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零ミリ
2026-04-26 18:26:40
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輝石と筆跡2026毎日ワンライ
がんばります
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もう夢が見れないのだと気づいた
息が苦しくなってハッと目が覚めた。カーテンの先はまだ暗く、夜明けを迎えていないようだ。心臓に手をやると嫌な鼓動の速さをしている。
夢を見ていたと思うのだが、どんな夢かは分からない。ある時から、こうした夢の残骸に苦しめられるようになった。无諦がいなくなった時からだ。
无諦が"存在していた"間は、隣にいた頃も无諦が心変わりしてしまった後も、たくさんの无諦の夢を見た。至高天の先に辿り着く夢も、なんでもない日常を過ごす夢も、異世界を旅する夢も、死別する夢も、たくさんの夢を見た。
至高天の先に辿り着いた時は、辿り着いた瞬間の光景は何も覚えていない。しかし、感情をあまり表に出さない无諦さえも滂沱として涙を流して抱き合った。
日常の夢は何度も繰り返し見た。无諦の家に行って何時間も過ごしたあの書斎でとりとめもない会話を交わす。しかし、会話の内容は夢らしく現実味のない内容もあった。魚が空を飛んだり、団子が唐辛子の味がしたり、自分たちが女性になっていたこともあった。どんな話も无諦は頷いていた。
様々な異世界を旅した。无諦の作品に出てくるような近未来が多かったけれど、モンスターが生息する世界を剣と弓で冒険したことも、怪異が起こる大きな館を探索したこともあった。
无諦と死別する夢も見た。もう少しで至高天の先へ辿り着けるという瞬間、神の怒りに触れた无諦に神の裁きが降る。彼の亡骸に縋りつき、起きた時には豪雨に降られたように頬が濡れて、隣で寝ていた无諦を起こして彼の体温を確認した。
しかし、あの事件以来、无諦が夢に現れることはなくなった。
无諦が書いた作品に未来の世界を描いた短編がある。その作品の中では人々は脳波を読み取り干渉する機械を用いて、仮想世界で思い思いの架空の形代の姿になり、交流する。无諦はこの仮想世界に入ることに「アクセスする」という動詞を用いた。しかし、その仮想世界を運営する企業で問題が起こると、人々は仮想世界にアクセスできなくなる。脳内には灰色の映像とノイズ音しか伝わらなくなるのだ。今の自分はこのアクセスできない状態に近いように感じる。
甘い夢も、悪夢も、夢さえ君を思い出すことが叶わないのか。
「嫌だ、嫌だ、嫌だ!」
无諦はいる。僕には見える。この世界ではなくとも、无諦はまだそこにいて、目指したあの頂きへ辿り着くことをまだ諦めていないのだ!
叫びながら、布団を握り締める。僕たちの夢が諦められていいはずがないのだ。ベッドから降り、カーテンを開ける。窓ガラスの向こうは月明かりだけが光明として存在する世界であった。君の世界には月はあるか。せめて、夢の中では同じ月を見ることは叶わないだろうか。
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