芹沢亀吉
2024-09-04 01:16:26
143708文字
Public 菊タブー
 

108と108

暴虐なナルシストかつ軍国主義者な楠木武が恥をかく物語の通算108話目。仏教において人間一人が持つ煩悩の数は108とされ今回はその108に焦点を当ててみた。いつも通り特盛の残忍描写に加え今回は性描写も色濃く、18歳未満の方が読むのはお勧め出来ない。


「あっ、ああっ、そっ、そこ凄く気持ち良ぃい。じっ、実はね、私さっき志保先輩がミュータントだと知った時ああやっぱりと思ったんだ。」

 驚いた藤崎は顔を上げ、肩で息をしている仰向け状態の一ノ瀬の顔を見た。

「お、大阪にいた最後の日に私を襲おうとしたクズ兵士5人をあっという間に叩きのめしたことあったよね。その時の志保先輩の動きが余りにも俊敏だったから、ひょっとしたらこの人ミュータントかなとふと思ったんだよ。」

 一ノ瀬は生物学者だけあってミュータントにも以前から関心を持ち、「ミュータントの兵器利用を止めろ!」とM機関に抗議するデモに参加したことも。

「つまりその頃からずっと私がミュータントかもしれないと思っていて、それでも今まで通り私を愛しく思っていたってこと?」

「ミュータントだろうと、サイボーグだろうと、異星人だろうと志保先輩は志保先輩、私の憧れの先輩だから。」

 藤崎の両頬に涙が伝う。

「由衣、貴方って子は。」

 以前蜜事の最中にそうしたように、一ノ瀬はティッシュペーパーを1枚手に取り藤崎の両頬を優しく丁寧に拭く。

「志保先輩、そろそろ楽しい大人の時間を再開したいんだけど、良いかな?」

 二人は唇を重ねながら互いを強く抱きしめ、日付が変わるまでベッドの中で愛し合った。

 さてここで物語の舞台を赤坂御苑に移し、一ノ瀬と藤崎が激しく愛し合っていたのと丁度同じ頃義仁邸では何が起きていたのかを見ていこう。

「こっ、これは一体?」

 怯える義仁の目線の先には先程まで妃の理子あやこだった射殺死体が転がり、みるみるうちに人間の心臓を彷彿とさせる形状の頭部をはじめ全身から奇怪さの漂う銀色の怪人へと変化していく。理子に擬態していたこの怪人は寝室に入った義仁を襲おうとするも皇宮護衛官に射殺され、義仁が見ている中その正体を現したのだ。

「殿下、お怪我はありませんか?」

「ちゃんと見ろ!俺は怪我なんかしてない!それよりこいつは一体何なんだ!?本物の理子は何処に行ったんだ!?」

 怪人を射殺した皇宮護衛官に向かって怒鳴るこの皇嗣は明らかに度を失っている。

「殿下、誠に申し上げにくいのですがおそらく本物の理子さまはもう。」

 皇宮護衛官の発言に義仁は青ざめ、そして逆上した。

「なっ、何てことだ、何てことだ。理子とは長年連れ添った仲なのに、こんな、こんなことが。こっ、この役立たず!貴様らがもっときちんと警護していれば理子がこんな化け物と入れ替わることも無かったんだぞ!貴様クビだ!皇宮護衛官全員クビだ!今すぐここから出ていけぇ!」

 当然ながらいくら義仁が皇宮護衛官を罵倒しても本物の理子は決して戻らない。

「勿論私は辞表を書かせて頂きます。ですが殿下、今皇宮護衛官全員を解雇したら誰が殿下を、皇室の警護を行うのですか?それとこの件は表沙汰にしない方が宜しいかと。皇室の体面に関わりますので。理子さまはご病気で急逝されたことにしてこの遺体は私が処分させて頂きます。」