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糸冬いずく
2024-09-16 00:16:00
157796文字
Public
二次創作:キリングミュータント
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キリングミュータント【リブーテッド】
完結、夢主あり、赤羽業、暗殺教室、Paranoia
三日月が爆誕した春、新しいクラスが三年E組だろうと、担任教師が犯人だろうと、隣が赤羽業だろうと、成すべきことは変わらない。ミュータントは、すぐそこにいる——。
あなたは椚ヶ丘中学三年E組の女子生徒[$名前が見つかりません]です。
トラブルシューターが前世のミュータントな[$名前が見つかりません]と、隣の席の赤羽業が、ミュータントを殺す話。
クロスオーバーです。複数の作品の要素が登場します。
異世界の描写を含みます。主人公または周辺人物が別の世界へ渡ります。
転生の描写を含みます。主人公または周辺人物が死んで生まれ変わります。
主人公または視点人物が異性からの性暴力の被害に遭います。
主人公または視点人物が暴力の被害に遭います。
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十二月
一
奥田さんに名前を呼ばれ、赤色の入ったノートを差し出された。「順番にお願いします」
私の机に躊躇なく筆記用具を置いた奥田さんは、もはや半年前とは別人だった。模範解答と解説を広げながら、ふと懐旧の念に襲われる。とうに今この私にとって彼女は
前の席のクラスメイト
では済まされない存在だ。同じ教室で、同じ班で、同じ時間を過ごしてきた。そしてこの十二月また出来事を共有しようとしている。期末テストの季節である。
もう皆すっかり長袖に重ね着だ。大抵は教室か廊下に詰め、朝も昼も夕も問わず、テストに向けてとり組んでいる。目標はいよいよ
ラッキーチャンス
ではない。E組全員で学年五十位以内を勝ちとるのだ。内部進学と外部進学とで進路も授業も分かれてしまう本校舎と旧校舎では、三学期は同じテストを受けられない。だから、この二学期の期末テストで、長らくの因縁に決着がつく。
クラスメイトも先生も、そして確実に本校舎でも、決着に向かって時間が流れている。先生の分身は形を乱した。深くは考えるまい。私たちはあまりに必死だ。全員で上位を独占して、私は最後に五百点満点を持ち帰る。それだけだ。
——
勝算があるから提案できるのだ。
「どうかしましたか」
「ううん、ええと、この記述問題だけど、やっぱり、これも設問にヒントがあって
——
、そう、その二つだね」
奥田さんが悩ましげに本文を追う。英文の上に小さな字で日本語訳が書き込まれている。筆記用具はそこかしこをさ迷って、線を引いた。「考え方は合ってるよ」と私の口は適当な言葉を吐き出す。耳は別の科目の声を拾っていた。
「これは特殊解に持ってくやつ」
教室の勉強風景も変わった。先生がいるときは彼を酷使するけれど、いないときでも、私が奥田さんに英語を教えたり、隣の席でも誰かに数学を教えたり、奥田さんも誰かに理科を教えたり。先生の勧めもあって、積極的に生徒間で教え合うようになった。誰からも総合一位を期待されるようなクラスメイトなどは、それはもう引っ張りだこだ。
朝の電車はいまだに一緒になるが。
毎朝、同じ位置で参考書を開いて、つり革をつかんで立っている。特に会話することはない。私も車内では参考書を開くからだ。ただ、期末テストでの個人的な勝負に関しては、学園祭以来まるで忘れられたかのように、電車を降りても話題にあがることがなくなった。お互いに、この期末テストでの総合一位は、かねてよりの目標だった。それだけは彼が正しかった。
それだけは。
「
——
そこに気づけたら、後はやることは同じだよ。先生が教えてくれてるとおりにやって、確実に点数を拾っていく問題」
「はい、ありがとうございます」
「いいの、いいの。私も理科で聞きたいことがあるんだ」
ちかちかと一瞬、目の前が光った。私は一旦ペンを置いて、ぐっと、ほぐすように全身を伸ばす。血管が熱を帯びた、そういう錯覚がした。錯覚だ。錯覚。だって、これで最後だから。
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