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糸冬いずく
2024-09-16 00:16:00
157796文字
Public
二次創作:キリングミュータント
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キリングミュータント【リブーテッド】
完結、夢主あり、赤羽業、暗殺教室、Paranoia
三日月が爆誕した春、新しいクラスが三年E組だろうと、担任教師が犯人だろうと、隣が赤羽業だろうと、成すべきことは変わらない。ミュータントは、すぐそこにいる——。
あなたは椚ヶ丘中学三年E組の女子生徒[$名前が見つかりません]です。
トラブルシューターが前世のミュータントな[$名前が見つかりません]と、隣の席の赤羽業が、ミュータントを殺す話。
クロスオーバーです。複数の作品の要素が登場します。
異世界の描写を含みます。主人公または周辺人物が別の世界へ渡ります。
転生の描写を含みます。主人公または周辺人物が死んで生まれ変わります。
主人公または視点人物が異性からの性暴力の被害に遭います。
主人公または視点人物が暴力の被害に遭います。
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三
南の島というものが、いかに中学生の心をかき立てるか。かつて共にA組を目指した友人と、この私も時には沖縄旅行の話をした。この学校は生徒の向上心のために前向きな目標も用意している。エースのA組、特別進学クラスの優等生たちは、実力主義の校風も相まって、しばしば何者にも優遇される。たとえば来る夏休みには三年A組限定学校行事があった。
これが今年、しがらみほどにまで思惑が絡み、まさかE組の生徒に動機を与えることとなり、とうとうテスト当日を迎える。真夏のからっとした晴天。クラスの人工知能のことで烏間先生は苦労もしたようだが、とりあえず生徒の問題になることはない。空調設備の働く会場で問題用紙を速やかにめくり、見知った出題範囲の試験にとり組む。その積み重ねの末に、やがてすべての答案用紙を提出したのだ。
採点結果は後日、学年内順位と共に旧校舎に届けられた。先生は科目ごとに答案用紙を返却した。それぞれ最初に学年一位が発表されると、結果にかかわらず教室がわきあがった。内三回はクラッカーも鳴った。英語、社会、そして理科でE組が学年一位を飾ったのだ。幸い単独首位につき、主要五教科におけるA組との賭けは、E組の勝ちと相成った。一方で国語と数学はA組のただ一名の元にあり、また総合点一位も同生徒が維持した結果だ。
さておき教室は歓声に満ちた。前の席の奥田さんも真っ赤な顔で喜んでいる。E組から出た理科一位といえば、あたりまえのように彼女である。クラスメイトが口々に褒めそやすなかで、私も三度は「おめでとう」を言った。奥田さんからは何度も「ありがとうございます」を聞いた。
教壇の先生もうれしくてたまらない様子だ。三本の触手に旗を立て、顔色で緑の横じまを描いている。「トップの三人はどうぞ三本ご自由に」
ナメくさっているというわけだ。数日前の
実演
で減った触手が、ちょうど三本の数だった。一本につき二割と言うが、三本が十分な不利条件かは疑わしいところだ。子供分身だの親分身だの蒸発だのと実演はしてくれたけれど、それでも分身ができている。いや仮に六本だったとしても彼は喜んで差し出しただろう。各教科そして総合点で一人ずつ学年一位が獲得された場合のことを、提案者が想定しなかったとは考え難い。
勝算があるから提案できるのだ。
さて勝者三名は「どうぞ」と言われて、教室では
四人
の生徒が椅子を引いた。廊下側後方席の一塊だ。物音とともに立ちあがって、床をきしませながら前に出る。物言いたげな四人組は学年一位の三人組ではない。それは成績で一括できる集団でもなかったが、あの寺坂くんが先頭で、しかし「五教科のトップは三人じゃねえぞ」などと言う。
誰の理解も追いつかなくなって、皆が口を閉じ、四人組をいぶかしんだ。成績で一括できる集団ではないが、寺坂くんは長らく非協力的で典型的な劣等生だった。先の
水殺
の一件から、心境か何かの変化で態度を改めるには至ったらしいけれど、期末テストには遅すぎただろう。さらにA組とE組の対決の影響か、テストは難化傾向にあった。
いやまさか、とは誰も口に出さなかったが、よりにもよって、あの寺坂くんだ。教壇の先生も見当がつかないようだ。だが四人組は無根拠とは感じさせないほど得意になって、自信満々に、先生の前に答案用紙を突き出した。
「五教科つったら国、英、社、理、
——
あと
家
だろ」
先生は呆然と四枚のテスト結果を眺めた。寺坂くんが振り返ってクラスメイトにも証拠を披露する。はっきりと記された
寺坂竜馬
の四文字、はっきりと記された
100
の三文字。科目は
家庭科
。
「ちょ、待って」
慌てたように先生が食い下がった。「家庭科のテストなんて
ついで
でしょ。こんなの
だけ
なに本気で百点とってるんです君たちは」
正論である。たしかに家庭科は期末テストの科目の一つだったが、所詮は副教科であった。副教科が内申にまったくかかわらないことはないだろうけれど、この学校はあくまで五教科つまり大学入試の試験科目を重視する。総合点も五教科五百点満点だ。国語、英語、社会、理科、あと数学の五百点満点である。
ところが、
「だーれも
どの
五教科とは言ってねえよな」
これが夏の期末テストの顛末だ。
先生は少しだけ黙ってしまって、少しだけ視線をおろおろとさ迷わせた。四人組を一人ずつ、寺坂くん、彼の悪友その一、その二、そして彼らに入れ知恵した四人目を見て、ぬるぬるとうなって目をつむる。記憶を遡る努力を始めたようだ。ところが彼が思い出してしまう前にと、私の斜め前の席で生徒が振り返ってクラスメイトをけしかけた。五教科といったら国、英、社、理、それから家庭科の
家
だろうと言って。
一斉に追撃が始まった。前の席で奥田さんがくすくすと笑う。私も一緒にくすくすと笑って、彼女と顔を見合わせた。英語と社会と理科から一人ずつ、加えて
五教科目
の家庭科から四人。何も私のことではないのに喜ばしくて、楽しくて、おかしくて、ひどく
——
幸福な心地がした。
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