camellia57
2026-02-01 18:27:30
67473文字
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火アリSSメーカーまとめ

2024~2025年に書いたSSのまとめ。全年齢のみ。ごちゃまぜ
話は独立していてつながっていません。基本的にはページが後ろの方が古いです


……片桐さん、もう一回言うてもらっていいですか? 俺のなにが出るって言いました?」
 打合せで呼ばれた珀友社の会議室、向かいに座る片桐が人の良さそうな笑顔で同じ言葉を繰り返した。
「はい、有栖川さんの『ぬいぐるみ』、今は『ぬい』と呼ぶようなんですが、それが出るんですよ! 今回は受注販売、受付期間内に注文してくだされば全員購入できる方式です。その分少し時間はかかるんですけれど」
 七年越しのパートナーである片桐が嬉しそうに報告してくれるのでこちらとしても同じだけ喜びたいが、いくら説明されてもピンとこない。
「俺のぬいを欲しがる人なんて、ほんまにおるん? まったく注文こなかったら……どうするの?」
「有栖川さんだけではなくて、若手からベテランまで十名ほどのぬいが作られますのでそんなに気にされなくても大丈夫ですよ」
 選ばれたことは光栄だけれど、それはそれで売れ行きが比べられそうで……。自分のぬいとやらが売れることが嬉しいかと問われると答えに困るのだが。
 もう一つ気になることを聞いてみた。
「そう言うのって作者やなくて、作中の登場人物で出すもんやないの?」
「小説の場合、どうしてもそれぞれのビジュアルイメージがありますからね。ファンのみなさんが満足いくものを作るのは難しいのかもしれません。でも自分で作って載せている方はいるんですよ。ほら、こんな風に」
 タブレットに保存された画像をスッスッと送りながら見せてくれる。確かに私の書いた探偵達のぬいぐるみが観光地や食事とともに写っていた。洋服や小物も自分で作るのだろうか? まるで生きているかのような暮らしぶりに感心する。
「へぇ、うまいもんやねぇ」
 しかし、
「俺もこんな……ドレスとか着せられてしまうんやろか……
 所有者がどのような扱いをするのかは自由ではあるのだが。
「あるかもしれませんねぇ。優雅でいいじゃないですか」
 本題はこれからですよ、と片桐が咳払いをする。
「今日来て頂いたのはこの報告がしたかっただけではないですよ。サンプルが上がってきましたので一緒に確認して、ぬいと有栖川さんのツーショットを撮るのが目的です」
 脇に置かれた紙袋からちょうど手のひらにおさまるようなサイズのぬいぐるみが出てきた。
 ……似ている……か? やたら瞳がキラキラしていないか? 裸だったらどうしようかと思ったがスーツ姿で生地は身体に縫い付けられている。
「僕としてはですね、もう少し目と口の角度を柔らかめにした方がいいと思うんですよね。肌の色も少し濃い気がします」
「そ、そう?」
「ちょっと持ってみてもらっていいですか? 顔の横に構える感じで。あ、いいですね。告知用に何枚か写真撮りますよ。まだ監修中ですけれど」
 片桐に言われるがままにぬいを持って、ぎこちない笑みを浮かべて撮影された。
「製品版の監修と宣伝は僕に任せてください。完成したら送りますね」
「いや、別に送ってくれんくても……
 まあ火村にでも渡せばいいか。
「小物類をリクエストできますけれど、希望はありますか? やっぱり執筆道具ですかね?」
……猫、ってできますか?」