芹沢亀吉
2024-09-07 01:06:07
257331文字
Public キングギドラ
 

巨神聖戦記

2020年6月11日にTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算11話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。キングギドラが主人公を担いゴジラ、モスラ、ラドンも大活躍。残忍描写濃い目なので閲覧注意。菊タブー?何それ?


 食事を終えたばかりのホシェルが3機の変形合体に立ち会うため個室から出てくると、青ざめた表情のヨヴェルが立っている。

「そうか、暴悪龍は今この地球にいるのだな。しかもあのゴジラを倒すとは。」

「ゴジラ打倒で我々金星人の軍事力を誇示し地球人を屈服させる計画が水の泡ですよ。ルクス様をここエレボスにお迎えして7年経ちましたが、漸くここまで来たのにまたもや暴悪龍のせいで存亡の危機です。」

「私がここに来てからもう7年か。戴冠式の日がまるで昨日のように感じられる。」

 ホシェルに事態を報告したヨヴェルは7年前のことを思い出していた。

「マスティマ閣下、深海探査艇が1隻接近中です。念のため搭乗者を遠隔顔認証したところ、人相がルクス陛下と一致しました!」

 管制室から報告を受けたヨヴェルは驚愕し自ら顔認証映像を覗き込む。当時のエレボスは事実上ヨヴェルが統治し、エレボスの住民達は金星帝国滅亡時に行方不明になった皇帝ホシェル・ルクスのクローンを10000年間探し続けていた。顔認証映像により搭乗者の青年の顔が皇帝ホシェルと100%一致している旨を確認し、ヨヴェルが檄を飛ばす。

「あの探査艇にはルクス陛下がお乗りだ!探査艇ごと確保しこちらにお連れしろ!間違えても撃沈などするな!もし撃沈したならその時は貴様ら全員分解して粉末肥料にしてやるからな!肝に銘じておけ!」

 大型の硬質ゴムチューブが深海探査艇を飲み込み第二兵器格納庫へと運び込み、金星人達が探査艇のハッチを開けると中から困惑顔の青年が出てきた。この格納庫内にはストライカー、クリムゾン、チェルノ、そしてジプシーと最近完成したものの操縦の困難さからお蔵入りになった4機のイェーガーがズラリと並ぶ。

「ここは一体どこなのですか?一体何故僕はここにいるのですか?」

「ここは深海都市エレボスと申しまして、我々金星人の拠点です。貴方様はホシェル・ルクス、金星帝国皇帝であらせられます。そして私は金星帝国宰相ヨヴェル・マスティマ、貴方様をお支えする身です。」

「一体何を言っている?僕はパウル・ヴォルタース、地球で生まれ育った海洋生物学者で金星人なんかじゃない。貴方達は誰か別の人と勘違いしている。ここで見たことは誰にも言わないから早く地上に帰してくれ。」

 この海洋生物学者は1980年代末期に森でマリアが保護したあの赤子の成長した姿である。そしてその赤子こそヨヴェルをはじめエレボス在住の金星人達が長年探し求めていた皇帝ホシェルのクローンに他ならない。金星帝国滅亡時に脱出カプセルで打ち上げられた皇帝のクローンは冷凍睡眠状態のまま10000年間宇宙を漂流し続け地球に漂着していたのだ。

「直ちにルクス様をこちらにお連れせよ。戴冠式を執り行う。」

「だから僕はパウルだと言っているだろう。ルクスなんて人は知らないよ。」

 ヨヴェルが言っていることを全く理解出来ずパウルは戸惑うばかり。金星人が実在することさえ知らないマリアに地球人として育てられた身故理解出来なくて当然だが。

「ご心配なく。あちらの玉座に腰掛けて帝冠をかぶってもらうだけです。それが済んだら後はご自由にどうぞ。地上へお戻りをご希望されるなら勿論その通りに致しますので。」

 半ば強引に玉座に座らされヨヴェルが両手で捧げ持つ帝冠を戴冠したその刹那、パウルの脳内を激しい衝撃が駆け巡り、諸侯がひれ伏す中玉座に座る自分、コンピューターに文明の支配を委ねるか否かの論争、金星にキングギドラ襲来といった帝冠が内蔵している電子化された皇帝の記憶が彼の意識の隅々まで行き渡った。