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camellia57
2026-02-01 18:27:30
67473文字
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火アリSSメーカーまとめ
2024~2025年に書いたSSのまとめ。全年齢のみ。ごちゃまぜ
話は独立していてつながっていません。基本的にはページが後ろの方が古いです
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「アリス」
リビングのローテーブルでラップトップに向かい作業中の私に火村が声をかける。
振り向けばソファの空白に手招きしていた。
見ての通り暇なわけではないのに。もっとも、執筆中ではなく遠方から打合せにやってきてくれた担当編集の片桐へお礼のメールを打っているだけなので、余裕がないわけでもない。
「取り込み中やのに」
「アリス」
素直に言うことを聞くのも癪なので軽く反抗するとまた呼ばれた。いいから来いということらしい。渋々を装って隣に座ると、私を抱き寄せて首筋に顔を埋めてくる。
「片桐さんだけじゃなかったんだな」
なぜわかる。
「あ、あぁ、そやね。こっちに住んどる新人作家さんとも打合せ予定で来たらしくて、せっかくやからって紹介してくれたんや」
「ふぅん」
顔を上げて目を合わせてくる火村。何かを探るような目つきで。
「簡単な自己紹介しただけやで」
「新人でも作家ならお前のこと知ってたんじゃないのか?」
「まあなぁ、お世辞やと思うけど俺の小説のファンって言うてくれたな」
「ふぅん
……
」
皮肉の1つでも返ってくるかと思ったのに。第一、そっちから呼んでおいて定規で線を引いたみたいな口になるな。君が聞いたことに答えてるだけやろ。
「
……
いっ、た
……
」
再び首筋に顔を寄せた火村がそこにキツく吸い付く。チリッと痛みが走る。間違いなく痕がついた。
「
……
隠れる季節でもないんやから、見えるとこにはやめてくれや」
「いいだろ、引きこもりの作家先生なんだから」
「引きこもりかてゴミ捨てやポストの確認はするっちゅうねん、真野さんに見られたら気まずいやろ」
小さく舌打ちする音が聞こえる。一体何がそんなに気に入らないと言うのだ。
「
……
見えないところならいいんだな」
「
……
え、あ、お、おい、」
ソファの座面に押し倒されて、シャツに手をかけたかと思えばボタンを上から外され、上半身が露わになる。
「ちょ、」
鎖骨のあたりを指で撫でて、そこにも痕をつける。二の腕の内側、胸から臍にかけてゆっくりと鬱血した痕が増やされていく。脇腹にいたっては噛まれたような気がする。
火村の知らない相手と会った後は時々こうなる。
はっきりと言われていないし聞いてもいないがキャメル以外の匂いをさせている私が気にいらないのではないかと想像している。
軽くシャワーは浴びたのだが、今日会ったあの作家の香水がまだ残っているとは思わなくて油断してしまった。鼻が良すぎる恋人は困りものだ。私なんて火村の匂いに慣れすぎて指摘されても自分では気が付かないのに。
何が不安なのか、所有印のように私へのマーキングをしてくる火村。そんなことをしなくてももう君のものなのに。
「火村」
「
……
なに」
「俺も、それしたい」
「それ?」
「君に、痕つけたい」
その頼みは意外だったのか、ずっと能面みたいな顔をしていた火村が目を丸くする。やっと表情が変わった。
「たまにはええやろ?」
それには答えず、無言で私の身体を起こしてどうぞとばかりに黒いシャツのボタンを外して開いてくれる。
火村の胸のあたりに唇を寄せて吸ってみるが痕にはならない。
「
……
あ、あれ?」
「ピュアな有栖川先生はキスマークの付け方を知らないらしいな」
「う、うるさい、できるわ、見とれ」
もう一度強く吸うと薄っすらと痕がついた。火村の肌に浮かぶ赤い痕になんだか悪いことをしているような心地になる。
「どうや」
「えらいえらい。よくできたな」
頭を撫でようとする手を振り払う。
「
……
なんや、変な気持ちや。君の肌を痛めてしまった罪悪感と、俺の存在を主張できたような独占欲が出てきて、ぐるぐるしとる」
「
……
つけられるのってこういう気持ちなんだな。
……
なぁ、アリスは、嫌じゃないのか?」
不安げな瞳で尋ねてくる。こんなにしておいて今更何をとツッコミたくなってしまう。されたくないことを大人しくされるがままの私ではないのに。
「嫌やったらそう言っとるわ。まぁ、限度はあるけど、嫌なわけやないよ」
「そうか
……
なら、いい」
また火村の目の奥が暗くなり、ソファから立ち上がったかと思えば腕を引かれて身体を抱きかかえられる。
「な、なんや」
「続きは寝室でいいか?」
「へ、続き、って」
「途中だっただろ?まだ足りないから」
「いや、もう充分やろ、えっおい」
「嫌なわけじゃないんだもんな」
「限度があるって!言った!」
私の抗議をすべて無視した火村に寝室のベッドの上に放られる。
迂闊なことをするべきでも言うべきでもないなと今日一日の行動を反省して、臆病な獣の愛情を受け入れるべく腕を広げた。
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