Day7:あたらよ
「師匠! 外、すごいよ!」
玄関を開け放つなりそう叫んだエステルは、師匠であるユリウスの姿を見つけると輝くような笑顔になった。家で一人静かに本を読んでいたユリウスは、大きな音を立てて飛び込んできた我が弟子に驚いた様子を見せた。
「エステル。もう夜だから今日は来ないんだと思っていたよ」
「今夜はここに泊まる! ねえ、それより外に出てよ!」
本を閉じたユリウスの腕をグイグイ引っ張るエステルは、親に自分の大好きなものを褒めてほしくて仕方がない子供のようだ。ユリウスはされるがままに扉をくぐって、頭上に広がる光景に目を奪われた。
息も凍るような冷たさで満ちる
氷雪の
国は、他の国と比べても空気が澄んでいる。特に今夜のように雲ひとつない新月の夜には、この世界でも唯一無二の圧倒的な星空が視界いっぱいに広がるのだ。星の光を遮る月明かりがないうえ、この国は高い建物も少ないので
遮蔽物がなく、足元の地面以外はすべて星空で覆われることになる。視界一面に銀色の砂のような無数の星たちが瞬いていて、飲み込まれそうなほどに美しかった。
エステルはユリウスの片目に映りこんだ星の輝きを覗き込んだ。その目が確かに満点の星空を映して揺れているのを見て、エステルは満足そうに顔をほころばせた。
「ね、師匠。外に出て良かったでしょ」
「
……そうだね。この星空を見ないで終わらせるのはもったいなかったな」
二人はしばらく、この美しい時間を共有していた。ユリウスは心の中でそっと呟いた。
(願わくば、こんな夜がまた訪れますように)
その祈りを知っているのは、何光年も先の星たちだけだ。
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