糸冬いずく
2024-09-16 00:16:00
157796文字
Public 二次創作:キリングミュータント
 

キリングミュータント【リブーテッド】

完結、夢主あり、赤羽業、暗殺教室、Paranoia

三日月が爆誕した春、新しいクラスが三年E組だろうと、担任教師が犯人だろうと、隣が赤羽業だろうと、成すべきことは変わらない。ミュータントは、すぐそこにいる——。

あなたは椚ヶ丘中学三年E組の女子生徒[$名前が見つかりません]です。
トラブルシューターが前世のミュータントな[$名前が見つかりません]と、隣の席の赤羽業が、ミュータントを殺す話。

クロスオーバーです。複数の作品の要素が登場します。
異世界の描写を含みます。主人公または周辺人物が別の世界へ渡ります。
転生の描写を含みます。主人公または周辺人物が死んで生まれ変わります。
主人公または視点人物が異性からの性暴力の被害に遭います。
主人公または視点人物が暴力の被害に遭います。


  五

 朝、いつもの電車に乗って、同じ学校の制服を探さなかった。だが、いつものつり革につかまった。静かな通学電車だった。静かな通学路だった。クラスメイトは一人もいない。元より狙った時間帯だった。誰かと約束でもしない限りは、偶然にだって道を共にする者はいるはずがない。
 クラスメイトは十二月も半ばの朝だというのに、山の上のグラウンドでスポーツに励んでいた。さらに教室にも窓越しだが、大勢の姿が見える。誰も彼もが参考書を開いているわけでなし、机にかじりついているわけでなし、手放しに誰かの机にたむろして、今日の話題で盛りあがっている。なんだか懐かしいような光景だ。そして正しく記憶を遡れば、たしかに一つの戦いが終わったばかりだ。
 特に誰と会うこともないまま校舎に入り、教室へ。無言で席へ向かうと、前の席には奥田さんが、隣の席にはイトナくんが、それぞれ専門書や電子工作に向かっていた。荷物を置いてみると、声をかけるまでもなく二人共が顔をあげた。おはようと挨拶をする。おはようと返事をされる。そのままイトナくんだけが続けた。
「イメチェンか」
「そんなとこ」
 私は何でもないように返した。イトナくんはそれきり作業に戻った。奥田さんはまだ私を見あげている。座れば、また視線もついてきて、
「何を読んでるの」
「あっ、はい、血液の本です。テスト勉強中に急に気になっちゃって」
「でもテスト前だから迂闊に読めないっていう」
 奥田さんは首を大きく縦に振ると、先生のおすすめなのだと言って、本をこちらに開いてみせる。ここの記述がおもしろくって、前のページにはこんなことが、さらに前の記述と合わせると、つまりこれはどういうことでと。楽しげにページを前後させて、併せて私も相槌を打つ。専門的に広がり続ける話題は、この席では特に珍しくもないことだ。私たちはひとしきり盛りあがって、それから奥田さんがアッと口を開いて、すぐに結んで、また開いて。
——あの、そういえば。今日は一緒じゃなかったんですね」
——俺ら、いつも一緒ってわけじゃないよ」
 視線は左にそれた。私は抱えたままのかばんから本をとり出す。おはようと声が聞こえた。私は本を開きながらおはようとこたえた。しおりを頼って、四十ページ。
「うわ、しおりまで黒くなってら。何、イメチェン」
 まるで悪巧みが成功したみたいな声には、心底から嫌そうな表情だけつくって、
「カルマ、それもう言ってもらったから」
 私はページの端を指でつまむ。