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芹沢亀吉
2024-09-04 01:16:26
143708文字
Public
菊タブー
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108と108
暴虐なナルシストかつ軍国主義者な楠木武が恥をかく物語の通算108話目。仏教において人間一人が持つ煩悩の数は108とされ今回はその108に焦点を当ててみた。いつも通り特盛の残忍描写に加え今回は性描写も色濃く、18歳未満の方が読むのはお勧め出来ない。
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第二章 シン・元老と愚鈍な巨獣
北極海最深部、深さ約5400mのリトケ海淵を潜航中の新轟天号は巨神ティアマトに挑み苦戦を強いられ、当初は楽勝だと思っていた清仁は今猛烈に機嫌が悪い。
「海江田、話が違うぞ!この新轟天号ならあのような大海蛇など鎧袖一触ではなかったのか!」
普段は冷静な海江田が清仁に怒鳴られ縮こまる中、その清仁がいきなり服を脱ぎ始めた。
「へ、陛下、何てことをなさるのですか!早くお召し物をご着用下さい!」
「あのゴジラが楠木の全裸を恐れ退散したのだから、朕が全裸になれば必ずや大海蛇は退散する!退散するに決まっておる!楠木に出来て現人神である朕に出来ぬことなど無い!」
ティアマトの長い身体に締め上げられ艦全体が軋む新轟天号の艦内では今上天皇が素っ裸、そこいらのパニック映画並びに特撮映画ではまずお目にかかれない展開である。つい最近楠木の裸体をこき下ろした癖にティアマトに追い詰められるとその楠木を真似て全裸に、清仁の節操の無さは最早表彰もの。
どこからともなく一ノ瀬が姿を現し、全裸姿の清仁を眺めながら嫌らしく微笑む。無論深海を潜航する新轟天号の艦内に一ノ瀬本人がいる筈も無くこれは清仁だけに見える幻影だが。
「こ、小娘貴様、どうやってここに入った!?な、何だ、その表情は?あ、現人神である朕に対して無礼であろう!」
「オホホ、貴方全部脱いだのね。面白くない芸人が苦し紛れに尻を出すのは割とよくある話だけど、こんな場所で素っ裸になる今上天皇とか前代未聞だし貴方恥をかくことに関しては超一流だわ。ひょっとして恥晒しとして歴史に名を残せちゃったかしら?」
「黙れ!小娘が!黙れ!黙れ!黙れ!黙れぇ!現人神である朕を愚弄など断じて許さん!何をしている、海江田!?早くこの小娘を射殺しろ!朕を愚弄したのだ!直ちに射殺しろ!射殺しろ!射殺しろぉ!」
何かに怯え誰もいない方向を指差しひたすら怒鳴る自称現人神の醜態を目にした海江田らは開いた口が塞がらない。先日一ノ瀬に一喝され精神的に参った清仁は彼女を心底恐れるようになり、ティアマトに追い詰められているこの状況が彼女への恐怖心をより一層増幅させ幻影を見るまでになったのだろう。なお自身の裸体を見て嫌らしく微笑む一ノ瀬の幻影はあくまで清仁の被害妄想の産物であり、そもそも小学生時代に遭遇した露出魔へのトラウマを抱える本物の一ノ瀬に清仁の裸体を嘲る精神的余裕など無く、所謂ジェンダー規範を強く拒む気質故「~のね」、「~だわ」、「~かしら」といった所謂「女性語」はまず使わない。
程なくして艦内の人々の表情に安堵の色が戻ったのは何故かティアマトが締め付け攻撃を取り止めたからだ。清仁に至っては一ノ瀬の幻影が消えたのもあり早速調子に乗り始め、新轟天号の艦体から離れたティアマトを画面越しに眺めもう勝った気でいる。
「見よ!朕が全裸になった途端にあの大海蛇は恐れをなし逃げ出した!あとは海江田そなたの仕事ぞ!」
清仁が全裸姿のまま檄を飛ばすと、海江田は自ら照準器を操作しティアマトに狙いを定めた。
「目標速度約40ノット、プラズマ原子炉出力上昇、新絶対零度砲発射。」
海江田が下した指令通り新轟天号は艦首のドリルから先代の轟天号の絶対零度砲を凌ぐ強烈な冷気を帯びる白色の光線砲を放つ。予てより海江田はモーツァルトの楽曲を好み、現在新轟天号の艦内に鳴り響く『レクイエム ニ短調』は新絶対零度砲が命中し全身氷漬けとなったティアマトに捧げる葬送曲、らしい。
後は全身氷結状態のティアマトを艦首のドリルで粉砕するだけ、新轟天号艦内の誰もがそう思っていた、ティアマトが全身から高圧電流を放射し体表面を覆う氷全てを砕くまでは。実のところティアマトは締め付け攻撃の最中に新轟天号の艦内から濃厚な邪念を感じ取り、このまま捻り潰すより一旦やられたふりをして邪念の主を油断させてから奈落の底に叩き落とす方が良いと判断していた。そしてその濃厚な邪念は己を現人神と信じてやまない清仁の慢心に起因する。
「海江田ぁ!もう1発だ!もう1発撃てぇ!今度こそあの大海蛇を仕留めろ!現人神である朕の敵は皆滅ぼせぇ!」
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