芹沢亀吉
2024-09-07 01:06:07
257331文字
Public キングギドラ
 

巨神聖戦記

2020年6月11日にTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算11話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。キングギドラが主人公を担いゴジラ、モスラ、ラドンも大活躍。残忍描写濃い目なので閲覧注意。菊タブー?何それ?


 メルカバーに殴り飛ばされた謎の怪物の巨体が直撃し、ユダヤ教では救世主がエルサレムに入る際通る門、キリスト教では聖母懐胎の象徴、イスラム教では唯一神が最後の審判を下す場所とされる黄金の門が全壊した。この門も最近ではならず者共がイスラム教徒の人形を磔にする場所になり果て、既に宗教的役割を失っていたと言わざるを得ない。

 起き上がった怪物がメルカバーめがけて突進すると、メルカバーもまた全身の発射装置から無数のミサイルを撃ち怪物めがけて突き進む。全身にミサイルを浴びながら怪物は長い腕を振り回し、メルカバーの右脇腹を掴んだ。一瞬よろめいたメルカバーではあるものの、すぐに腕を振りほどき怪物の胴体に拳の一撃を叩き込む。

 怪物を殴打する際のメルカバーの拳は先程ウォルターの息の根を止めた時同様青白い発光が目立つ。拳に地核のエネルギーを纏っているからだ。地球の各都市の武力制圧のため全身の火器の遠距離攻撃に重点を置いた設計のインドラに対し、このメルカバーは設計段階からゴジラ相手の格闘戦を想定しており地核のエネルギーを得た今その戦闘力はゴジラをも凌ぐ。

 怪物は高重心な体型の割に転倒した後起き上がるのが速い。ゴジラ以上に強大なメルカバー相手に若干劣勢とはいえ善戦しているこの怪物、ミレニアン即ち20年以上前鹿島灘沖にてゴジラに撃墜された巨大UFOの主が正体と知れば驚くだろうか。

 ミレニアンはゴジラと対峙した際その細胞形成体の驚異的な治癒力に着目し、密かに吸収していた。しかしながら数億年の宇宙漂流に耐えるため肉体を流体化させていたこの宇宙生命体もゴジラ細胞形成体は制御出来ない。ミレニアンは激しい痛みを伴う急激な全身の変化に耐えられず、放射熱線を撃ち込まれ大破した巨大UFOの残骸共々深海に没し意識を失った。

 ゴジラ細胞形成体、即ちオルガナイザーにより変異した経緯を踏まえ、今からこのミレニアンのなれの果てをオルガと表記する。

 日本海溝の奥底に身を潜めながら肉体変化に伴う痛みを20年以上かけ抑え込み、海底の空洞を経て前述の通り地中海に姿を現しエルサレムに到着したオルガ、この長距離移動の目的はメルカバーの破壊に他ならない。数億年の時を共にしてきた機体がメルカバーの部品に加工、オルガもといミレニアンにとって許すまじきことであろう。

 一方メルカバーもといキングギドラにしてみれば、大気の改変により地球の生態系そのものの改変を企てているミレニアンは自然の調和を乱す存在、滅ぼすべき害悪である。母星にて同じ悪事を企てた際文明を滅ぼす形で制裁を加えたにも拘らず、数億年経っても全く反省の色を見せていないのだから尚更だ。

 どちらも数億年前とはかけ離れた姿のメルカバーとオルガが約束の地、即ち神がイスラエルの民に与えると約束した一帯と旧約聖書に記されている地を舞台に激闘を繰り広げる、これは強大な軍事力にものを言わせパレスチナ人達を迫害し続けてきた邪悪な侵略国家イスラエルに下された審判なのかもしれない。

 不意に地面が裂け無数の地下ケーブルが飛び出しメルカバーの機体に巻き付いた。これはオルガが念動力により操っている。そういえばゴジラ細胞と結晶生物の融合により誕生したスペースゴジラも念動力を使い結晶体を操っていたか。

 簡単にはちぎられないよう複数本束ねた地下ケーブルにより束縛されたメルカバーではあるものの、背面に搭載されている6門のロケットブースターを噴出させ即座に焼き切っている。そのまま飛行し再びオルガに地核のエネルギーを噴出させた拳を叩き込むメルカバーは相変わらず激しく、そして滑らかな動き。

 間髪入れずに起き上がったオルガは何とも耳障りな声を発した。見たところかなり苛立っている様子。

 ところでオルガは元々巨大UFOの機体であったメルカバーを念動力により操ることは出来ないのだろうか。実のところオルガは先程からそれを何度も試みているとはいえ、メルカバーの機体を覆うキングギドラの念に阻まれ続けている。数億年の時を共にしてきた機体でも巨神キングギドラの新たな「身体」と化した今となっては思い通りに動かすことなど出来はしない。

 オルガがその場で高く飛び跳ねたためメルカバーが撃った赤い熱線は標的に命中せず、代わりにオルガの背後のオリーブ山を大きく抉り取った。メルカバーの背後に着地し波動砲を撃つオルガ、左肩の発射口の穴は巨大UFOの機体と同じ。

 メルカバーは背中に波動砲を撃ち込まれ転倒しかかるも主砲の方の赤い熱線を30度下向きに撃ち事無きを得、間髪入れずに尾の先端から赤い熱線を撃つ。尾の先端からの赤い熱線に左肩を大きく抉られ、エルサレム一帯にオルガの悲鳴が響き渡る。