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kurotera
2025-02-24 08:27:05
174619文字
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You are what your back bears
2022年6月に発行したイノセントブレス IB本の再録です。
発行から一年経ち、頒布も終了しているので掲載。
当時手に取っていただいたかた、ありがとうございます。
【概要】
ぼくのかんがえたさいきょうのイノセントブレス本(非公式)
無印三部前提
出てくるメンバー:教会勢、ラプラスの悪魔、ダーククロウ、LL、無銘
ですが無銘の四名とダーククロウさんは本当に一瞬です。あくまでIB中心。
戦闘と日常の比率は6:4ぐらい。当社比。
書き手の趣味が爆発してえらいことになりました。
要素/注意
九割捏造。特に過去。
公式ファンブック旧版と一部キャラクターメッセージカードを元に当時は執筆していますが、未所持のカードもあるので設定にずれが生じています。
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黒パンにスープ、オムレツが皿に載せられてテーブルに並んだ。久しぶりのしっかりとした食事だ。パンを千切り、スープに浸しながらラジエルが口を開く。
「目的地まであと一日ぐらいだっけ」
「ああ、それぐらいさ。ここが目的の村に一番近い町だね」
サンダルフォンが答えながらスプーンでオムレツを掬い、口に運ぶ。具の入っていない素朴なものであったが、塩で味付けされたそれの味は今は何よりの馳走に思えた。
「でも任務とはいえ、数日かけて村に向かって、一日二日活動してからまた聖都に戻るだけというのは
……
なんだか申し訳なくなります
……
」
ハニエルがどこか憂鬱げな声でぽつりと呟く。
使徒になってからの数ヶ月間、悪魔を討伐するための任務ばかりを遂行してきた若い使徒にとっては別の意味で慣れず、どこか後ろめたいものを感じるようだった。
確かにな、とザドギエルも同意するように頷きエールを飲んでいる。
「この旅の旅程にも意味はあるんだ。俺達が任務地だけじゃなくて近隣の町や村を回ることでその地域の治安は随分とよくなる。ここは『教会』によって
……
主の加護によって守られていると住人が安心出来るんだ」
「はー、なるほどね?」
「本当に分かっているのかお前
……
」
相づちをうつラジエルをじとりと見やり、サマエルがため息を吐く。当たり前だろ、と心外そうな声をさせ、胸をはった。
「俺達が国中を駆け回ることで平和に一歩近づくってこと! 最高じゃん」
ラジエルの言葉にあはは、とサンダルフォンが笑い、確かにその通りだと肯定した。
「でも一番の平和というものは、オレ達がこうやって剣を携えて国を回ったり、退魔の任務をしなくてもよくなることだろうね」
「
……
ああ、そうだな」
ザドギエルが目を伏せて頷く。いつになるのかと考えてみたが、あまり想像が出来ない。平和な国、剣を握らずともよくなる日々。
「平和かあ
……
なあ、平和になったらどうしたい?」
「どうしたい
……
ですか。ええと
……
あまり思いつきません」
少し考える素振りをみせたハニエルが眉を下げて首を横に振る。そうだね、とサンダルフォンも暫く思案していたが、やがてうん、と頷いた。
「使徒として任務に就く必要がなくなったら、人を探したいな」
「え、何、それって彼女?」
サンダルフォンの言葉にラジエルが食いつく。お前はそれしかないのか、と隣に座るサマエルはあきれ顔だ。
サンダルフォンも苦笑いを浮かべて、首をゆるく振った。
「そういうのじゃないよ。そう、ラジエルみたいに昔の友達さ。
……
まだ町に住んでいた頃に仲良くしていて
……
でも何かがあったのだろうね。オレに何も言わずにどこかに行ってしまった。今はどこにいるのか、何をしているのか分からないけれど
…………
平和になったら探す旅に出るのもいいなってふと思ったんだ」
「へえ、いいんじゃねえの? 俺の友達みたいにさ、手がかりがどっかにあるかもしれねえじゃん」
明るい声にそうだね。とサンダルフォンが頷く。本当にどこにいるのだろうか、と目を細めてホットミルクを一口、飲んだ。
「
…………
平和になれば、この毒も無くなるだろうか」
サンダルフォンとラジエルの会話を黙って聞いていたサマエルがふと静かに独り言つ。
それは四人を静まらせるにはじゅうぶんな言葉で、ハニエルもラジエルも、サンダルフォンも答えに窮して視線を落とした。ザドギエルも黙りこくったまま、じっとサマエルを見つめている。落としていた視線をうろうろとさせた後、ラジエルが口を開いた。
「それ、は
……
分からないけど、さ」
「
…………
すまない、今のは忘れてくれ」
「で、でも、でもさ! 平和になったらサマエルは怒ったり悲しんだりしなくていいじゃんか! そしたら毒も出さなくて済むってことだろ!?」
がたり、と椅子の音をさせながらラジエルが立ち上がりまくし立てる。その勢いに四人は少し驚いた顔で、仲間を見つめた。その視線に負けず、だろ? とラジエルが首を傾げる。真っ直ぐなベイビーブルーの瞳が必死さを物語っているのに、ああ、とサンダルフォンが答えた。
「そう、だね
……
うん、ラジエル、オレもきっとそうだと思うよ」
「
……
お前達」
「なら早いとこ、平和にしないとな!」
うんうん、と頷きながらラジエルがパンの、最後のひとかけを頬張る。四人も残りの夕餉を食べきった後、明日の予定を確認した。
「久しぶりの宿だ。今日はゆっくり休もう
……
ああ、そうだ。主人が沐浴の用意をしてくれているみたいだよ。ありがたいね」
夕餉の席を立ち、部屋への階段を上がる。古い造りの階段はぎし、と軋んだ音がした。
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