芹沢亀吉
2024-09-07 01:06:07
257331文字
Public キングギドラ
 

巨神聖戦記

2020年6月11日にTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算11話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。キングギドラが主人公を担いゴジラ、モスラ、ラドンも大活躍。残忍描写濃い目なので閲覧注意。菊タブー?何それ?


 部下からの報告を受けX星人社会の長、統制官が肯く。

「既に怪物Xは我々の支配下にある。これで怪物0を支配下に置けば我々の移住計画は盤石だ。」

 X星では水素と酸素の合成以外にX星人の生存に必要な酸化水素、即ち水を確保する術が無く、コンピューターの計算に基づきX星人共はその水が豊富な地球を移住先に決定していた。無論ここで言う移住は地球侵略に他ならない。

「妙です。もう怪物0が到着しました。電子計算機の計算では到着まであと27分かかる筈ですが。」

「確かに妙だ。電子計算機の計算に狂いや誤差は無い筈。本当に怪物0は到着したのか?」

「はい、たった今隕石の姿で到着したと先発隊から連絡が入っております。」

「であれば31分前の電子計算機の計算と食い違う。一体電子計算機はどうしたんだ?」

 行動の全てをコンピューターの計算に基づき決定するX星人にとって、計算の食い違いはあってはならないこと。

 X星人の先発隊と対面中の怪物0はつい先程X星に降り立ったばかり。X星人は顔以外の全身を灰色タイツにより覆った上から巨大な襟のある黒いベスト状の衣装を着込み黒い手袋並びにブーツを着けている。先発隊はさらにその上から金星人のものとよく似た形状の宇宙服を着用し、持ち歩いているトランクらしきケースに入っているのは地球人になりすますための衣服だ。

「コイツが怪物0か。思っていたよりずっと大きいな。よし、折角だからもっと近くで見てみよう。」

「いけません!不用意に怪物0に近寄っては危険です!お戻り下さい!」

 先発隊の長と思しき男性が怪物0に近づこうとする中、その男性を懸命に呼び止める女性が一人。ちなみにX星人の女性は全員クローンのため皆同じ顔をしていて、この女性は地球人になりすますため波川なみかわ久美くみというコードネームを与えられている。X星人の男性達が皆細いサングラスをかけ両目を隠しているのに対し、女性である波川はサングラスをかけていない。

「大丈夫だ、電子計算機の指示通り製造した制御装置で怪物0は既に我々の支配下にある。だから私が近寄っても安全だ。君も一緒にどうだ?我々がもうすぐ夫婦になるのは電子計算機の計算で決まっているわけだし、怪物0の間近で記念撮影をしたい。」

「その電子計算機の計算では到着がまだの筈の怪物0がもう到着したんです!ですので怪物0が電子計算機の計算通り制御可能なのかどうかも今の時点では判断出来ません!」

「貴様!電子計算機の計算を疑うのか!電子計算機の計算に従わない者、電子計算機の計算を疑う者は反逆罪で即刻処刑されることを承知しているのか!」

 波川を罵倒するこの男性を背後からキングギドラの右の首が捕食した。X星人が怪物0と呼ぶキングギドラが先発隊を次々捕食という計算の食い違いどころでは無い事態に男性達が慌てふためく中、一人波川は両目を閉じ佇む。そんな波川を左右の首と共に先発隊を捕食していた中央の首がふと見つめた。

「どうぞ私をお食べ下さい。電子計算機の計算に支配され、女性である私が何体もクローンで製造され男性共の結婚相手になることを強いられるこのおぞましい管理社会を貴方が滅ぼして下さるならこれ以上の喜びはありません。」

 小さく頷いたキングギドラの中央の首が単独で引力光線を吐き波川を消滅させたのは、彼女に苦しむ暇の無い最期をという中央の首なりの配慮。映像によりキングギドラが先発隊を次々喰い殺す様子を観た統制官は動揺の色を隠せない。

「早く制御装置を起動させろ!早く怪物0を我々の制御下に置くんだ!急げ!」

「もう既に制御装置を起動させております!ですが怪物0を全く制御出来ません!制御不能です!」