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零ミリ
2026-04-26 18:26:40
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輝石と筆跡2026毎日ワンライ
がんばります
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おかしいね、君がもう隣にいないから、泣きたいのに
ふと気付くと暗い闇の中、腰まで液体に浸かっていた。液体は粘性があり、動きづらい。よく分からないままに顔を向けていた方向へ進む。しばらく進むと前方にうすぼんやりとした明かりが見えた。明かりの先には人影が浮かんでいる。明かりの方へ進むとよく知った後ろ姿があった。
「无諦!」
液体をかき分け无諦へと近づく。无諦、无諦、と名前を叫んでも无諦は振り向かない。液体が進行を妨げ、无諦に中々追いつけない。そのうちに、无諦の方が遠ざかっていった。
「无諦! 无諦!」
必死に叫んでも无諦との距離は広がる。このまま遠くなると二度と追いつけないような気がして必死に追いすがる。刹那、光が閃き、无諦の姿が見えなくなる。
「无諦、待って!」
自分の叫んだ声で目が覚めた。夢、だったらしい。ドクドクと鼓動する心臓を抑えながら、隣を見る。无諦が安らかに眠っている。
「良かったぁ
……
」
「何が良かったんだ」
ぽつりと安堵をこぼすと、无諦が答えた。驚いていると、无諦が僕の頬を拭う。
「涙が出ている。悪夢でも見たのか」
「あ
……
」
夢を見ている間に泣いてしまったらしい。たしかに悪夢だった。
「无諦の後ろ姿を追いかけて
……
でも追いつけなくて
……
そのうちに无諦が消えてしまう、そんな夢」
「君にとっては悪夢だな」
「うん
……
」
无諦が僕を抱き寄せ、頭の後ろを撫でる。无諦の胸の中で深く息を吐く。
「夢は夢だ。私は君の隣にいる」
「分かってる、分かっているよ」
「藍桐、私はここにいるよ」
父親が子供に言い聞かせるような无諦の声音が降ってくる。その優しさに最後の堰が切ったようにポロポロと涙が出てくる。
「无諦、絶対に僕から離れないでね。僕が先に死ぬ時は君の隣で息絶えるし、君が先に死ぬ時は僕が看取るから」
「そのつもりだ」
无諦はそれ以上言わずにただ僕を抱きしめた。
ダン、と探偵からの調査資料を机に叩きつける。調査内容は原田无諦の居住地。結果は不明。
「无諦! どうして僕から逃げるんだ!」
无諦が一方的に僕との交流を絶って数年。无諦の子供たちも口を割らず、住所が分からないと手紙も出せない。
「无諦、どうしてしまったんだ!」
今の无諦は何か悪い考えに取り憑かれているだけなんだ。話し合えば分かり合えるはず。しかし、その話し合いの場さえ无諦は許してくれない。
「こんなところで立ち止まっている暇はないんだ!」
また僕たちは至高天の先を目指さなければ。だから、こんなことで泣いている場合ではないんだ。
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