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camellia57
2026-02-01 18:27:30
67473文字
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火アリSSメーカーまとめ
2024~2025年に書いたSSのまとめ。全年齢のみ。ごちゃまぜ
話は独立していてつながっていません。基本的にはページが後ろの方が古いです
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「
――
さんですか? いや俺は直近で連絡取ってはないですね。なんかあったんです? え? あぁ
……
そうなんですね。そうですか
……
。え? えぇ
……
!? いや、でも
……
まあそれも仕方ないかもしれませんね。メインで受け持ってもらったことはないので俺はそんなに影響なさそうですけれど。はい、わかってますよ、片桐さんから報告されたらはじめて聞いたみたいな反応ちゃんとしますから。俺は素直なので演技に自信はないですけれど、片桐さんは人がええから騙されてくれますよ。はい、また飲みに行きましょう。では」
話が横道に逸れまくって思いのほか長電話となってしまった。書斎を出てリビングのソファで両腕を頭の下で組んで横になっている火村に声を掛ける。
「待たせてすまんかった」
「気にしなくていい。」
上半身を起こして後ろにずれる火村。私はソファの空いたスペースではなく、ラグに腰を下ろして胡座をかいた。火村を見上げるような格好になる。
テーブルに置いたコーヒーはすっかり冷めてしまった。
「朝井さんがまた三人で飲みに、って」
「あぁ、そうだな。電話、朝井さんからだったのか? 浮かない顔してるように見えるけど」
「そう見えるか? まあ、ちょっとな。俺に直接関係するようなことではないんやけれど
……
」
「言いにくいことなら無理にとは言わないけど、聞いてほしいなら話してみたらどうだ? アドバイス
……
は期待しないでもらいたいが」
火村にそう言われると、実はそうだったのかも? という気持ちになってしまうから不思議だ。
「簡潔に言うなら知り合いの編集者が不倫してたっちゅう話や」
火村が片眉をぴくりと動かす。
「へえ、潔癖な有栖川先生はそのことに幻滅していると?」
「どう
……
やろう? 親しい相手ではなかったし、結婚してることも知らんかった。それで、どうやら社内不倫だったそうでな、近いうちに会社を辞めるらしいって。まあそんなのよくある話やろ?」
「探偵への依頼で一番多いのは浮気や不倫調査らしいからな」
「お? ついにプロの探偵に転職する気か? 下調べは十分やないか」
「寝言を言ってるんじゃないよ。それで? 確かに珍しくもない話だが、なにか思うところはあったんだろ?」
気づけばソファから移動してきた火村が隣に座っていた。
思うところ
……
。
「
……
なんで、不倫するんやろうな? いや、結婚してたって知らんかったんかもしれん。でもそやったらそれが分かった時点で別れるべきやないか?」
「道徳的にはそれが正しいだろうな」
みんながみんな正しい選択をできるわけではない。世間的に正しくないと分かっていてもそちらに進んでしまうこともあるのだろう。私に責める権利はないけれど。
「仮に結婚してると知らんかったとしよう。それで好きになってしまったとして、結婚の事実を隠すような相手の時点であかんやろ?」
「配偶者とは別れるつもりなんだ、と言われたら?」
「常套句やな。それなら正式に離婚してから付き合えばええやろ。そもそもやな、結婚してるのに他の相手と付き合おうとする時点で幻滅もんや。そういうやつはまた同じことするで?」
「見てきたように言うじゃないか」
「浮気するやつは繰り返すし、しないやつは一度もせん」
と耳にしたことがある。
「わかったところで、好きになってしまったものは仕方ないんだろ」
今夜は私が不倫を非難する立場、火村はそれを宥める役で意見を交換しているだけに過ぎない。本気で不倫を仕方ないことだと思っているわけではないだろう。立ち位置、見方を変える、いつものやり取りだ。そのはずなのだが。
「恋は盲目、か
……
」
「もしくは自分の方が先に出会ってたら
……
と都合のいいように解釈してしまうこともあるだろうな」
「そんなこと言うてもしゃあないやろ? それも含めて縁や。人の家庭を壊してまで恋愛したいもんか?」
「みんながみんなそう思ってくれたら世の中が多少平和になるだろうな」
臨床犯罪学者の出番も減
……
りはしないのだろうな。
「第一、結婚ってそんな軽い気持ちでするもんやないやろ? 浮気もあかんけど不倫はもっとあかんやろ。事情があったとしても、俺は知り合いがしてたら見る目が変わってしまうわ
……
」
「冷え切った関係を続けるのが正解とも言えないと思うが」
「それはまあ
……
そうなんやけど
……
。順序と相手への誠実さが大事やって話や」
「わかってるよ」
それにしてももしかしたら私は。
「結婚に理想を持ちすぎてるんやろうか
……
?」
「お前は案外ロマンチストだからな」
「君の方がほんまはそうなんやないの?」
「今頃気づいたのか? 夜景の見えるレストランでプロポーズしてやろうか?」
にやにやしながら、私の顔にタバコの煙を吹きかけてくる。煙たい。
「アホなこと言うな。また話が逸れてしまったやないか」
「結論が出る話でもないだろ。それで? さっきよりはましな顔になったみたいだけど、モヤついた気持ちは晴れたのか?」
そう言われてみればそうだった。そもそも私が沈んだような顔をしていたのだった。
「うん、君のおかげで。なんや頭使ったら腹減ってきたな
……
つまめるもんあったかな〜? お、粉末のコーンスープを発見! 君も飲む?」
「いただくよ」
「君の分はちょっとぬるめにして
……
、ほい。一応火傷に気をつけてな」
スープカップを二つ、テーブルに置く。自分の分を両手で持ってふうふうと息をかける。
「小腹が空いたときにちょうどええんよなあ。温かいもの飲むとちょっとホッとするよな?」
火村の方を向けばカップではなく私の顔を見つめていた。まだ彼にとっては熱かったのだろうか?
「どうしたん?」
「いや、なんでもないよ」
「そう、か?」
カップに口をつけ、アチッと小声でつぶやいている。やはりまだ熱かったのか。
「確かに、先着順ではないけどさ」
「うん?」
「申し込まないことには、どうなるのか結果はわからないよな?」
「そやね?」
先ほどまでの話の続きだろうか? 実は火村にもそんな相手がいたのだろうか?
「浮気でも不倫でもないから安心してくれ」
「お、おう
……
」
頭の中を覗かれた?
「今はタイミングじゃないから言わないけど
……
、しかるべきときにちゃんと伝える」
「そ、そか。まあがんばってくれ。君ならたいていの相手がOKするやろ」
励ますつもりでそう言えば、ものすごく苦い顔をされた。な、なんでや!? 私では励ましにならないとでも!?
「
……
いや、そうだよな、うん。わかってる」
一人で勝手に納得しないでもらいたいのだが。
「とにかく、報告を待つように」
「は、はい」
『報告』の意味がわかるまであと少し。
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