芹沢亀吉
2024-09-04 01:16:26
143708文字
Public 菊タブー
 

108と108

暴虐なナルシストかつ軍国主義者な楠木武が恥をかく物語の通算108話目。仏教において人間一人が持つ煩悩の数は108とされ今回はその108に焦点を当ててみた。いつも通り特盛の残忍描写に加え今回は性描写も色濃く、18歳未満の方が読むのはお勧め出来ない。


「私一人相手にこんな大勢で、しかも背中を狙う卑怯な手を使っておきながら全員返り討ち、これが尾崎、お前の言う精鋭部隊か。」

 藤崎の発言に逆上し右手の拳を振り上げた尾崎を再び激痛が襲う。

「もういいかな?今度こそ帰るよ。尾崎お前が巨神達にギャフンと言わされるのを楽しみにしているから。」

 呻き回る尾崎らを尻目に藤崎はカイザー能力を使い機器を操作し母艦から出ると、両側のドアに「M-Organization」即ちM機関と書かれたメガクルーザーに乗り込んだ。先程尾崎らがX星人討伐に出向いた際この車両を使い、現在宮殿東庭の片隅には複数台のメガクルーザーが並ぶ。

「藤崎さん、ご無事で何よりです。一ノ瀬さん達は今赤坂御苑の地下シェルターにいまして、彼女達にも貴方がそちらに向かう旨を伝えています。」

「わかりました。それでは貴方のお告げ通り赤坂御苑に向かいます。」

 霊力を使いすぐ連絡してくれる石香炉は実に心強く、愛しの一ノ瀬が危険な地上に出なくて済む。

 その地上の危険の一つ、巨人楠木は急激な巨大化に起因する激痛が全身を襲い、市ヶ谷一帯を転げ回り呻いている。藤崎にとって移動中楠木に襲われる危険性がほぼ無いのは有難い一方、その叫び声がやかましくて仕方ない。ガイガンはカイザー能力により動きを止め、ムートーは現在品川にいるのが幸いし藤崎は無事赤坂御苑に辿り着いた。

 地下シェルターに入った藤崎は愛しの先輩の生還に感涙中の一ノ瀬と抱き合う。

「由衣、突然いなくなってゴメンね。」

「石香炉さんからあの尾崎に無理矢理に瞬間移動させられたって聞いているよ。もう同じ目に遭ったりしないよね?」

「もう大丈夫、さっきと違ってあいつの超能力遮断出来るから。本当はこのまま由衣と抱き合い続けたいけど、大至急隊長に報告しないといけないことがあるんだ。」

 今の藤崎ならたとえ尾崎が再び母艦最深部に瞬間移動させようとしても、カイザー能力により完璧に阻める。

「隊長、こちらをご覧下さい。」

 そう言って藤崎は母艦から出る際頂いた小型端末を操作し、南極に出現したゴジラの映像をジョナに見せた。

「漸く現れたか、地球最強の巨神、ゴジラよ。」

 画面を観てそう呟いたジョナは何処か嬉しそうな表情だ。

「やはり隊長は先月大阪に上陸したのはゴジラとは別物で本物のゴジラは別にいると確信されていたのですね。」

 藤崎のこの発言に対しジョナは微笑みながら頷く。

「藤崎さん、貴方とは違い尾崎は先月大阪に上陸したのを本物のゴジラだと思い込んでいたようだな。その尾崎が本物のゴジラをその力により従えられるか否か我々はじっくり見ていこうではないか。」

 実のところカイザーとして完全に覚醒した今の自分の力をもってしてもガイガン一体を一時的に動き止めるのが精一杯、その旨を藤崎が申告するとジョナはこう言った。

「そもそも我々が圧倒的に不利なのは最初からわかっていたことだ。そんな中藤崎さん、貴方はガイガンの動きを止め我々が避難する時間を作り、X星人の立ち位置を奪った尾崎に煮え湯を飲ませた。貴方はもう十分過ぎる程働いてくれたよ。だから卑屈になることは何も無い。この後我々に出来るのは戦いの行方を見守ることだけだ。」