芹沢亀吉
2024-09-07 01:06:07
257331文字
Public キングギドラ
 

巨神聖戦記

2020年6月11日にTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算11話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。キングギドラが主人公を担いゴジラ、モスラ、ラドンも大活躍。残忍描写濃い目なので閲覧注意。菊タブー?何それ?


 中国雲南省の密林に隠された巨大な石造遺跡はピラミッドを彷彿とさせ、遺跡内部の至る所には蛾の成虫と思しき存在を描いた壁画がある。調査隊が遺跡の最深部に行き透明な膜により覆われた巨大な卵を調査していると膜の奥で何かが動き始め、その膜を破りゆっくりと外に出てきたのは蚕によく似た姿形の巨大な幼虫だ。

「タイタヌス・モスラ、今ここに新たな生を受ける。文献が示す通り、ここはモスラを祀る神殿。」

「これがモスラですか。本当にいたのですね。正直上手く今の気持ちを言い表す言葉が見つからずもどかしいです。」

 巨神モスラ誕生に立ち会うことが出来たアジア系並びに西欧系、2人の女性の瞳が輝く。ところが同行する警備兵達が殺気立った目つきになりモスラ幼虫に自動小銃AR-18の銃口を向けた。

「正直俺達はモスラの存在自体半信半疑でここまで来たが、こんなデカい芋虫を放置は出来ん。射殺する。」

「勝手に危険だと決めつけて射殺はあまりにも乱暴です!銃を下ろして下さい!」

 懸命に警備兵達を止める女性2人が突き飛ばされたにも拘らず他の調査隊員達は皆見て見ぬフリ。全身にAR-18の銃弾を浴びてもかすり傷さえ無いモスラ幼虫は弾丸状の糸の塊を吐き警備兵全員を背後の壁に縛り付けた。ゆっくり身体を起こした2人の女性は一目散に逃げ出した他の調査隊員達を意に介さず、目の前の幼虫を優しく見守る。

「モスラァヤモスラァ♪ドゥンガンカサクヤン♪インドゥムゥ♪ルストウィラァドア♪ハンバァハンバムヤン♪ランダァバンウンラダン♪トゥンジュカンラァ♪カサクヤァンム♪」

 2人の女性が歌う太古の歌とモスラ幼虫の鳴き声が遺跡内部に優しく響き渡り、己の蛮行を悔いた警備兵達が涙を流す。

 大阪大学では生物学者の一ノ瀬由衣がゴジラの細胞に関する自身の研究成果を発表している最中だ。

「ゴジラ細胞には驚異的な復元能力がありまして、わずか5時間でこのように細胞全体の傷が消えています。またご覧のように培養液が瞬く間に使い物にならなくなってしまい、ゴジラ細胞は培養自体が不可能と断言出来ます。」

 PowerPointを駆使し解説する一ノ瀬の表情は真剣そのものとはいえ、教授達は皆退屈そうにしていて中には居眠りする者も。

「それで結局ゴジラを倒す方法は見つかったんかいな?姉ちゃん、ワシらはゴジラ倒す方法が知りたいんや。」

「私の研究の主題はゴジラ細胞の性質についてでして、ゴジラ打倒に関しては対象外です。」

「相変わらず可愛げの無い姉ちゃんやな。そんなんやから超べっぴんさんやのに彼氏出来ひんねんで。せや、今晩ワシと一緒にホテルに泊まれへんか?学部長のワシが直々に大人の女にしたるで。折角ええ身体しているのに男知らんのは勿体無いわ。そのええ身体に似合う派手な下着もプレゼントしたる。今着けてる下着はワシが言い値で買い取るから小遣い稼ぎ出来るで。」

 学部長の最低過ぎるセクハラ発言に端を発して会場全体を下劣な笑い声が覆い、頭に来た一ノ瀬がノートPCを片付け会場を出ると突然スマートフォンに着信が。見慣れない電話番号に一ノ瀬は困惑を隠せない。

「もしもし、あんた誰?振り込め詐欺ならお断りだからね。」

「俺は矢口蘭堂、内閣官房副長官だ。君はゴジラについて研究していると聞いた。この俺にゴジラを倒す方法を伝授して欲しい。」

 小学生時代から度々セクハラ被害に遭い続け、一ノ瀬は男性への嫌悪感そして不信感が強く、中学生の頃同級生男子にスカートをめくられたトラウマから今でもスカートを着用出来ずにいる。スカートをめくる側は遊び半分でもめくられた側の心の傷は深い。そんな一ノ瀬に対し素の一人称を使う矢口はありのままの自分を見せれば相手は必ず靡くと確信している。現在学部長をはじめ教授陣への怒り心頭な一ノ瀬が果たしてそう容易く矢口に靡くだろうか。