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糸冬いずく
2024-09-16 00:16:00
157796文字
Public
二次創作:キリングミュータント
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キリングミュータント【リブーテッド】
完結、夢主あり、赤羽業、暗殺教室、Paranoia
三日月が爆誕した春、新しいクラスが三年E組だろうと、担任教師が犯人だろうと、隣が赤羽業だろうと、成すべきことは変わらない。ミュータントは、すぐそこにいる——。
あなたは椚ヶ丘中学三年E組の女子生徒[$名前が見つかりません]です。
トラブルシューターが前世のミュータントな[$名前が見つかりません]と、隣の席の赤羽業が、ミュータントを殺す話。
クロスオーバーです。複数の作品の要素が登場します。
異世界の描写を含みます。主人公または周辺人物が別の世界へ渡ります。
転生の描写を含みます。主人公または周辺人物が死んで生まれ変わります。
主人公または視点人物が異性からの性暴力の被害に遭います。
主人公または視点人物が暴力の被害に遭います。
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四
半年ほど暗殺教室で過ごした身としては、今晩あの場に居合わせておいて何事もないとは断言できない。シロと堀部イトナの名前は、このとき赤羽の切り札だった。彼らの存在を示唆されては、この私はますます説得力を失う。シロと堀部イトナはE組教師陣にとってさえ一筋縄ではいかない相手だ。親を呼ばなかった最大の理由もあの二人にある。そして、それらを覆すほどの反論はまったくもって
私らしく
ない。
街路灯が等間隔に並ぶ道を二人で歩いた。親に伝えたとおり人通りはあるが、誰も彼も滅多な音をさせない。私たちも無言だったから、常に静寂に包まれていた。ひどく奇妙な時間だった。仮にも送ってもらっている立場である以上、イヤホンを装着することもできず、時々所在なく夜の空を見あげた。だが爛々と三日月が存在を主張するばかりだ。
半年前、月は真に三日月になった。半年後、地球は三日月を描きすらしない。三月だ、三月。今年の三月から来年の三月まで。三月までに私を殺すと、隣の中学生はそう言った。
しかし夏祭りから一週間以上、赤羽は殺しに来なかった。それどころか殺気の一つも向けてはこない。無論E組に賞金首がいる限りは、実際的な殺人は不可能だろう。だが社会的に殺すという言葉はある。また小説ではたびたび比喩表現として扱われる。それさえ大半は先生が防ぐのだろうけれど。だから問題は手段ではない。
赤羽の動機がわからない。
べつに赤羽に殺されるとは思わない。それどころか返り討てる自信がある。程度によっては、それこそ社会の一員として対処することもできよう。だが実際的にしろ比喩的にしろ、あまつさえクラスメイト当人を目の前にして宣言できるような殺意は、十分に不安要素たりうる。赤羽はなぜ急に私を殺す気になったのか。私は何もしていないのに。
——
それとも頭上に星が見えるとでもいうのか。
私は三日月ばかりの夜空から目をそらす。もっと綺麗な星空を知っている。まるで空虚な天井を知っている。だから。
静かな夜道で立ち止まった。赤羽もぴたりと歩みを止めた。
「ここまででいいよ」
辺りはすっかり住宅街だったが、目の前の道を曲がると、いよいよつき合いのある家の前を通ることになる。
「そっか」
赤羽の短い返事。私はうなずき「今日はありがとう」と謝礼をつなげる。次の言葉も決まっていた。また明日。電車を降りたときの月並みな挨拶。私は今度こそ実現すべく口を開く。しかし赤羽は疑問符を投げて遮った。
「シロが来ること、わかってたよね」
いや何も問われてはいなかった。ただの確認作業だった。
「ええと、それは今夜のこと、だよね」
「そうだよ今夜あの場所に、いや、朝からずっと気づいてた」
「そんな
——
なんて言えばいいかわからないんだけど、違う、よ。先生のことは信じたかったから、犯人が別にいてよかった、そう思った。それだけだよ」
「白々しい」
「最近の赤羽くんは、ちょっととげがある、とも思ってる」
「『ちょっととげがある』」
赤羽は復唱した。笑みが漏れた、といった程度の声も続く。
「はは、それで。犯人のことはどう思ってんの」
私は一拍おいて答える。
「心配だよ。シロはともかく、イトナくんは。だって
——
」
堀部イトナは泳がされている。
「
——
すごく苦しそうだった」
堀部イトナ、いや触手の改造人間は毎月およそ火力発電所三基分のエネルギーによって維持されているという。それが尋常ならざる様子で姿を消したというのに、シロは慌ても追いもしなかった。これ以上ない意思表示である。先生は正しく危険性を理解していただろう。居合わせただけの中学生にも、その末路は察せられた。そもそも先生は、苦しむ生徒を見殺しにできる人物ではない。
「悔しいな」
先生の次の行動が、やはり手に取るようにわかるということだ。
「相手はシロとイトナだ」
「それでも心配だし、死んでほしくないよ。たとえクラスメイトじゃなくても、人が苦しむところは見たくない」
私は今一度、赤羽を見た。目は合わなかった。ただ冷たい表情が浮かんでいた。
「思ってもないくせに、よく言うよ」
「そう、かな」
私も表情をつくるために目を伏せる。
「ううん、そうなのかも、しれない」
小さな苦笑、か細い声を発して演じる。
「私は一度も死んだことがないから」
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