芹沢亀吉
2024-09-07 01:06:07
257331文字
Public キングギドラ
 

巨神聖戦記

2020年6月11日にTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算11話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。キングギドラが主人公を担いゴジラ、モスラ、ラドンも大活躍。残忍描写濃い目なので閲覧注意。菊タブー?何それ?


「もう止めよう。地球の制圧も金星帝国再興も全て止めよう。」

 途端に大衆が一斉に青ざめ、ヨヴェルが色をなして叫んだ。

「これから地球制圧を開始するという時に何てことを仰るのですか!暴悪龍を滅したことでお気持ちが上向きになりご冗談を仰りたくなるご心中はお察し致しますが、たとえご冗談でも仰って良いことと悪いことがございます!」

 ホシェルは間髪入れずに反論した。

「僕は地球の制圧も金星帝国再興も全て止めようと本気で言ったんだ。ヨヴェル、以前金星帝国が滅んでから10000年あったのだから自分達で地球制圧を進め君が皇帝になり帝国を再興することも出来たのではないかと僕が質問した時、我がクローンを迎え帝国を再興せよという皇帝の命令を10000年間守り続けてきたと君は答えたよね。つまり皇帝の命令は絶対ということだ。」

 目の前のホシェルがパウルの人格に戻っていることに気付きヨヴェルが舌打ちする中、パウルは話を続ける。

「そして僕は皇帝だから地球の制圧も金星帝国再興も全て止めようという僕の命令には皆が従わなければならない。帝国再興で地球の自然が金星同様悲惨なことになるのは目に見えている。そんなの絶対駄目だ。だからもう一度言う、地球の制圧も金星帝国再興も全て止めよう。帝国再興の取り止めと同時に皇帝の地位も権限も全て消滅するから、これが金星帝国皇帝の最後の命令だ。」

 誕生直後に先祖の記憶を移植されたヨヴェル達と違い、ホシェルは地球人としてマリアに育てられパウルの人格が完成した後皇帝の記憶を移植された身。そしてインドラ搭乗時に引力光線から拡散された電磁パルスを浴びホシェルの人格、即ち移植された記憶に基づく後付けの人格が頭痛を伴いながら徐々に消滅していった。ちなみに一度消滅した後付けの人格はもう二度と復活しない。

「馬鹿も休み休み言え!貴様が冷凍睡眠状態で宇宙を放浪しているに間にも、地球人に育てられ何も知らないままのうのうと暮らしている間にも私は、いや我々金星人は帝国再興のため血の滲む努力を重ねてきたんだ!私は金星帝国宰相として帝国が復活する日をずっと心待ちにしてきたんだ!今更止めろと言われても聞けるものか!」

「ヨヴェル、もうこれ以上罪を重ねるのは止めよう。今ならまだ間に合う。僕の命令一つで侵略も環境破壊も止められる。インドラを廃棄し今まで通り海底で静かに暮らそう。お願いだから僕の頼みを聞いて欲しい。金星帝国皇帝の最後の命令に従って欲しい。」

 金星帝国の法では皇帝の命令に背く者は反逆罪により処刑と定められているとはいえ、今のパウルにヨヴェルを処刑する気など毛頭無い。7年間ずっと自分を支え続けてくれたヨヴェルを処刑するのは余りにも忍びないからだ。マリアと共に暮らしていた頃と同じく純真なパウルは誠心誠意説得すれば自分の思いが必ずヨヴェルに届くと信じて疑わない。

 その頃アンナはジョナのコードを駆使し帝国再興派の金星人達が打ち上げた衛星へのハッキングに成功していた。

「マリアさん、貴方の息子さんが元に戻ったようですよ。こちらの映像をご覧下さい。」

 帝国再興取り止めを口にするパウルのライブ映像を観たマリアは安堵し、チェン姉妹や一ノ瀬も喜んだ。

「確かにパウルが地球の制圧を止めようと言ってます。やっぱりあの子の純真さは昔のままなんですよ。」

「マリア先生、やっぱり息子さんは生きていたんですね。本当に良かったです。」

「私はパウルさんの論文と出会い生物学者になりました。そのパウルさんが行方不明と聞いた時は悲しくなりましたが無事だったんですね。彼の海洋生物学に関するお話を一度ゆっくり聞きたいです。」

 アンナ達が眺める画面は海上のエレボスの様子を音声付きで詳細に伝え、現在プエルトリコにいる전も無人航空機RQ-4グローバルホークを飛ばしバミューダ海域一帯を偵察しエレボスを発見したばかり。