芹沢亀吉
2024-09-04 01:16:26
143708文字
Public 菊タブー
 

108と108

暴虐なナルシストかつ軍国主義者な楠木武が恥をかく物語の通算108話目。仏教において人間一人が持つ煩悩の数は108とされ今回はその108に焦点を当ててみた。いつも通り特盛の残忍描写に加え今回は性描写も色濃く、18歳未満の方が読むのはお勧め出来ない。


「貴様ぁ!」

 ミュータント特有の俊敏な動きを見せ統制官に直接飛びかかる尾崎は他のミュータント兵士達とは違い呻いてはいない。しかし向こうも格闘戦には自信があるらしく軽くあしらわれ逆に突き飛ばされる体たらく。

「なるほどお前はカイザーのようだな。だがまだ力が覚醒していない。」

「カイザー?」

「ミュータント、即ちX星人と地球人の混血個体の中にはごく稀に地球人は勿論、純血のX星人をも遥かに凌ぐ能力を持つ最強個体がいる。それがカイザー、お前がそれだ。だから他のミュータント達のようには操れない。そして俺もまたカイザー、地球にて生まれX星にて育った。あのクソ司令に育てられたんだよ。」

 すると画面の向こうの統制官に向かって一ノ瀬はこう言った。

「もしかしてM塩基には精神感応に強く作用する性質があるのかな?だからカイザーなる存在は精神感応によりM塩基を持つ者を操れる。まさかあの巨大ミイラも!」

「小娘貴様、地球人にしては賢いな。その通りだ。そして今からその操るところを見せてやろう。ガイガン起動ぉおおお!」

 統制官が大声を上げ号令を発するや否や地防研地下の巨大ミイラは目と思しき箇所を赤く発光させ、四肢を縛る鎖を容易く引きちぎる。サイボーグ巨獣ガイガン再起動の瞬間だ。天井を破壊し地上に出る際ガイガンは全身を覆う12000年分の付着物を全て取り払い、当然ながら研究所の建物は既に瓦礫の山。

 青い皮膚が全身を覆うガイガンは赤いゴーグル状の単眼、後頭部に縦一列に並ぶ棘に連なる頭頂部の突起、カジキのそれを彷彿させる三列の背びれ、左右それぞれの手を換装した金属光沢を放つ巨大鎌、同じ金属光沢を放ち嘴状の口の開閉と共に左右に開閉する一対の牙、金色の鱗に覆われた腹部等が目を引く。両手の巨大鎌に加え両足並びに尾の先端にも金属の刃が、腹部には巨大丸鋸の刃が、そして額には破壊光線発射装置が埋め込まれ、このサイボーグ巨獣は最早全身が武器と言えよう。

「馬鹿な!あのサイボーグ巨獣は複数体いたのか!」

 大画面の映像が再度切り替わり25分割された画面に世界各地の都市に複数体のガイガンが襲来する様子が映し出され、普段は冷静なジョナも思わず叫んだ。12000年前X星人が襲来した際使役したガイガンは何と30体を超え、その全てがX星人壊滅に伴い機能停止しそのまま世界各地の地中、海底に埋没し今こうして統制官が発した号令により再起動したのである。

「12000年前、こんなに沢山のサイボーグ巨獣相手に巨神達は戦い撃退した。」

 一ノ瀬がそう呟いた途端に大画面が統制官の顔を映す。

「そしてその巨神達も今では我々の支配下にあるのは先程言った通り。ガイガン軍団に加え巨神達が下僕共から全文明を根こそぎ奪い去る、これが俺のやり方だ。天皇や教皇の偽者による茶番よりもはるかに壮大。どうだ?抵抗しても無駄だとわかったか?」

「それはX星人が、お前が巨神を完全に支配出来ていたらの話。」

 一ノ瀬のこの発言に対しゲラゲラ笑う統制官は彼女の研究を笑いものにしてきた地球人の男性共と何一つ変わらない。

 いきなりマンデラが一ノ瀬に殴りかかるも藤崎に取り押さえられ、彼女は負傷せずに済んだ。

「志保先輩、その人あいつに操られている!」

 一ノ瀬はそう言って大画面に映る統制官を指差した。

「その通り。M塩基を持つミュータント達を俺は自由自在に操れる。あれを見ろ。」