芹沢亀吉
2024-09-07 01:06:07
257331文字
Public キングギドラ
 

巨神聖戦記

2020年6月11日にTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算11話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。キングギドラが主人公を担いゴジラ、モスラ、ラドンも大活躍。残忍描写濃い目なので閲覧注意。菊タブー?何それ?


「ヨヴェル、君には悪いがあの3機がラドンにやられても良いと思えてきたよ。寺内太一は一刻も早く始末するべきだ。完全に殺戮を楽しんでいる。君の言った通りだ。あんな邪悪な連中に3機を貸すべきではなかったよ。後悔してもしきれない。」

「自制心の無い未開人共が我々の兵器を使えば自分達が最強と勘違いし図に乗ると何度もご忠言致しましたが、漸くご理解頂けたようで何よりです。地球最強の巨神ゴジラならともかくラドン程度なら3機で簡単に倒せますので、寺内太一と自衛官共がラドンを倒し戻ってきたところを全員射殺はいかがでしょう?無論死体も始末します。」

「では寺内太一達がラドンを倒したらそうしよう。ところでヨヴェル、今回の楠木武との面談は私が代行ということでいいかな?」

「是非ともお願いします!あの男は無駄に声が大きいですしたとえ画面越しでも顔を合わせるのが苦痛です!」

 その楠木がガラス越しに眺めている建造中の巨大戦艦は船首の巨大なドリルが目を引き、艦体の形状は潜水艦にも見える。

「何!?轟天号ごうてんごうの完成を待たずにもうアメリカへの攻撃を開始しワシントンを陥落させただと!?大和民族の誇りに泥を塗った鬼畜米国への報復には船首に菊の御紋が輝くこの万能戦艦こそ相応しいというのに全くわかっとらん!」

 ワシントンD.C.陥落の一報を電話で聞いた楠木の罵声は凄まじく、受話器の向こうの相手の鼓膜を破りかねない大音量だ。

 旧日本海軍が太平洋戦争末期に開発計画を立て陸海空のいずれでも行動可能な轟天号、長年中断していたこの万能戦艦の建造再開は金星人の支援によるところが大きい。以前から建造再開を訴えていた楠木は轟天号によるワシントンD.C.陥落を夢見ていたとはいえ肝心の建造が停滞し、自衛隊が轟天号の完成を待たずにアメリカ侵攻を開始したのは即時開戦を望む清仁の意向に基づく。

「楠木陸将、轟天号建造の進捗状況はいかがでしょう?ヨヴェル・マスティマは体調不良のため、代わりに私がお伺い致します。」

 目の前の画面にホシェルの顔が映った途端に楠木は受話器を置き軽く咳払いした。今現在楠木がいる管制室は建造中の轟天号全体を見渡せるよう三方がガラス張りになっていて、室内には大量の書類が散らばる。その書類が入っていたと思しき段ボール箱は管制室の入り口付近にあり横倒し状態、しかもあちこち蹴飛ばされた跡だらけ。

「これはこれはルクス殿、いやはやもうすぐ完成とのことだが結局ワシントン陥落には間に合わず口惜しい限り。こんなに優秀な精鋭自衛官である俺様が音頭を取っているというのに、全く誰のせいで轟天号建造が停滞したのやら!?」

 平静を装ってはいるものの、お前のせいだろとホシェルは内心毒づいている。何を隠そう設計図通りに建造すれば轟天号はすぐ完成すると言ったヨヴェルに対しもっと装備を強化しろと口を挟み勝手に設計図を書き換える、建造を進める金星人の作業員達に日本の誇り轟天号を日本人の手により建造させろと横槍を入れる等楠木のわがままが建造停滞の要因に他ならない。

 矢口、清仁、寺内そして楠木と日本の上層部の自分勝手なクズぶりを目の当たりにし、ホシェルは徐々に苛立ちを募らせていく。

「門長は親の七光りで総理になれただけの癖にいつもふんぞり返っている。今回のワシントン陥落にしたって本来なら楠木正成公の末裔であるこの俺様が指揮する轟天号建造が完了する待つべきなのに、俺様のいない所でアメリカへの出撃を決め轟天号から檜舞台を奪った。文民統制だか何だか知らんが世襲野郎が自衛隊の最高司令官とか反吐が出そうだ。やはり世襲はいかん。」

 そう言いながら楠木自身椅子に座りふんぞり返っているものだから、ホシェルは延々と門長の悪口を言い続ける楠木の姿を鏡に映してやりたい思いだ。門長が親の七光りにより首相になれたのは全くもってその通りとはいえ、楠木自身楠木正成の末裔であることを常日頃から自慢と結局は門長同様血統頼み。

「あまり世襲を悪く言われない方がよろしいかと。御父上である上皇陛下から皇位を世襲された天皇陛下を悪く言ったことになってしまいますので。それに今回のアメリカへの出撃は天皇陛下も賛同なされたことです。ワシントンD.C.陥落に歓喜され靖国神社を参拝なされた天皇陛下が今の楠木陸将のご様子をご覧になられたらどう思われるでしょうか?」

 ホシェルが清仁に言及した途端に楠木は冷や汗をかき、世襲自体は悪くない、などと宣い、つい先程と言っていることが全然違う。今上天皇の悪口を言うわけにもいかずペラペラ言い訳する楠木を画面越しに眺め、ホシェルは内心嗤っている。