糸冬いずく
2024-09-16 00:16:00
157796文字
Public 二次創作:キリングミュータント
 

キリングミュータント【リブーテッド】

完結、夢主あり、赤羽業、暗殺教室、Paranoia

三日月が爆誕した春、新しいクラスが三年E組だろうと、担任教師が犯人だろうと、隣が赤羽業だろうと、成すべきことは変わらない。ミュータントは、すぐそこにいる——。

あなたは椚ヶ丘中学三年E組の女子生徒[$名前が見つかりません]です。
トラブルシューターが前世のミュータントな[$名前が見つかりません]と、隣の席の赤羽業が、ミュータントを殺す話。

クロスオーバーです。複数の作品の要素が登場します。
異世界の描写を含みます。主人公または周辺人物が別の世界へ渡ります。
転生の描写を含みます。主人公または周辺人物が死んで生まれ変わります。
主人公または視点人物が異性からの性暴力の被害に遭います。
主人公または視点人物が暴力の被害に遭います。


一月、又は初詣

  一

 静音が売りの空調設備は最善を尽くしていた。室内の空気を最適に維持することが役目とあって、たとえそれが一月の午前でも、命令されれば実際との著しい差を埋めた。そのために内外の機器は必要なだけ働いたが、睡眠や読書を妨げられたことは一度もない。今だって私は部屋着一枚で椅子に腰かけ、機械のことは忘れてしまっていた。ヘッドフォンで音楽を聴くこともしていたのだけれど。
 読書をすると伝えたら、ただのそれだけで端末は音量を自動調節して、環境音楽の再生リストから楽曲を再生し、一方で状況に不適切な通知を減らした。どれも標準のプリセット機能のようだが、実はモバイル律の操作によるものである。
 転入早々に反抗期を迎えたあの人工知能は、本体からモバイル版に至るまで大した問題も起こさずに、適切にクラスメイトを補助している。私的なバックアップも、私的な端末も、ますますその数を増やした。強いて何かあげるとすれば、今は懐かしき十月の事件か。ビッチ先生を助けに行ったはずが、私たちまで捕らわれて、脱出劇を試みたら、モバイル版を無力化されてしまった。
 それだけのことだ。あれ以来、人工知能は安全対策を大幅に強化した。新たに対策を破られた話は聞いていないから、ミュータントにあうようなことでもなければ、しばらくは安全なのではないか。ともあれ、この人工知能はよくも悪くも決して余計なことをしない。
「カルマさんからです。読みあげますか」
 よって、この通知は余計なものではない。ここでうなずけばアプリケーションはただちに解析を始め、差出人の資料も参照するだろう。読みあげで表情や口調を再現するためだ。モバイル版以前から備わっていたこの機能は、また一段と精度が高まっている。特に今回の相手はクラスメイトだから、膨大な資料がそろっているはずだ。その再現は一段と完全に近くなる。
 想像するだけで鳥肌が立ったから、当然に私は首を横に振った。画面だけが切り換わり、短い文章が表示される。直前、少女の形をしたアバターは苦笑してみせただろうか。
 読み終えるまでに、さしたる時間はかからなかった。いかに理解し難い内容であっても、さすがに最低限は日本語として体裁が整っている。さすがに。だが、わざわざ単語を抽出して、意図を読み解く作業が発生したため、総合的にはマイナスだ。
 画面上部の現在時刻を確認すると、午前九時過ぎ、朝食を終えて二時間足らず。恰好は部屋着、身だしなみは最低限、自宅から駅までは十分強。まったく。今日も今日とて読了と食事と他最低限の生活を除いては、机から離れるつもりもなかったというのに。
「『OK』って返事しといて」
 新年最初の遊びの誘いは、初詣になったらしい。