芹沢亀吉
2024-09-07 01:06:07
257331文字
Public キングギドラ
 

巨神聖戦記

2020年6月11日にTwitterに投稿した暴虐な軍国主義者、楠木武が恥をかく物語の通算11話目の加筆修正版をPrivatter+に投稿。キングギドラが主人公を担いゴジラ、モスラ、ラドンも大活躍。残忍描写濃い目なので閲覧注意。菊タブー?何それ?


 亀裂だらけの天井はあちこちから光が漏れ、懐中電灯を持たずとも何とか前が見えるのは榊ら2人にとって不幸中の幸いか。とはいえあくまでも地下道故暗い箇所が大半のため足元に亀裂があっても暗くてわからない。その亀裂に右足の爪先を引っかけてしまった榊は気の焦りから走っていたのが祟り、勢いよく転びレールに前頭部をぶつけて意識を失った。

「あんたはここであの猿共にやられればいい。今からこの俺がANOSAPの会長だ。あばよ、榊大翔サン。」

 かねてより榊に取って代わる野望を持っていた谷にとって、命を狙われている榊がうつ伏せ状態のまま意識を失ったのは千載一遇の好機なのだろう。

 6600万年前の地球にて生態系の頂点に君臨していたのは植物由来の巨獣だ。この巨獣は生態系の頂点に立ちたい欲に駆られ、20000年かけ体高300m以上にまで巨大化しつつ自身の細胞由来の動植物を地球全体に蔓延させ恐竜をはじめ元々地球にいた生物の大半を絶滅させた文字通りの暴君。文明人による環境破壊もこの暴君の大悪事と比べれば可愛らしく見える。

 どういうわけかこの暴君はゴジラに似た姿をしているものの、背びれと思しき背中の突起が柊の葉のような形状、尾の先端がアスパラガスのような形状と、少し注意して見れば本物との相違が目立つ。本物のゴジラがペルム紀末期以降は深海で永い眠りについているのをいいことにやりたい放題、これもゴジラの偽物らしいセコさの現れ。

 そんな地球に巨大隕石が迫っていた。暴君は体内に蓄積している多量の電磁波を口に集約して破壊光線を撃ち、大気圏に突入したばかりの隕石を爆砕。砕け散った隕石の中から姿を現したキングギドラは全く負傷していない。

 みるみるうちに暴君の頭上を巨大な積乱雲が覆い尽くしたのは、勿論キングギドラの天候操作能力である。暴君は上空のキングギドラを狙い破壊光線を撃つものの、キングギドラが隠れている積乱雲の至る所から発生する雷に阻まれ正確に狙うことが出来ない。暴君から細胞分裂し生じたフィリウスなる暴君の小型個体も出現したとはいえ、暴君同様に破壊光線を撃っても全て雷に阻まれている。

 私利私欲により地球全体の生態系を滅茶苦茶にした極悪非道な暴君だけに、全身から放つ邪念はキングギドラの各首が閉口する程凄まじい。暴君は咆哮しセルヴァム、即ち下僕達を呼びつけた。セルヴァムには翼竜型とワーム型がいて、いずれも暴君と同一の細胞を持つ分身である。暴君は「外敵」キングギドラに下僕の群れを従える自分が地球の支配者だと示したいようだ。

 暴君の咆哮を合図として翼竜型セルヴァムの群れが積乱雲に突入していく。翼竜型セルヴァムの群れにキングギドラを襲わせ雲の外に引きずり出すという暴君の作戦だ。ところがここで天候を自由自在に操るキングギドラが各首の咆哮により翼竜型セルヴァムの群れも操り始め、地球の支配者を自認する暴君にとってあってはならない局面に。

 キングギドラの下僕と化した翼竜型セルヴァムの群れが積乱雲から出て一斉に暴君を襲う。フィリウスもキングギドラを狙うのを止め暴君目がけて破壊光線を撃つ。核爆発も通さない頑丈な電磁シールドで全身を覆っているため翼竜型セルヴァムの突撃もフィリウスの破壊光線も受け付けないとはいえ、自分の分身全員に造反され集中攻撃されているのだから暴君の精神的苦痛はいかばかりか。

 積乱雲の中から地上の激闘を眺めるキングギドラの左右の首の脳内にふと疑問が浮かぶ。分身即ち翼竜型セルヴァム並びにフィリウスを操れるなら本体即ち暴君も操るべきではという疑問だ。一方中央の首は地球全体の生態系を蹂躙し20000年間好き勝手してきた暴君を敢えて操らず分身全員に裏切られる絶望を味わわせるべきと考えていて、左右の首も中央の首の解説に納得した。

 暴君は押し寄せる翼竜型セルヴァムの群れに容赦無く破壊光線を撃ち込み爆砕したものの、今や地球上全ての翼竜型セルヴァムがキングギドラの意のままに動き、いくら暴君が口や尾の先端からの破壊光線、超大音量の咆哮による超振動波等様々な攻撃により群れを殲滅しても、次々と後続の群れが押し寄せるためキリが無い。

 突然暴君が悲鳴を上げ巨体が左方向に大きく傾いた。ワーム型セルヴァムの群れも皆フィリウス並びに翼竜型セルヴァム同様キングギドラの下僕と化し、暴君の足元を一斉に掘り進み落とし穴を作ったのだ。ちなみに暴君と同じく全身を頑丈な電磁シールドにより覆うフィリウスではあるものの、暴君が転倒する直前に撃った破壊光線によりその電磁シールドを撃ち抜かれ爆死した。

 キングギドラの各首は相談し、電磁シールドを突破出来ずにいるセルヴァムの群れの手助けをすることに。左の首は暴君がフィリウスを仕留める様子を観察し、多量のエネルギーにより一点を狙えば暴君の電磁シールドにも穴が開くことに気付いたようだ。