Day20:包み紙
エステルと旅を始めてからそれなりの時が経った。最初は戸惑うことも多かったがようやく旅の勝手が分かってきて、最近は滞在する町で別行動を取る余裕も出てきたところだ。
ユリウスは今、エステルに渡す贈り物を選び終えたところだった。誕生日だとかそういう特別な記念日なわけではないのだが、理由がなければプレゼントをしてはいけないわけでもあるまいし。ユリウスは常識に囚われないのである。
買いたいものを持って店員に渡す。明らかに女性用の商品を持ってきたユリウスを見て、女性店員が微笑ましそうに受け取った。
「彼女さんへプレゼントですか?」
「彼女
……? いや、一緒に旅をしている弟子に渡すんです」
「お弟子さんでしたか! きっと喜ばれますね。プレゼント用にお包みしてよろしいですか?」
「お願いします」
「ではこの中からお好きな包装紙をお選びください」
その店員はカウンターの内側から何枚かの包装紙のサンプルを取り出した。シンプルな単色の包装紙がいくつかと、柄付きのものが何種類も揃っている。
「たくさんあるんですね
……」
「贈るお相手の好みや、贈る側の気持ちに合わせたものを選べるように、たくさんご用意しているんです!」
そういわれて改めて包装紙を見ると一枚、目についたものがあった。藍色の一面の夜空の中に、光を反射して金色にきらめく星が描かれた包装紙だった。星のうちの一つが特別大きく、明るく描かれているから、これがきっと一番星なのだろう。
「これでお願いします」
「承知しました。お弟子さん、星がお好きなんですか?」
「どうだろう。たぶん好きだと思うけれど。どちらかというと僕の方が、あの子のことを一番星みたいだと思っているんです」
「
……素敵ですねえ」
話しながらもてきぱきとラッピングをしていた店員は、やがて商品を包み終えると、にっこりと笑ってそれをユリウスに手渡した。
「はい。お弟子さん、きっと喜びますよ」
「はは。ありがとうございます」
ユリウスは代金を支払って店を出た。その手にはエステルに贈るプレゼントを持っている。エステルは気に入ってくれるだろうか。
ユリウスはエステルが喜ぶ顔を想像して、それと同時に喜んでくれるだろうかとちょっぴり不安を抱えて、地に足がつかない様子で歩いて行った。
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