kurotera
2025-02-24 08:27:05
174619文字
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You are what your back bears

2022年6月に発行したイノセントブレス IB本の再録です。
発行から一年経ち、頒布も終了しているので掲載。
当時手に取っていただいたかた、ありがとうございます。

【概要】
ぼくのかんがえたさいきょうのイノセントブレス本(非公式)
無印三部前提
出てくるメンバー:教会勢、ラプラスの悪魔、ダーククロウ、LL、無銘
ですが無銘の四名とダーククロウさんは本当に一瞬です。あくまでIB中心。
戦闘と日常の比率は6:4ぐらい。当社比。
書き手の趣味が爆発してえらいことになりました。

要素/注意
九割捏造。特に過去。
公式ファンブック旧版と一部キャラクターメッセージカードを元に当時は執筆していますが、未所持のカードもあるので設定にずれが生じています。

 
「南方地域の養護院へ奉仕任務?」
 シスター・ゴーから伝えられた任務の内容にサンダルフォンが首を傾げる。サンダルフォンに命じられて湯を沸かし、紅茶を淹れていたラジエル、シスターから書類を受け取ったハニエル、いつものように壁に背を預けていたサマエルもサンダルフォンの声を聞き、彼女へと視線を向けた。ええ、と頷くシスターの傍らには物資の箱を抱えたザドギエルがいて、先に聞かされたのだろうか何かを言いたげな表情で立っていた。
 一瞬の沈黙の後、ラジエルが切り出す。
「それって、何」
「『教会』がこの国の色んな地域に孤児院や養護院を建てて運営しているのは当然知っているわよね」
 シスターの言葉に全員が頷く。知っているも何も、ここにいる全員がその孤児院の出なのだ。知らない方がおかしいだろう。
「『教会』の目的は戦争や疫病によって混迷している世界に秩序と安寧をもたらすこと。その為に人心を惑わす悪魔を狩るのが貴方達『使徒』の役目。でも『教会』全体を見たならばそれは大きな任務の内の一つよ。ミカエルちゃん……教皇は社会の安定が秩序と安寧に必要不可欠だとお考えなの」
……確かに身寄りのない者の受け皿がないと生きる為に盗みや人殺しを犯してしまう人達、とくに子どもが増えるだろうね。その問題に直面しているのが国境近くの地域だ。そういった不安が増せば『教会』の理想は遠いだろう」
 サンダルフォンが頷けばご明察とシスターが肯定する。
「孤児院はそういった子ども達を預かって、この国で生きていけるようになるまで保護する施設なの。貴方達のように使徒適性がある人間なんてほんの一握り、他の孤児達は手に職を付けるために教育を受けるのよ」
 ちょっと待ってよ、とラジエルが遮る。それは分かるけど、とどこか納得のいかない顔でシスターを見つめた。
「それは分かるけどさ。俺達が使徒として行くのは何で? 使徒は悪魔を退治するのが仕事だろ?」
「確かにな……その任務先、南部地域の養護院に悪魔が現れたという話ならば奉仕任務などと回りくどい言い方なんてしないはずだ。それに、奉仕委員はザドギエルだろう?何故皆で向かう必要がある」
 ラジエルとサマエルの抗議のような疑問にザドギエルが頷く。奉仕委員に所属する本人も同じ意見であると言いたげだった。
 しかしシスターはきょとんとした顔で首を傾げた。
「あら、知らないの? 必修科目よ」
「必修科目?」
 ハニエルが聞き返せばシスターが頷く。
「二人の言う通り、こういった任務に率先してあたるのは奉仕委員所属の使徒よ。孤児院や養護院に向かい、手伝いをしたり孤児に読み書きを教えたりする。ただ、貴方達は使徒であり、それと同時に神学校の生徒なの。こういった施設の奉仕活動は必修科目の一つ……アブディエル達も勿論行ったことがあるわ」
……想像できねえ」
 ラジエルのため息にザドギエルが笑う。確かにね、とシスターも頷き言葉を続ける。
「まあ、悪いことじゃないわ。あなた達が守ろうとしているものを見るのも、必要なことよ。それに……
 シスターが一瞬沈黙して、言葉を探す。
「ゴーちゃん?」
「今回の訪問先は少し特別。ただの神学校の生徒ではなく、使徒である神学校の生徒が向かうべき場所ってわけ」
「オレ達が向かうべき場所?」
「巡礼を行う神父や修道女、使徒ではない神学校の生徒ではなく、退魔専門の聖職者である……俺達使徒がってことか」
 ザドギエルの問いかけにそうよ、と頷き、柔和な表情を真面目なものに変えた。
「悪魔憑きの養護院なの」