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camellia57
2026-02-01 18:27:30
67473文字
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火アリSSメーカーまとめ
2024~2025年に書いたSSのまとめ。全年齢のみ。ごちゃまぜ
話は独立していてつながっていません。基本的にはページが後ろの方が古いです
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「うわっ、なつかし、こんなんいつ撮ってたん?」
下宿の納戸の片付け中の手を止めてアリスが火村を呼ぶ。
「口より手を動かせよ。明日になっても終わらないだろ」
「明日で終わればええけどな。それよりこのアルバム見てや」
ああ言えばこう言うアリスに溜息をつきながらも、隣に座ってアルバムを覗く。
アリスが指した先にいるのは旧友の大龍。
その写真を見て火村の中に当時の記憶が蘇ったようだった。
「あぁ、確かに懐かしいな。これは大龍が帰国する前に撮ったやつだな」
短い期間であったが今も火村が暮らす下宿で一緒に生活していたことがある。
火村も手を止めてアリスと一緒にアルバムを眺めた。
仕事が片付いているなら来てくれないかと火村に呼ばれ、年末大掃除の手伝いに駆り出されたアリス。御駄賃は揚げたて海老天が乗った年越し蕎麦。なんとおせちの味見もついてくる。
アリスは食べ物に釣られたわけではないと口では言いながら火村の指示の下、廊下に縁側、窓ガラス、水廻りと綺麗に磨いていった。やんちゃな愛猫達によって破かれた障子の張り替えはまた同じことになるからと免除された。
そんな中で分厚いアルバムを見つけたアリスはそれを好奇心のまま開いてしまった。掃除中に厳禁な行動とわかっていても。
「最初の方の写真、えらい古ない? 白黒やし。あ、日付書いてある。俺らが生まれる前やな」
「いつから始まったのかは聞いてないけど、毎年玄関の前で下宿生全員で写真を撮るのが習慣だったんだ。こういう記録は大事だからって。カメラ担当は婆ちゃん」
撮影者だったから写っていなかったのかとアリスは納得する。
火村の様子を伺いながらページを捲る。このまま進めればアリスの知らない時期の火村の写真に辿り着くだろう。興味はあったが火村がそれを望まないのなら無理に見るつもりもない。火村の顔からは感情が読み取れない。
「
……
ええの?」
「なにが?」
「俺が見ても」
「構わないよ」
「ほんまに?」
「なに遠慮してるんだよ。いいよ。アリスなら」
写真に写る入学したての18歳の火村は表情が硬くて隣ともやや距離を開けて、アリスの目にはまるで野良猫のように映った。次のページには二回生になった火村。まだアリスと出会う前の知らない姿。この一年で下宿生活に馴染んだのか目元も口元も笑っている。先輩たちに案外かわいがられていたことをアリスは知っていた。その先は少しずつ店子が減っていって、ついに写真もなくなった。
「俺一人になってからは撮らなくなったんだ。婆ちゃんは取りたがってくれたけど写真に残したところで代わり映えもしないだろうし」
淡々と告げる火村にアリスの心は晴れず、その理由を考える中で落ちてきたちょっとした思いつきを口にした。
「せやったら俺が君と婆ちゃんを撮ったる。もちろん桃たちも一緒にな」
思いがけないアリスの提案に火村がぽかんと口を開ける。
「撮影してくれてた婆ちゃんの写真は残ってへんのやろ? それも勿体ない話や。代わり映えせんって言うけどこの先四匹目の猫が暮らすことになるかもしれんしな。どうや?」
「どうって言われてもな」
「あと数日で新年や。これからは元日の恒例行事にしたらええやろ? 婆ちゃんは賛成してくれると思うけどなぁ」
数の上で火村が不利なことは明らかだった。断固拒否するほど火村は頑固な人間ではない。最終的には折れてくれるだろうと、持ちかけたときからアリスに勝算はあった。
「
……
わかった。その代わり毎年大掃除と初詣に付き合うこと」
「よろこんで」
満足そうにアリスは笑った。
古いアルバムのページに新しい写真が増える。これからも。
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