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零ミリ
2026-04-26 18:26:40
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輝石と筆跡2026毎日ワンライ
がんばります
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あなたはもうすぐ僕の恋人になるでしょう。
特別聴講生として所属しているエアツェルングの軍医学校の図書室の奥へ進むと藍桐が書棚の前で手を伸ばして背伸びをしていた。日本より人々の平均身長が高いエアツェルングでは、藍桐はしばしばこういったことに直面する。足音を立てずに近付き、藍桐が手を伸ばしている先の本を取る。
「これか? 藍桐」
「⁉︎ む、无諦!」
藍桐は振り向いて驚き、一歩後ずさり距離をとる。
「何故逃げる」
「だ、だって、その、近いから
……
」
「近いと何か問題があるのか」
「无諦、僕のこと好きなんだろう⁉︎」
先週、藍桐に恋心の告白をした。藍桐は拒否はしなかったが、盛大に混乱したようで、今現在私との距離を測りかねている。先ほどのやり取りも告白以前であれば、藍桐の方から近付いてきただろう。
「そうだな、だから、近付いた」
「そんな堂々と
……
!」
「本はいいのか」
「それは、ありがたくいただくよ!」
取り出した厚い本を見せると藍桐は近付いて本を受け取る。手の触れる距離に入り込んできた、そのままに、書棚を背に追い詰めてしまいたいな、とふと思う。留学生が外国の学校の図書室でそんなことはできないが、最近毎日そんなことばかり考えている。考えるだけで実行には移さず、本を持って図書室を出て行く藍桐を見送った。
関係性が少し変わった程度では生活を変えることはできず、同じ下宿の部屋で暮らしている。私としては願ったり叶ったりなのだが、藍桐はやはりぎこちなかった。夜、ベッドで寝ようという時に藍桐が尋ねてきた。
「僕は无諦のことを信じているけれど、僕が寝ている時に何かしようとは思わないのかい?」
藍桐の方を見る。心配五割、興味五割と言ったところだ。
「君の意思が好きだから無理矢理どうこうしようとは思わない」
「そう、なんだ」
藍桐は安心したように見えるが、指先を合わせてぐいぐいと押している。どこか、落胆したように。
「なんだか、不満そうだな」
「そんなことないよ!」
ベッドから降り、隣の藍桐のベッドに乗り上げる。上体を起こしている藍桐に四つん這いで近付く。明らかに友人の距離を超えている近付き方だったが、藍桐は逃げなかった。
「逃げないのか」
「无諦を、信じているから」
そのまま更に近付き、頬に触れる。このまま口付けができそうだ。静かに鼻先が近付き、藍桐が細い目を閉じる。そこで、止めた。
「藍桐」
予想していた接触がない藍桐は薄っすらと目を開ける。
「これから先は君が思いに答えてくれないと」
「えっ」
「ふふ、予言しよう。君はもうすぐ私の恋人になるだろう」
藍桐のベッドを降り、ランタンを消して自分のベッドに戻る。藍桐のことは振り返らずに目を閉じる。藍桐はきっと戸惑っているだろう。しかし、行動の速い彼のことだ。明日には恋人同士になっているかもしれない。
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