芹沢亀吉
2024-09-07 01:06:07
257331文字
Public キングギドラ
 

巨神聖戦記

2020年6月11日にTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算11話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。キングギドラが主人公を担いゴジラ、モスラ、ラドンも大活躍。残忍描写濃い目なので閲覧注意。菊タブー?何それ?


 宇宙服姿のまま回転ブラシの間を通りシャワーを浴び、ヨヴェルは先に放射能洗浄を済ませたホシェルの宇宙服を取り外して自身も宇宙服を脱いだ。実を言うと宇宙服のボタン一つで着替える機能も引力光線から拡散された電磁パルスにより故障し、今脱いだ宇宙服はインドラの機内に備え付けられていた旧型のため元から着替える機能自体無い。

「着替える機能の故障さえなければこんな脱ぎ着が面倒な旧型に頼らずに済んだものを!」

 意識の無いホシェルと肩を組みエレベーターに搭乗したヨヴェルは一人悪態をつく。旧型とはいえ1分もあれば脱ぎ着可能と地球人の宇宙服より遥かに扱いやすい構造ではあるものの、この危機的状況ではその1分がいつもより長く感じられる。操縦室に到着しホシェルを座席に座らせたヨヴェルが画面を観るとキングシーサーが部下達を全滅させていた。

「毛むくじゃらめ、覚えていろ!次会った時は絶対貴様を始末してやる!部下達の仇は必ず取るからな!オッケーVENUS、プラズマ原子炉からのエネルギー充填が完了したらインドラをエレボスに瞬間移動させてくれ!」

「申し訳ございません。当機の瞬間移動装置は一度目の機能停止時に故障しており修復不可能です。両翼の太陽電池を使えば当機は今すぐ飛行を開始出来ますが、その方法でエレボスに戻るということでよろしいでしょうか?」

「わかった、それでいい!今すぐ飛行を開始しろ!暴悪龍め!消滅してもなお我々金星人を苦しめ続けるのか!忌々しい!」

 間髪入れずにインドラは飛行を開始し太平洋方面を目指す。ヨヴェルの邪念を発しながら逃走する機体を睨みキングシーサーが咆哮した。飛行を開始したインドラが映像に変わり、画面の前にジョナが立っている。

「たった今ゴジラの模造品が東京から飛び去った。東京に現れた時のように瞬間移動しなかったから先程の戦いで瞬間移動装置が壊れたのは間違いない。問題はゴジラの模造品がどこを目指しているかだ。」

 するとタブレット端末を操作し何かを調べていた藤崎がジョナに話しかけた。

「隊長、連中の目的地を探る上で有力な手がかりとなる画像がこちらになります。」

 ジョナが藤崎から手渡されたタブレット端末は先程インドラが撃った時空砲のものと瓜二つの時空の穴の画像を表示している。

「ビンゴだな。プエルトリコに向かっている전さんが到着したらすぐに偵察機を飛ばしてもらおう。連中の目的地は、ここだ。」

 手早く世界地図を広げ、ジョナはバミューダ海域を指差す。

 そのバミューダ海域の深海ではエレボスが轟音を上げ周囲を覆う岩盤を取り払い、そのまま海面まで浮上した。ジョナが見た画像は金星人がこの海域にて行った時空砲発射実験のものであり、度々その実験に船舶や航空機が巻き込まれ消滅している。今回わざわざエレボスを浮上させたのはホシェルのベルトの分も含め瞬間移動装置が故障したインドラを着地させるためだ。

「なあ聞いたか?ルクス陛下があの暴悪龍を打倒されたそうだ。」

「勿論聞いたよ。これで邪魔者が消えたから俺達金星人が堂々とこの星を支配出来る。ルクス陛下の凱旋が待ち遠しいよ。」

 エレボス内部の集会場に群がる金星人達は皆地球制圧並びに金星帝国再興の目途が立ったことに色めき立ち、空自によるワシントンD.C.陥落に歓喜した大多数の日本国民がその空爆による膨大な数の犠牲者には目もくれなかったように、これから地球制圧によりどれだけの生命が失われるのかには誰一人関心を示さない。

 パウルが小さな十字架を立てた墓に向かって号泣し傍らにはマリアが寄り添う、これは飛行中のインドラの機内にてホシェルが見ている夢の一場面。

「お母さん、あんなに手当てしたのに結局鳩は助からなかったよ。僕は鳩を助けたかったのに、結局助けられなかったよ。」