芹沢亀吉
2024-09-04 01:16:26
143708文字
Public 菊タブー
 

108と108

暴虐なナルシストかつ軍国主義者な楠木武が恥をかく物語の通算108話目。仏教において人間一人が持つ煩悩の数は108とされ今回はその108に焦点を当ててみた。いつも通り特盛の残忍描写に加え今回は性描写も色濃く、18歳未満の方が読むのはお勧め出来ない。


「志保先輩にそう言われると何だか照れるよ。でも曲がりなりにもこうやって志保先輩と一緒にドライブ出来て嬉しい。」

 自動車の運転が苦手なのもあり、一ノ瀬は憧れの先輩が運転し自分は助手席に座るこの状況が嬉しくて仕方ないのだろう。

 鶴橋から自主避難したコリアン達の中にマイクロバスに相乗りし和歌山方面を目指す人達がいて、堺市、和泉市を通過するも岸和田市内にて高機動車に進路を阻まれ先に進めない。

「おい、そこのキムチ臭ぇマイクロバス、ここは日本人専用道路だ!貴様らに通行資格など無い!とっとと引き返せ!」

「日本人のフリしても無駄だ!貴様らが在日なのは知っている!車体のおでん文字がその証拠!貴様ら在日はこの世で最も卑しい人種だ!さあ、選べ!マイクロバスから出てきて蜂の巣にされるかマイクロバスごと爆砕されるかを!」

「なにわナンバー、大阪市内から来たのか。随分逃げ足の速いことで。避難するなら南じゃなくて北に行けよ。さあ、早く行け!」

といった具合に高機動車の車内から身を乗り出し在日コリアン達への誹謗中傷を楽しむ地球防衛軍人共は卑劣極まりない。現在大阪市北部に巨大不明生物ばかりか民間人を容赦無く踏み潰す戦車隊がいるのを踏まえると、「避難するなら南じゃなくて北に行け」の卑劣さがわかるだろう。

「おっと、仲間が来たぞ。あいつらが到着したらマイクロバスの連中全員殺っちゃおうぜ。」

 新たな高機動車の接近に仲間が来たと思いほくそ笑む軍人共ではあるものの、その高機動車が少し離れた場所に停車し中から出てきた藤崎がいきなり84mm無反動砲をぶっ放したため全員仲良く消し飛んだ。

「今の私が撃っても良かったんだよ。あいつらは在日コリアン迫害を楽しむクズだし、どう見ても改心の余地無いし、志保先輩共々地獄に行く覚悟を示すため私が。」

「それ以上言うな!」

 一ノ瀬に対し怒鳴った藤崎の表情は鬼気迫り、両目には大粒の涙が浮かぶ。

 たった今自分が人を殺す理由を探していたことに気付き、一ノ瀬はハッとした。

「由衣、貴方強がっているけど本当は繊細で純真。そんな人が一度人を殺せば心が罪悪感に押し潰され廃人状態になる危険性もあるし、良心の呵責なら逃れるため殺人に快楽を見出しそのまま快楽殺人鬼になる危険性もある。貴方ほど純真でない私でも初めて人を殺した後眠れない日が続いたんだよ。貴方には廃人になってほしくないし、快楽殺人鬼にもなってほしくない。」

「ごめん、志保先輩ごめん。」

 泣き崩れた一ノ瀬の身体を藤崎の両腕が優しく包み込む。

「由衣は撃たなかった。それで良い。一線を越えず踏みとどまった。それで良い。今日は朝から色々あり過ぎて疲れたよね。毛布あるから助手席で寝てて。和歌山に着いたら起こすから。おっと、あのマイクロバスも先導しないと。」

 マイクロバスの人達は新たな高機動車の接近に怯えたものの、助手席にてすやすや眠る一ノ瀬の寝顔を見た途端に皆安堵した。

 淀川の河川敷にはメーサー戦車部隊がズラリと並び、楠木の指令を待つ。

「現在ゴジラは新大阪駅方面に移動しております!メーサー戦車部隊配備完了です!」

「ならば早速攻撃開始だ!あのデカブツに最新鋭のメーサー砲をお見舞いしてやれ!」

 楠木が檄を飛ばすとメーサー戦車隊が一斉にメーサー光線を撃ち、今年制式化されたばかりの「しらさぎ」ことAC-25戦闘機も両翼のメーサー砲を使い巨大不明生物を狙い撃つ。出力80万ボルトとAC-25のメーサー砲は出力500万ボルトの22式メーサー戦車より大きく劣るとはいえ、出力15万ボルトの4式メーサー戦車の比ではない。地球の主導権を取り戻すため巨神殲滅という文明人のあさましい妄執を原動力とし、ここ20年間の兵器性能の向上は20世紀のそれを遥かに凌ぐ。