暴虐なナルシストかつ軍国主義者な楠木武が恥をかく物語の通算108話目。仏教において人間一人が持つ煩悩の数は108とされ今回はその108に焦点を当ててみた。いつも通り特盛の残忍描写に加え今回は性描写も色濃く、18歳未満の方が読むのはお勧め出来ない。
奈良県橿原市に広池ら閣僚達を乗せた要人輸送ヘリコプターEC-225LPが飛来した。ヤマト皇国は奈良県を「首都」に定め、
橿原神宮の敷地内には仮首相官邸が設置され広池がヤマト皇国初代首相として政務を執る。
「へっ、陛下、いくら何でも御自ら巨神討伐に向かわれるのは危険では?」
広池の表情がどんどん青ざめる中、清仁はヤマト皇国首相の怯える様子を画面越しに眺め楽しんでいる様子。
「朕が直々に我が皇国の初代総理に任じ組閣を命じたというのに広池そなたは臆病風に吹かれ過ぎだ。楠木が自らゴジラと対峙し南極の地に封印したと豪語し世界的な支持を得た以上、朕もまた最前線に立ち巨神を討ち果たさねば楠木の後塵を拝し続けることになる。心配は無用ぞ。この新轟天号の性能は海江田も認める折り紙付き。その艦内に現人神である朕が在し三種の神器もあるから鬼に金棒。巨神など鎧袖一触にしてくれるわ。」
ヤマト皇国の実権は清仁が握り、広池をはじめ閣僚達が有する権限は微々たるもの。楠木にこき使われる毎日が嫌になりヤマト皇国に鞍替えしたら今度は清仁のわがままに振り回される毎日が始まった広池の心中は如何ばかりか。
大多数の日本国民がヤマト皇国に鞍替えするか否かで混乱する中、
一ノ瀬由衣は生物学に基づく巨神の研究を続けている。この若き生物学者は様々な研究を経て紫外線を見ることが出来る蜂をはじめ様々な生物が人間を凌ぐ能力を有することを学び、人間こそ万物の霊長という発想など単なる文明人の自惚れに過ぎないと看破した。巨神の破壊活動が自然の支配者ぶり自然破壊を繰り返す文明人への制裁であることも理解しているだけに、国威発揚のため武力による巨神打倒にのぼせ上がる日本国にもヤマト皇国にも肩入れ出来ないのだ。
「一ノ瀬お前もっと女らしい言葉使ったらどうなんだ。折角の美貌が台無しだぞ。」
「一ノ瀬由衣ちゃん、君ミニスカート似合いそうだね。あともっと胸元強調した服の方が絶対良いよ。良い身体しているんだから。」
「一ノ瀬由衣さん、この俺と結婚を前提に交際して欲しい。女が生物学を学んで何になる?こんな美人と交際し一緒に暮らせるなら仕事に打ち込むモチベーションも上がるし、君だって俺みたいな高身長高学歴高収入の男と結婚するのは願っても無い話の筈だ。」
といった具合に日頃から数々のセクハラ発言に晒された一ノ瀬は男性への不信感が強く、その男性である楠木が威張り腐る日本国並びに清仁がふんぞり返るヤマト皇国を彼女がどのように捉えているかは想像に難くない。
そんな一ノ瀬を訪ねて大阪大学にやってきたのは何と広池である。
「総理大臣って暇なんだね、私みたいな研究員見習いにわざわざ会いに来るなんて。予め言っとくけど私、消費税増税で庶民を苦しめ自分は裏金作りに励み私腹肥やすあんたみたいなクズの下で働く気なんてこれっぽっちも無いから。武道館の愚かしいイベントに抗議したばかりの私に声かけるなんてお門違いも良いところ。御用学者をご所望なら他を当たった方が良いよ。」
楠木が武道館にてぎこちない踊りと最早騒音にも等しい壊滅的な歌声を披露していた丁度その頃、この若き女性学者は武道館前に足を運び建国記念の日に反対するデモに参加していたりする。そのデモは右翼の集団に襲撃され会場周辺の警官共は見て見ぬフリしていたものの海江田による新轟天号強奪の速報が入った途端に暴漢共は蜘蛛の子散らすように立ち去り、一ノ瀬自身他のデモ参加者達の奮闘並びに万一を考え隠し持っていた痴漢除けスプレーにより何とか負傷せずに済んだ。
「私は陛下から直々に一ノ瀬由衣さん、貴方をヤマト皇国にお迎えしろと命を受け今ここにいる。貴方が陛下のお求めに応じるまで私は帰れない。」
広池がそう言うと秘書の一人がタブレット端末を操作し清仁の顔が映る画面を一ノ瀬に見せた。
「そなたは前置きを嫌う性分と聞いておるから早速本題に入ろう。娘よ、父である朕に、我が皇国に力を貸して欲しい。」
思わず「はぁ!?」と叫んだ一ノ瀬に対し広池並びに秘書が解説するところによると、DNA鑑定により一ノ瀬と清仁が実の親子と判明したとのこと。
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