芹沢亀吉
2024-09-04 01:16:26
143708文字
Public 菊タブー
 

108と108

暴虐なナルシストかつ軍国主義者な楠木武が恥をかく物語の通算108話目。仏教において人間一人が持つ煩悩の数は108とされ今回はその108に焦点を当ててみた。いつも通り特盛の残忍描写に加え今回は性描写も色濃く、18歳未満の方が読むのはお勧め出来ない。


第一章 「建国」宣言と熱愛


 アメリカ海軍の原潜ノーチラスの潜航に反応しペルム紀末期以来北極海の奥底に潜み続けていたゴジラが活動を再開した1954年を皮切りに、世界各地に潜む巨神達の活動が活発化した。翅から強烈な光を放ち蛾に酷似した姿のモスラ、飛翔速度はマッハ3を超え全身を覆う皮膚が溶岩状の怪鳥ラドン、全長約370mとゴジラを遥かに凌ぎ口から強い毒を吐く巨大海蛇ティアマト等である。

 長年眠り続けてきた巨神達が20世紀後半に活動を再開したのは地球規模の自然破壊を行う文明人共に制裁を加えるため。世界中の核保有国が核実験と称しゴジラへの核攻撃を繰り返したものの全て徒労に終わり、膨大な財力、軍事力を費やすもどの巨神も打倒出来なかった為政者共は巨額の財政赤字に頭を抱えることに。21世紀を迎える頃には何をやっても巨神は倒せないし止められないという諦念が所謂先進工業国の間に広まったのは当然の帰結と言えよう。

 そんな中自衛隊がゴジラを南極へと追い込み地中に封印したとの速報が世界中を駆け巡った。速報によると南極に出撃した自衛隊の部隊はほぼ全滅したものの唯一人生き残った全裸姿の楠木の気迫にゴジラが怯え自ら地割れに飛び込みそのまま雪崩に飲み込まれたとのこと。無論この速報はゴジラに勝ったと信じてやまない楠木によるホラ話だが。

 入間基地に南極観測支援機ロッキードLC-130が着陸し、楠木は機内から出た途端に全身に纏う毛布を脱ぎ捨て以下の通り叫ぶ。

「見よこの楠木の肢体を!ゴジラも恐れをなして逃げ出した神の如き肉体美を!少年ダビデが全裸で暴虐な巨人ゴリアテを打ち倒したように、この楠木は全裸で暴虐な魔獣ゴジラを退散させ分厚い氷の下に封じ込めた!そんな我が全裸を無料で拝める諸君は天下一の果報者だ!グハハハハ!」

 見たくもない全裸を見せられ悲鳴を上げる女性自衛官達を目の当たりにし加害欲を増幅と、今の楠木は完全に露出魔である。

 数日後、都内の靖国通りにて戦勝パレードが開催された。パレードの主役である楠木はパレード開始早々に衣服も下着も全て脱ぎ捨て自らの股間を中継カメラに密着させる等やりたい放題し、最早羞恥心の欠片も無い。

「この楠木のイチモツは映像として永久保存しておくだけの価値があるからな!グハハハハ!日本男児の諸君、わざわざルーブル美術館に行かずともダビデ像は見れる!この楠木の肢体こそ生けるダビデ像なのだからな!さあ思う存分この楠木の肢体を拝むがいい!」

 楠木がやたらとダビデ像と己を重ねたがるのは所謂「日ユ同祖論」を真に受けているから。そこまでミケランジェロのダビデ像に拘っている割に、そのダビデ像がフィレンツェのアカデミア博物館に収蔵されているとも知らずルーブル美術館所蔵と思い込んでいるのもお笑い草だが。

 いきなり銃声が鳴り響き、パレード車輌の屋根の上に仁王立ちし両手を腰に当て馬鹿笑い中の楠木が仰向けに倒れ込んだ。両目を見開いたまま仰向け状態の全裸男即ち楠木の眉間に弾痕が出来ている。

「誰だぁ!?誰が撃ったんだぁ!?」

「見事ゴジラを打ち倒した俺達の英雄が!此畜生!」

 突然の「英雄の死」を目の当たりにし驚愕した観衆達は程なくして更に驚愕することに。

「た、立った!楠木二尉が立った!」

 起き上がった楠木の眉間の弾痕が瞬く間に消え、背中の無数のミミズ腫れもいつの間にかきれいさっぱり無くなっている。

「何者か知らんがこの楠木を撃ってくれて礼を言う!お陰でこの楠木が神の如き存在であることを皆に知らしめることが出来た!何ならもっと撃っても構わんぞ!この楠木は不滅だ!グハハハハ!」

 楠木の挑発に乗せられたかのように再度銃声が響き、楠木の左胸及び右こめかみに銃弾が食い込んだ。どうやら狙撃手は複数人いて複数の個所から楠木を狙ったらしい。先程と違い撃たれても倒れもしない楠木は最早撃たれた時の痛みさえ感じていない模様。

「どうしたどうしたスナイパー共!この楠木の心臓はまだ動いているしこうして喋ることも出来るぞ!ゴジラでさえ恐れをなして逃げ出したこの楠木を貴様らスナイパー共が仕留められる筈無いだろうが!グハハハハ!」