芹沢亀吉
2024-09-07 01:06:07
257331文字
Public キングギドラ
 

巨神聖戦記

2020年6月11日にTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算11話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。キングギドラが主人公を担いゴジラ、モスラ、ラドンも大活躍。残忍描写濃い目なので閲覧注意。菊タブー?何それ?


 橘がゴジラの右目を狙い発射したD-03は金星人の技術支援により最近完成したばかりの推進式削岩弾。そういえばエクシフがもたらしアンラマンユ王国が使用した数々の超兵器にも推進式削岩弾が含まれていたか。それはさておき巨大不明生物が爆死した際爆発を避けきれなかった1~3号機も粉々になり、現在残っているさつまは4号機のみ。

「何故だ!?何故ゴジラは無傷なんだ!?この最新最強の削岩弾が何故ゴジラに効かない!?」

 地中貫通爆弾により大量出血する程度の耐久しかない巨大不明生物をD-03により仕留めるのは簡単であろう。しかし地中貫通爆弾は勿論メガトン級の核兵器による核攻撃も全く通用しない本物のゴジラにこの推進式削岩弾が通用する筈も無い。ゴジラへの核攻撃という非核三原則を無視した自衛隊の暴挙がそのゴジラの規格外過ぎる頑丈さを改めて実証というのも皮肉な話だが。

「化物がぁ!だが俺には天皇陛下と靖国の英霊達のご加護がある!だからゴジラ、貴様は俺を殺すことなど出来、おい待て!うわぁあああああっ!」

 海中移動を開始したゴジラがさつま4号機を爆沈させたのも、直後に浮上し空母クイーン・エリザベスをはじめ空母打撃群の大半を海の藻屑に変えたのも私達人類が無意識のうちに蟻を踏み潰すのと同じ感覚。何を隠そうスティーブンは楠木にゴジラ打倒への支援を申し出ていて、ゴジラのいる海域までさつまを運んだのもイギリス海軍の空母打撃群に他ならない。

「スティーブン、お前まさか最初からあの空母が撃沈されるとわかっていたのか?」

 珍しく怪訝な表情を浮かべる葦原を、タブレット端末画面の向こう側からニヤニヤ顔のスティーブンが眺めている。

「Mr.Kaiが良い船を確保してくれたからそっちにあの骨を乗せて運んだ、それだけだよMr.Ashihara。俺はあんたみたいな予言者サマじゃないが、常に不測の事態に備えておくのがモットーでね。変な翼竜の死体の方は正直どうでもいいから沈んで結構。大体例のものが完成すれば空母など必要無くなる。そのことはあんたが一番よく知っている筈だ。」

 偽ラドンの死骸は空母クイーン・エリザベスをはじめ複数の艦艇と共に悉く相模トラフに沈んだ。しかし古史羅の骨は海が闇ルートにより確保した重量物運搬船ブルー・マーリンに乗せられ空母打撃群とは別の海路を通ったため結果的に難を逃れた。そして葦原と海もまた古史羅の骨共々ブルー・マーリンに搭乗中。操縦室の映像を見る限りこの重量物運搬船の行き先はインドのようだ。

 官邸前に到着した高機動車から楠木が出てくると、TV局の報道記者達が一斉に押しかけてきた。

「楠木陸将、中央テレビです。今回のゴジラ抹殺作戦の失敗は軽部孝士1等海士が全ての原因とお聞きしましたが?」

「全く、ゴジラが怖いと叫び回天に乗ったまま逃亡した軽部のせいでゴジラを滅するまたとない好機を逃しましたよ。単身執務室に乗り込んできて、ゴジラを滅し日本男児の偉大さを世界中に示したいので是非とも回天に搭乗させて下さい、などとこの楠木に懇願しておきながら結局土壇場でイモ引いたあの青二才は日本男児の面汚しです。では今から総理と面談します。」

 ニュー山王ホテルの一室にてホシェルが何気なく点けたTVをすぐ消したのは、報道記者達に大嘘をつく楠木の顔が大映しになったから。元々アメリカ海軍が管理していたこのホテルは自衛隊に接収され、現在は日本政府高官や金星人が利用している。

「ルクス様、日頃から軽部孝士をいじめていた自衛官全員が楠木武と口裏合わせるのは余りにも酷過ぎます。」

「地球人が嫌いな君も軽部孝士を不憫に思うか。楠木武は典型的な事大主義者だから我々金星人に刃向かうことはまず無いと最初からわかってはいたが、こんなことになるなら核弾頭をあの男に渡すべきでは無かったと正直後悔している。結局楠木武の浅はかな核攻撃のせいで余計にゴジラが強大化し、新兵器D-03も全く通用しなかった。本当にあの巨神を倒せるのだろうな?」

「心配ご無用です。あの兵器が完成すれば強大化したゴジラといえどもひとたまりもありません。そもそも私はD-03製造開発への技術支援など自衛隊との友好を演出する茶番に過ぎないと認識しておりました。対ゴジラ用兵器として製造したフルメタルミサイルで殺傷出来ないゴジラを対ゴジラ用兵器でさえない削岩弾で打倒など土台無理ですので。それでは私はこれにて。」

 ヨヴェルが退出するとホシェルは机の上にある新聞を広げた。「ゴジラ抹殺失敗」、「政府の非核三原則違反に野党攻勢」、「ドクターホエール被害者の会結成」等紙面の見出しから門長内閣に媚び続けてきた報道機関の支持率下落に乗じた手のひら返しが窺える。