camellia57
2026-02-01 18:27:30
67473文字
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火アリSSメーカーまとめ

2024~2025年に書いたSSのまとめ。全年齢のみ。ごちゃまぜ
話は独立していてつながっていません。基本的にはページが後ろの方が古いです


「アリス、入っていいか?」
 火村が寝室のドアをノックすると「ええで〜」とゆるい返事が返ってくる。
 中に入るとアリスはベッドに寝転がりながら読書中だった。お楽しみタイムを邪魔してしまっただろうかと申し訳なく思う火村だったが、アリスは特に気にする様子もなく目線を上げる。
「どうしたん?」
「この間のトレーナー、洗面所の棚に見当たらなかったから」
 棚の下から二段目が火村が置いていった服の定位置、気づけば専用となった部屋着等と一緒にいつもはそこに仕舞われている。
「え〜っと……? あぁ、あれは君のって忘れて俺のと一緒にそこのクローゼットに入れてしもたんや。そこ、開けて持ってってええよ。干したときのままハンガーに掛けてあると思うで」
 そこ、とベッドの反対側にあるクローゼットを指さす。
「悪いな」
 クローゼットを開くと探していたトレーナーはすぐに見つかった。ハンガーから外して持っていこうとしたときに『それ』が目に入った。
 アリスが着るにしては大きいサイズのグレーの厚手のパーカー。年季が入っているのか色が相当褪せているし、このクローゼットの中ではアリスらしくない服で少し浮いている。気になったのはそれだけが理由ではなくて、火村はその服に見覚えがあった。
「これ、もしかして、昔貸したやつか?」
「ん〜?」
 ベッドにうつ伏せでページを捲っていたアリスが振り向いてそのパーカーを見た瞬間、ガバっと勢いよく身体を起こした。
「あ、そ、それ……か。そや、ったな。はは、借りたこと、忘れてたわ。すまんな」
 下手な芝居にそれは嘘だろうなと火村は思う。
 とは言っても今見るまで忘れていたくらいのものだし、部屋着にしかならないようなこの服をどうしてアリスが学生時代からずっと持っていたかったのか理由が思いつかない。
 アリスは視線をうろうろさせて気まずそうな顔をしているけれど、所謂借りパクをしてしまったことだけが原因ではないだろう。
「なんで?」
「なんでって、なにが?」
「質問で返すなよ。どうしてこの服が気に入ったのかって、聞いてるんだ」
 パーカーを抱えて火村がベッドに乗りあがってくると、アリスは後ずさる。
 すぐに壁にぶつかり、ベッドの隅に追いやられてしまう。
「か、借りたままにしてしまったのは悪かったって」
「それはもういい。で、なんで?」
 火村がぐっと顔を近づけてくるのでそれを手で塞いで「い、言うから、離れてくれ……」と懇願するアリス。
 火村との距離を確認して俯きながらぼそぼそと呟くアリス。無意識なのかパーカーの袖をぎゅっと掴んでいる。
…………これ、着てると、君に、その……、だっ、抱き締められている、みたい、やから……
 そう言いながら首まで真っ赤になって、布団に潜り込もうとするアリスを素早くつかまえて火村はその腕の中に仕舞い込んだ。


「今度着ているところ見せてくれよ」
「絶対! いやや!」