芹沢亀吉
2024-09-07 01:06:07
257331文字
Public キングギドラ
 

巨神聖戦記

2020年6月11日にTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算11話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。キングギドラが主人公を担いゴジラ、モスラ、ラドンも大活躍。残忍描写濃い目なので閲覧注意。菊タブー?何それ?


「最近こういう番組多くて本当にうんざり。アイちゃんみたいな在日外国人が大勢いる現実を無視して日本には日本国民しかいないという前提なのが本当に無理。日本国民という物言い自体に在日外国人をのけ者にする差別的意味合いがあるんだから。あの矢口蘭堂とかいう政治屋も国民の犠牲とか言ってたけど、在日外国人をのけ者にしている自覚が無いのが本当に悪質。」

「私も正直ああいう番組は観ていて気分悪いからすぐTV消すよ。ところで由衣ちゃんはこの画像をどこで入手したのかな?」

 アイリーンが空っぽになった犬用の皿を片付ける中、相変わらずいびきをかくペロ。元々顔面が真っ黒な上しわくちゃなため、目を閉じて寝ているパグはどこに目があるのかよくわからない。

「数日前にMr.Aなる人物からメールで送られてきたんだけど、最初はスパムメールかと思ってびっくりしちゃった。Mr.Aはゴジラ細胞の特殊性に関する私の論文を読んでくれた人みたいで、ゴジラに関してこういう資料もあるからと送ってくれたわけ。でも私はあくまで生物学者だから、考古学者であるアイちゃんにこの壁画の画像を見てもらおうと思ったんだ。」

 すると一ノ瀬のスマートフォンが振動し、通知欄には未読メールありとの表示が。その振動に反応してペロが目を覚まし小走りで一ノ瀬に駆け寄ってきた。一ノ瀬は物言いたげなペロの表情を目にして思わず微笑み、このパグの背中を優しく撫でている。

「来た来た、Mr.Aからだ。実を言うと彼から今度直接会って話したいことがある、来る時は必ず2人以上で、待ち合わせ場所で壁画の画像を印刷した紙を目印として掲げて欲しいとメールがあったんだ。今日来たのはアイちゃんを誘おうと思ったのもあってね。」

 メールを読んでもらうためスマートフォンをアイリーンに手渡すと、一ノ瀬はリュックからウェットティッシュを取り出しペロの顔のしわの間を丁寧に拭く。パグは顔のしわの間に汚れがたまると皮膚炎の原因になるため手入れが不可欠。今ではすっかり慣れ一ノ瀬が顔を拭く間じっとしているペロも初めのうちは顔を拭かれるのを嫌がりテーブルの下に隠れたことも。

 アイリーンはMr.Aの正体がわからないのは不安とはいえ、研究のため行くべきとも思った。Mr.Aからの新しいメールには待ち合わせ場所は奈良の興福寺五重塔前、日時は5日後の14時と記され、大阪在住の一ノ瀬と京都在住のアイリーンが合流するにはもってこいの場所だ。ペロの顔を拭き終わった一ノ瀬にスマートフォンを返し、アイリーンは同行を承諾した。

「由衣ちゃん、ペロちゃん、今日は夜遅くまで付き合ってくれてありがとう。」

 アパートの外に出たペロは一ノ瀬を引っ張りながら小走りで夜道を駆けていく。一ノ瀬並びにペロを見送ったアイリーンは例の壁画の画像を眺め親友と過ごしたひと時の余韻に浸る。

「そこのお姉さん、ちょっといいかな?」

 オープンカーの車内から歩道を歩く一ノ瀬にいきなり声をかけた若者達は皆彼女とは真逆の派手な格好。一ノ瀬はオープンカーとの距離を保ちながら右ポケットの中の防犯ブザーを構え、向こうが危害を加える素振りを見せればすぐ鳴らせるようにした。

「それパグだろ?中国原産の鼻ペチャ犬。すんげぇ食い意地張ってるって聞いたけど、実際どうなんだ?」

「え?あ、うん、物凄く食い意地張ってる。さっきも友達と一緒に食べようとした夕食を狙ってて大変だったんだよ。」

 一ノ瀬はペロを興味深そうに見つめながら無邪気に話す若者達に拍子抜けするも、不思議な安堵感を覚え微笑んだ。

「おい見ろ、吠えてやがる。」

 一声「わん」と発したペロを見て嬉しそうにはしゃぐ若者達の様子が余りにも面白く、一ノ瀬は懸命に笑いを堪えている。こういう無邪気かつ下心の無い男性に対しては一ノ瀬も嫌悪感が湧いたりはしない。

「お姉さん、最近ワンジャック、犬の誘拐もあるみたいだから気をつけろよ。じゃあ僕達はこの辺で失礼。」

 右手を小さく振ってカーステレオを鳴らしながら走り去るオープンカーを見送り、一ノ瀬は京阪電鉄七条駅に向け歩き出した。