糸冬いずく
2024-09-16 00:16:00
157796文字
Public 二次創作:キリングミュータント
 

キリングミュータント【リブーテッド】

完結、夢主あり、赤羽業、暗殺教室、Paranoia

三日月が爆誕した春、新しいクラスが三年E組だろうと、担任教師が犯人だろうと、隣が赤羽業だろうと、成すべきことは変わらない。ミュータントは、すぐそこにいる——。

あなたは椚ヶ丘中学三年E組の女子生徒[$名前が見つかりません]です。
トラブルシューターが前世のミュータントな[$名前が見つかりません]と、隣の席の赤羽業が、ミュータントを殺す話。

クロスオーバーです。複数の作品の要素が登場します。
異世界の描写を含みます。主人公または周辺人物が別の世界へ渡ります。
転生の描写を含みます。主人公または周辺人物が死んで生まれ変わります。
主人公または視点人物が異性からの性暴力の被害に遭います。
主人公または視点人物が暴力の被害に遭います。


九月、そして体育祭

  一

 聞こえてすぐに呼ばれたことがわかった。逡巡は不要、素振りも要らない。おとなしく顔をあげ、クラスメイトとして返事する。
「何、赤羽くん」
コロホワイトさんは何に出場するのかなって」
「借り物競走だよ、赤羽くん」
「あー、借り物競走か。そっか、コロホワイトさんが」
「不破さんと中村さんの推薦でね。——それより、それ」
「『それ』。どれ。コロホワイトさん」
「そのコードネーム
「あー、かっこいいよね、暗殺戦隊
 本名を禁止された日があった。一日中、授業でも訓練でも休み時間でも、はたまた放課後、生徒から先生まで本名の代わりにコードネームを呼び合ったのだ。全員が全員のコードネームを考え、くじを引かされ、——その日は烏間先生も堅物を名乗らされた。もちろん私にもコードネームが与えられた。コロホワイト。正しくは暗殺戦隊コロセンジャー《漂白する意志》コロホワイトである。
「かっこいい名前をつけてもらえたのはうれしいけど、恥ずかしいよ。一日だけならまだしも」
 皆、日付が変わったら本名をとり戻し、普段の学校生活に戻っていった。何もなかったことにはならないから、隣の席の中二半のように蒸し返す者もないではないが、この私にも恥ずかしがる権利くらいあろう。
 とかく謹んで遠慮させていただいていたら、左隣の席にクラスメイトが帰ってきた。私は声を潜めて改めて断る。万が一にもこの話題を波及させるようなことはしたくない。もう一人の隣人がこの話題に関心を示す可能性は限りなく低いけれど。
「なんだ、お気に召さなかったか」
 ところが左隣の席のクラスメイトは、予定調和のごとくに参戦してきた。なんで、どうして、この私の口も、しかし疑問を伝えることはしない。
「かっこよくはある、けど、ほら、もう誰も使ってないから」
 相手もあっさり納得した。「たしかに追加戦士だけだったな」
 妙な理解も示してきた。私はこの分野に明るくないが、おそらく定石の話だろう。戦隊ものと聞かされて考えつく色はおよそ黒色、赤色、黄色、緑色、青色、桃色。色で特徴を持たされている隊員に白色の印象はあまりない。もっとも追加戦士という言葉も初めて聞いたけれど、私は尋ねなかった。クラスメイトも独りうなずいて説明しなかった。
「案外、元は敵幹部だったのか。時間がなかったから細かい所まで決めなかった。すまない」
「そんな、いいよ謝らないで。でも、ってことは、私のコードネームは——
——ああ、俺が考えた」
 静かに肯定する名づけ親の反対で、赤羽がまた口を挟む。
「残念、シロもどきコロコロあがりに負けちゃったか」
鷹岡もどきは赤羽くんだったんだね」
「そうか、寺坂に伝えておこう」
 無表情な宣言。そういえば鷹岡もどきこと寺坂くんと親しくなったのだったっけ。得心する間にもコロコロあがりは言葉を続ける。「それから」と。
「俺も借り物競走に出ることにした。よろしく、ホワイト」
「そうだったんだ。こちらこそよろしく、イトナくん」