させ同じことをさせたナチスの手法そのもの。

 メキシコ湾の海面にゴジラが浮上した。この地球最強の巨神は先程フロリダ州に上陸しAPEX社のペンサコーラ工場を破壊したばかり。20年前ゴジラが撃墜した巨大UFOの残骸をゴジラ打倒用兵器の部品に加工、こんなことをゴジラが許す筈も無く兵器の完成間近を狙われたのだ。

 現在ゴジラは突然現れ巨獣の生首と共に消えた銀色の機体の行方を捜索中。金星人達は巨獣を始末し生首を回収する計画を立てていたものの、ゴジラに喧嘩を売った巨獣が放射熱線を浴び全身を爆砕されたためその巨獣の生首が吹っ飛ばされ宙を舞った瞬間を狙い即座に回収した。通常兵器で負傷する巨獣が本物のゴジラの放射熱線に耐えられる筈も無い。

「おいみんな!あいつに絶対近寄るな!ぶつけられたら一瞬で沈没だぞ!漁は中止だ!一旦港に戻れ!」

「あんなに怯える頭領初めて見たぞ。あの鯨よりデカいのが何なのかよくわからんがとにかくヤバいのだけは確実だ。戻ろう。」

 メキシコ湾の漁師達はゴジラの姿を見た途端に一斉に漁港を目指す。ゴジラの名さえ知らないとはいえ毎日命懸けで海に挑む身だけにゴジラが現れたら何をするべきかを瞬時に悟り、即実践したのである。なおゴジラは基本的に人類など眼中に無いため退散していく漁船団に対して特に何もしない。この「眼中に無い」は漁船が近寄れば無意識のうちに沈めるという意味だと明記しておこう。

 それにしてもよりにもよって本物のゴジラに喧嘩を売り即返り討ちに遭う巨獣はまさしく愚劣の極み。仮にこの巨獣がニューヨークにでも上陸していたら、タクシー追いかけるのに夢中になり吊り橋のケーブルに引っかかる間抜けさを発揮しアメリカ空軍戦闘機が発射したミサイル数発により死亡するのは目に見えている。本物に外見が多少似ていても所詮まがい物はまがい物なのだ。

 このように書くとどれをとっても本物のゴジラに大きく劣る印象しかない巨獣とはいえ、単為生殖により多量に産卵する性質故生殖能力だけは本物を遥かに凌ぐ。もしこの巨獣が大量発生すれば野放図な捕食により数多くの海洋生物を絶滅に追い込むのは火を見るよりも明らか。結局本物のゴジラが産卵前の巨獣に放射熱線を撃ち込み瞬殺したため大量発生自体が不発に終わったが。

 門長ら政府要人を引き連れ靖国神社を参拝した天皇清仁は文字通り天にも昇る心地だ。天皇制なる官製カルトの信者達が靖国神社の周囲に群がり日章旗、旭日旗を振りながら「天皇陛下万歳!」と叫ぶ光景は何ともおぞましい。

「門長、忌々しい憲法を押し付けてきたあの国に正義の鉄鎚を下せて朕は満足しているぞ。これで朕は祖父同様に現人神として君臨出来る。今日は文字通りの日本晴れだったが、こうやって夕陽が社殿を照らす中参拝するのもいいものだ。」

「陛下、英霊達も無念の思いを晴らせてさぞ喜んでいることでしょう。もうすぐ日没ですが、我が国は今真の夜明けを迎えています。」