Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
零ミリ
2026-04-26 18:26:40
39322文字
Public
Clear cache
輝石と筆跡2026毎日ワンライ
がんばります
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
まどろむ
いつも通り藍桐を迎えて書斎で執筆をしていると、背中にのしっと重みを感じた。
「藍桐?」
背中に目がついていないから確実なことは分からないが、藍桐が背中からこちらに体重を預けているようだ。
「んー眠くって」
「布団を出してきていいぞ」
「本格的に寝てしまうと夕方まで起きれない気がして。せっかく无諦の家に遊びに来ているのにそれは嫌だなあ」
休日なのだから眠いのなら寝てしまえばいいのに。とはいえ、恋人の家で一人昼寝をするのはもったいない、というのは分かる。しかし、これだと腕が少し動かしづらい。
「藍桐、いいことを思いついた。恋人らしい解決方法だ」
「何? どんな方法?」
「こっちにおいで」
背中が軽くなる。藍桐が四つん這いで私の隣に寄ってきてちょこんと座る。片膝を立てて座っていたが、立てていた膝を倒して、胡座になる。
「膝枕だ」
藍桐が座っている側の腿をぽんぽんと叩く。私の提案に藍桐はてれてれと口元を緩ませる。
「いいの? そんなこと!」
「いいよ」
「じゃあ
……
」
藍桐がもぞもぞと横になり、私の腿に頭を乗せる。顔は真上に向け、私の方を見上げた。
「どうだ?」
「男の膝って硬いね」
「まるで女の膝を知っているような口ぶりだな」
からかうように言うと、藍桐が口を尖らせて反論する。
「幼い頃の母親との思い出だよ! 君、君と付き合う前は僕が女性経験なかったこと知っているだろう!」
「そういうことにしておこう」
軽く返すと、藍桐の目を手で塞ぐ。
「好きなだけ休むといい」
「うん」
藍桐は頭を私の体の方へ向け、私から視線を外す。覗き込むと細い目を閉じたようだった。ふ、と息を吐いて万年筆を再び原稿用紙に向けた。
活字の海に沈み込み、再び息継ぎに顔をあげて時計を見ると一時間ほど経っていた。藍桐の方を見ると、目を閉じてはいるが、呼吸が睡眠時のもののようには聞こえなかった。藍桐の耳元の髪をかき分けながら、呼びかける。
「藍桐、寝てはいなかったのか」
「うん
……
」
藍桐が頭を動かし、顔を上に向ける。寝てはいない、と言っているが寝起きのようなとろんとした表情だった。
「なんだか眠りきれなくてね。でも寝苦しいとかじゃなくて、ずっとまどろんでいた」
「それはそれで気持ちよさそうだな」
「うん」
藍桐が私の顎に手を伸ばし、ふにゃと笑う。
「同じ布団で寝ると、幸せが過ぎてたまに苦しくなることがあるけれどね、そこまではいかなくてゆるやかな幸せにずっと包まれているみたい」
「それこそまどろみだな。夜眠るより、昼間にまどろむ方が気持ちがいい」
「まったくだよ。ね、无諦、執筆で疲れていない? 僕も膝枕しようか?」
「ほう」
藍桐は起き上がり、ニコニコとしながら私がしたように腿をぽんぽんと叩く。
「では、少し休もうかな」
藍桐の膝にごろりと寝転ぶ。見上げると藍桐がそれはそれは嬉しそうに笑っている。こんなに下から藍桐を見上げるのはなんだか新鮮だ。
「確かに硬いが
……
落ち着くな」
「だろう?」
ゆっくりと目を閉じる。額に藍桐の手の感触を感じる。深く息を吐く。きっと今、自分が世界で一番安心できる場所だ。安心が体中に行き渡ると少し眠気が湧き出てきた。まどろみに揺蕩い世界の創造の休息としよう。
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内