Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
camellia57
2026-02-01 18:27:30
67473文字
Public
Clear cache
火アリSSメーカーまとめ
2024~2025年に書いたSSのまとめ。全年齢のみ。ごちゃまぜ
話は独立していてつながっていません。基本的にはページが後ろの方が古いです
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
「有栖川さんは『かえる』側の人ですね」
新しく知り合った編集者から脈絡なくそんなことを言われて戸惑う。
対面での打合せで新作の方向性もなんとかまとまって、それでは
……
と言うようなタイミング。『かえる』とは何のことだろう? 帰る? 買える? 変える? 蛙? 蛙と言えば、好意を抱いている相手から好意を向けられると嫌悪感を抱くようになるという『蛙化現象』があるがおそらく関係はないだろう。
彼が言わんとしていることがわからず、どういう意味か確認すると「『変える』側、周りに影響を与える側ってことですよ」と答えてくれた。
変える側? だとするともう片方は変わる側? ナントカ分類だの診断だのが新しく出てきてはブームになって消えて
――
偶に定着して
――
いくが、その一つなのか?
同年代だと記憶しているが編集者たるもの流行りに敏感だろうし、私が認識していない界隈ではよくある会話なのかもしれない。頭の中でそう結論づけようとしたけれど、彼の話はまだ続いた。
「僕の持論なんですが、周りを変えていく人と、影響を受けて変わっていく人に分けられると思うんです。勿論単純に分類できるものではないのでどちらかと言えば
……
になりますが。有栖川さんはかなり『変える』側に針が振れている印象です。僕の担当している先生方はそういう方が多いんですよ」
「へぇ〜。自分ではよくわかりませんけれど、そう見えるんですね」
つまりそれは頑固だとかもっと柔軟に意見を取り入れろと暗に言われているのだろうか? それは考えすぎか?
「有栖川さんは『変わらないですね』ってよく言われませんか? あぁ、見た目の話ではないですよ?」
「う〜ん、そうかもしれませんねぇ」
私としては変わったところもそうでないところもあると思っているのだから、そんなことを言われても「そうですか」としか答えようがない。
「僕は影響を受けやすい方なので、変わらないことに憧れがあるんです」
◆◇◆
「って言われたんやけど君にはどう見える?」
面白くなさそうな顔で私の話を聞いていた火村が溜息をつく。
「変えるだ変わるだはよくわからんが
……
、大きな括りで言えばアリスは学生時代から変わってないんじゃないか?」
ふむ、そうなるのか。
「君が言うならそうなんやろな」
「俺の判断でいいのかよ」火村が苦笑する。
「君は俺のことをよくわかってるやろ? 前にうれしそうに言ってたこともあるし」
私から見れば火村も大きな括りで言えば変わっていないような気がするけれど。
「そうだな。
…………
変わらずにいてくれるから、助けられることもあるんだよ」
過去を懐かしむような目をして微笑む。
「そうか
……
。それならよかっ
……
。
……
いや、あかん、過去を振り返ってばかりはあかんわ。今を生きて、未来に目を向けんと」
若者と名乗るのには抵抗はあるがまだ三十代なのだから。
ぐっと拳を握って気合を入れようとしたとき、
「たしかに、腹回りがな
……
」
そう言って火村が私の脇腹をつまんでくるので悲鳴が出た。
「お、おま、お前っ!」
自分は変わらないからって!! 実際は知らないけれど!! 腹筋割れてそうな雰囲気あるけれど!!
「二十代と同じ生活してるとまずいことになるぞ?」
「定期的に運動してるし」
「週に一回するかしないかの散歩のことか? それは定期的な運動とは言わないんじゃないか?」
「
……
週二回のときもあるし
……
」
「はいはい」
じゃあ君はどうなんだと聞き返すのはやめた。もし、週三回ジョギングしてると言われでもしたら降参だ。
「見た目の話やないって言ってるのに、ほんま君は」
「わかってるよ、冗談だ。半分くらいは」
じゃあ残りの半分はなんだと言うのだ? 答えのわかっていることをわざわざ聞きはしないけれど。
「あぁ、ほら、婆ちゃんが呼んでるな。夕飯だって。食卓が賑やかになるって嬉しそうだったから遠慮せず食べていけよ。アリスがおいしそうにご飯を平らげる姿、婆ちゃん好きだから」
学生時代に初めて誘われたときよりも自然な笑顔で火村が言う。
変わるもの、変わらないもの。目に見えなくても。
私の中に新しい変化が起きようとしていた。
そのことに気がつくのはまだ先の話。
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内