Day25:じりじり
日が傾いてきた街道沿いで、ウィリアムとエドワードは夜を越すことにした。旅をしていると野宿はつきものである。
「エド、近くの林で燃えやすそうな乾いた木の枝を集めてきてくれ」
「了解だぞ!」
エドワードは元気よく林に向かって駆けて行った。その間にウィリアムはウエストポーチに両腕を入れ、中から大きな葉っぱに包まれた獣肉を取り出した。今日の夕食だ。
ウィリアムのウエストポーチは不思議な魔法がかけられた魔道具と呼ばれるもので、ポーチの大きさに関係なく中にものを保管しておける。しかも中のものは時が止まったように、劣化したり腐ったりしなくなる。
簡易的な焚き火の用意を終えたところで、エドワードが大量の薪を手に戻ってきた。それを焚き火にセットして、ウィリアムは呪文を唱えることなく雷の魔法で火花を起こした。何度か火花を起こすうちに薪に火がつき、夜の闇を照らす焚き火の出来上がりだ。
火の粉を散らす焚き火の上に金網を敷いて、そこに先ほどの獣肉を置く。
「それ、昨日倒した魔物の肉かい?」
「ああ。鶏みたいな見た目の魔物だっただろ? あれは毒もないし、味も鶏肉みたいで普通に美味いぞ」
「それは楽しみだぞ! 早く焼けないかな」
焚き火に当てられた肉は、余計な脂を滴らせながらじりじりと焼けていく。次第に美味しそうな匂いが漂ってきて、エドワードは待ちきれないといった顔で食い入るように肉を見つめていた。
「もう食べられるんじゃないかい?」
「鶏肉だからなあ。中まで火が通らないと腹壊すぞ」
「
……オレはお腹痛くならないし、もう食べていいかい」
「ふざけんな。もう少し待ってろ」
パチパチと焚き火が弾ける音。ジュウジュウと肉が焼ける音。香ばしい肉の匂い。
以前、一人旅をしていたときはこういう瞬間を楽しむ余裕はあまりなかったな、とウィリアムは思い返した。自分の気持ちが変わったのだろうか。それとも、一人じゃないからか。
——たぶん、どっちもだろう。
>前の話(Day24:爪先)
25≫
>次の話(Day26:悪夢)
27≫
>目次へ戻る
1≫
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.