芹沢亀吉
2024-09-07 01:06:07
257331文字
Public キングギドラ
 

巨神聖戦記

2020年6月11日にTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算11話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。キングギドラが主人公を担いゴジラ、モスラ、ラドンも大活躍。残忍描写濃い目なので閲覧注意。菊タブー?何それ?


「ごめんね、中国人の私と仲良くしているせいで由衣ちゃんまでスパイ呼ばわりされちゃって。それに聞いたよ、あの映像観た教授達から由衣ちゃんが酷いセクハラ受けているって。折角販売差し止めの訴え通ったのにこれじゃ意味無いよ。」

「気にしない気にしない。私は他国を差別するために日本を凄い国だと褒めそやす連中と同類扱いされるのが嫌だから、かえって有難いぐらいだよ。それに販売の差し止め通ったお陰で死ぬのを思いとどまった人もいるわけだしちゃんと意味あるから。でもそうやって私のことを真剣に心配してくれるのは凄く嬉しい。あ、面白いものを持ってきたんだ。ちょっとパソコン使ってもいいかな?」

 一ノ瀬はUSBメモリーをアイリーンから借りたノートPCに差し込みウイルスチェックを行う。ちなみにアイリーンのPCの待ち受け画面は巨大な龍の絵柄。一ノ瀬がフォルダ内の画像のうち1枚を拡大すると肉食恐竜に似た姿の巨大な存在が3つの首を持つ龍と激闘を繰り広げる様子を描いた壁画が画面一杯に表示された。ドッグフードを一心不乱に食べていたペロも画面を覗き込む。

「由衣ちゃん、これってゴジラと何かが戦っている様子を描いた壁画?」

「以前アイちゃんは王なるギドラが太古の昔にいたという話を私にしてくれたけど、これがそうじゃないかな?」

「ギドラ、即ち一つにして無数。一つの胴体から複数の首が生えているギリシャ神話の海蛇ヒュドラはこの存在を元にしていると言われている。そしてこの壁画の龍も一つの胴体から三本の首が生えている。間違いない、壁画に描かれているのは王なるギドラ、そうキングギドラ。」

 2人が時間を経つのを忘れ話し込む傍らでは満腹になったペロが眠り、いびきが鳴り響く。

「おい、あれ見ろ!いきなり噴火したぞ!」

「恐ろしや!炎の悪魔のお目覚めじゃ!」

 メキシコのイスラ・デ・マーラ島の火山が突然噴火し、直後に火口から爆炎と共に突き出したのは赤黒い巨大な爪と翼。地元の人々から「炎の悪魔」と呼ばれ恐れられている巨神ラドンの覚醒の瞬間だ。サイバーテロに伴う国内の混乱もありメキシコ空軍の軍用ヘリCH-53D数機が火山の周囲を飛行していたとはいえ、噴火に巻き込まれ全機墜落している。

「ルクス様、メキシコにラドンなる怪鳥が出現したとのことです。いかが致しましょう?」

「巨神相手にあの3機がどれぐらい力を発揮出来るか試そう。ガルーダの直通回線と繋げ。地球人との会話は私に任せて欲しい。」

「助かります。どうも私はあの未開人共の顔を見るのも声を聞くのも苦手でして。」

 ヨヴェルから緊急報告を受け、ホシェルはラドンと寺内一行と対決させ3機の性能を試すことにした。オペレーターが機器を操作しガルーダとの直通回線を繋ぐと大画面に寺内の顔面が大映しになる。ホシェルは寺内のニヤついた表情を見た途端にこの世襲政治屋が大量殺戮を楽しみ浮かれていることに気付き強い嫌悪感に襲われた。

「やあホシェルちゃん、君達金星人の兵器の性能は凄いね。俺達大和民族がこれを使えばまさしく鬼に金棒だ。ところで急に通信してきたけど、未来の総理であるこの俺に何か頼み事?俺今物凄く機嫌良いしどんな頼み事でも聞いちゃうかもね。」

「寺内防衛相閣下、メキシコに怪鳥ラドンが出現とのことです。」

 平静を装うホシェルの胸の内には寺内への強い殺意が沸き立つ。

「では今からその糞バードを俺達の手で焼き鳥にしに行ってくる。者共出陣じゃあ!」

 直後にホシェルが通信回線を切ったのは戦国武将気取りの寺内に心底呆れたのが大きい。寺内が悪ノリし始めると止まらなくなる愉快犯気質だと聞いていたとはいえ、流石にここまで酷いとは思っていなかったのだ。